ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

年の瀬につらづら思うこと

2009-12-29 11:41:00 | 日記
もう既に仕事納めを過ぎ、私も残務整理に追われています。

家に帰れば、正月に備えて買い溜めをしなければなりません。最近は正月休みであっても開店している店も増えたので、以前ほどは買い揃える必要はありません。それでも普段よりは大目に買っておくものです。

あの時も、そんな買い物の最中だった。高三の冬休みに入った年の瀬、スーパーの食料品売り場の角を曲がって、隣の列を漁ろうと思ったら目の前にF子がいた。あまりに突然に現われるものだから、ついつい挨拶してしまった。

「お!久しぶり。元気?」
「うん、久しぶりね。」

ひとしきり挨拶したら会話が途切れた。本当は会いたくなかった。見かけたら逃げ出すつもりでもあった。でも、いきなり現われるものだから、なにも出来なくなった。

彼女も無言だ。いや、どうでもいい会話なら交わしたが、内容はさっぱり覚えていない。会いたくないと思っていたのは事実だが、内心訊きたいと思っていたことはあった。どうしても知っておきたいとさえ思っていた。

でも、訊けなかった。多分、私は答を知っている。分っている。ただ確信がない。だから彼女の口から聞きたかった。

それなのに訊けなかった。まだ私の心の奥底では怒りがくすぶっていたせいでもある。答を彼女の口から聞いたら、取り返しのつかない悔恨にもがくかもしれないと怖れ慄いたせいでもある。

あの後、どんな会話をして、どんな別れ方をしたかも思い出せない。ただ、無性に身体を動かしたくなった。じっとしていると、心がグルグルとでんぐり返りを繰り返しそうで、気が狂いそうな焦りが我が身を駆け巡ったからだ。

あれから20数年。今だから分るが、あの時現われたのは偶然ではあるまい。私は偶然に驚いたが、彼女はいつものように、あの頃のように静かなままだった。何故に現われたのだ?

まだ怒っていたのだろうか。いや、彼女の瞳に怒りは感じなかった。あるとしたら失望か・・・なにを今更と思うが、彼女もなにかを言いたかったのか、あるいは訊きたかったのか。

もう分らない。分らないけれど、いつか再会する日がくる予感もしている。その時は訊けるだろうか。

「どうしてあの時、髪を切ったの?」

分っている・・・と思う。多分私は訊けない。でも・・・さ、お互いに老年の域に達したら良いよね。その時は互いに許し合おうよ。いつかきっと、時が解決してくれると私は信じている。私はやっぱり楽天家なのだ。

来年は、今年よりいい年だと思う。根拠ないけどね。そう考えるほうが、人生楽しいさ。
コメント (4)
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