ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

星界の紋章 森岡浩之

2009-12-21 20:20:00 | 
この先、日本はどなるのだろう。

ほぼ間違いなく私は、半世紀もたずして死ぬことになる。平均寿命でさえ怪しい。多分、じわじわと老いぼれながら人生の終わりを悄然と受け入れるのだろうと思っている。

自分が死んだ後のことを心配するなんて意味ないことだと思うが、それでも考えない訳じゃない。

昨今マスコミは地球温暖化を大騒ぎしているが、私の考えでは自然な気温変動に過ぎず、温暖化はむしろ植物を繁茂させ、かえって豊かな自然を生み出す。降雨量は増えて、砂漠化は緩和される可能性さえある。ただし場所によっては乾燥化は進む。その程度の変化だと思う。

地球上に生息する以上、本当に怖れるべきは寒冷化であり、必ず氷河期は再び訪れる。現在は氷河期と氷河期の間の温暖な時期に過ぎない。

おそらくは人類は氷河期を生き残れない。もちろん人類だけではなく、多くの生物が死滅して、その間隙を埋める新たな生物が生まれ出るはずだ。

現世人類は生き残れないだろうが、新たな環境に適応した(進化した)人類は生き残ると予測できる。はっきりいって、現世人類はそれほど逞しい生き物ではない。むしろ弱い生き物であるがゆえに、道具を作り出し、文明を作り上げたからだ。

私は人類絶滅を氷河期の訪れとウィルス性疾患によるものだと予想している。この災難を生き延びた人類は、もはや別種の人類だろう。ちなみに先の氷河期において繁栄した旧・人類(ネアンデルタールたち)を滅ぼしたのは、伝染性のウィルス疾患と環境変化と我々人類の攻撃だったらしい。

歴史は繰り返すというが、だとしたら我々も滅ぼされるのだろう。だが、もし生き残るとしたら宇宙空間に生存領域を広げた場合だろうとも思う。これには三つのハードルがある。一つは重力制御だ。適切な重力がないと、人は生存が難しいようだ。

もう一つがエネルギー。宇宙では化石燃料は使えない。核融合のような新たなエネルギーを開発しない限り、宇宙で生きていくことは不可能だ。

最後の一つが超光速航法だ。光速を超えない限り、人類は太陽系に留まらざる得ない。地球以外の太陽系の惑星で人類が長期間生息できる可能性は相当に低い。

現時点では三つのハードルの一つとしてクリアする目処は立っていない。だからといって絶望するには早すぎるが、楽観的でいられる訳でもない。

私が子供の頃から散々TVドラマや映画、SF小説、漫画でみてきた銀河に飛躍する人類の姿は、21世紀の今日でも夢物語の域を出ていないのが現実だ。

表題の作品は、90年代に突如飛び出した国産のSF小説、しかもあら懐かしやのスペース・オペラ風味つけ。何故に今頃スペ・オペなのだと我が目を疑ったぐらいだが、けっこう売れたらしい。たしかアニメ化も果たしている。

この本のなかでアーヴと名乗る新・人類が登場する。どうやら宇宙空間に合わせて自らを遺伝子改造した日本人の末裔らしい。旧来の人類から毛嫌いされているが、当のアーヴたちは傲岸不遜に宇宙に君臨しているようだ。

外来文化を受け入れて、それを自己流に変質させて文明を発展させてきた日本人なら、たしかにやりかねない遺伝子改良による擬似進化。そこまでやっちゃうと、もはや日本人ではないと思うが、やりかねないのは同意できる。

人の欲望は限りないのだなと、妙に納得できたSFでしたね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする