ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

追憶

2011-11-17 13:48:00 | 映画

最近、一番観たいと思っている映画が「追憶」です。

多分、大学生の時に下北沢の名画座で観たのが最後だと思う。TVでも放送したと思うが、ちょっと思い出せない。だからストーリーもうろ覚え。でも、この映画で主演したバーブラ・ストライサンドが歌った「The Way We Ware」だけは、若い頃から何度も何度も聴いている。でも、ここ数年はご無沙汰だった。

ところがだ、最近、CDショップで格安で入手したCDのなかに、この曲が入っていた。以来、何度も聴き直している。本当にいい歌だと思う。胸に染み入るというか、思わず感慨に浸りきってしまう。

白状すると、必ずしも嬉しい感慨ではない。苦い悔恨がお腹の底から湧き上がってくる錯覚に襲われる。

なんであの時、あれほど焦る必要があったのか?

なんであの時、ありもしない約束を口にして立ち去ったのか?

なんであの時、走ってでも戻らなかったのか?

今となっては、自分の愚かさばかりが胸を突く。過ぎたことを悔いるのが大嫌いな私だが、自分の未熟さが原因だと分っているだけに、後悔することを止められない。

もう、戻れない。だが、忘れることも出来ない。忘れられないのは、思い出すのが苦い思いだけではないからだ。普段は大人しく、楚々と笑うくせに、つぼにはまると弾けるように爆笑する笑顔は、まるで別人の輝き。

怒ると、私が謝るまで絶対顔を上げてくれなかった。でも、上げた時の表情の柔らかさは、なによりも私を安堵させた。

口数が少ないが、いざ口を開くと舌鋒の鋭さに私がたじろぐほど。後ずさる私に、ちょこちょこと迫ってくる仕種は、やっぱり可愛くて、なにを議論していたのか忘れてしまい、また怒られた。

でも、仲直りして手をつないで美術館を出た時の笑顔は、夕焼けよりも温かく、暮れなずむ空に浮かぶ満月よりも輝いていた。

もう二度と戻らない。

だからこそ、映画のあの場面が、今にして胸を突く。

酒場で酩酊するレッドフォードに気がついて、驚き躊躇いながら近づくバーブラ。て、目を閉じているレッドフォードの金髪に、おずおすと手を伸ばすバーブラの思いが今なら分る。

あの場面だけは、今でも覚えている。でも、その前後が思い出せない。だから、もう一度観てみたい。自分には似合わないというか、性に合わない映画だと思うが、それでももう一度観てみたいな。

だって、今なら分ることがあると思うから。


http://youtu.be/xtu9RXeYSLU

コメント (8)
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