マスコミ報道を鵜呑みにしなくなって久しいが、それでも本気で腹が立つことがある。
先月末のことだが、韓国が輸出を大幅に増やしているのは、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加したからだ。景気低迷に喘ぐ日本も、早期にTPPに参加すべきだとの記事を新聞等で目にした。
思わず目を疑った。まず第一に、韓国が米韓FTA(自由貿易協定)に参加したのは事実だが、TPPは未だ批准していない。第一、韓国の対米輸出の大幅増加は、ウォン安によるもので、貿易協定の影響などほとんどない。
私もいろいろ調べてみたが、やはりTPPには問題が多い。少なくてもデフレ政策を続けている状態での参加は、日本を凋落させる可能性が高い。
いい加減、自由貿易の幻想から目を醒ましてもいいのではないか。少なくてもマスコミは事実を報じるべきだ。政府の広報用資料を丸呑みして、それを垂れ流すのはいい加減にして欲しい。
ちなみにTPP関係の資料を作っているのは、経団連の出向スタッフの可能性が高い。別に証拠はないが、数年前のWTO/GATTのときも、その資料を作っていたのは経団連のスタッフだった。
講演で、そのスタッフ自らが政府との協同作業を、胸を張って語っていたぐらいだから、今回も間違いないと思う。要するに大企業向けの広報活動。
大企業さえ元気なら、日本は大丈夫だと言っていた小泉・竹中改革が、実は大嘘であったことは、既にもうお分かりだと思う。銀行や生保を統合させて、無理やりメガバンクや巨大生保を作った結果が、今の状況ではないのか。
いい加減、マスコミは自分たちが何を報道し、その結果がどうであったか検証したほうがいい。もし、本気でやったのなら、恥ずかしくて記者のバッジを外したくなると思いますがねぇ。