ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

スター誕生

2011-11-18 12:00:00 | 映画

バーブラ・ストライサンド主演の映画が続きます。

私が一番、強く印象付けられたのが、表題の作品でした。ファンの方には申し訳ないが、私はバーブラは美形だとは思えない。高い鼻が印象的でありすぎるし、目立つ顔立ちではあるが、あまりバランスは良くないと思う。

だから十代の頃は、女優としてのバーブラにはあまり関心が湧かなかった。ただし、歌手としての評価は別物で、一度聴いたら忘れられない歌唱力の持ち主であると認めていた。

数年前のことだが、思うところがあって近所のレンタル・ビデオ屋にあったバーブラ主演の表題の映画のビデオを観てみた。

驚いたのは、バーブラが極めて美しく見えたことだ。外見ではなく、バーブラ自身の「私は綺麗なのよ」との強い主張が強く感じ取れた。

十代の頃は、このバーブラの過剰ともいえる自己主張が好きになれず、個性的な顔立ちとあいまって、あまり好きになれなかった。

だが、年齢を重ねた今となると、その強烈な自信と、それに見合う演技力、歌唱力に感服せざる得ない。今では、美しい女優であると、私は認めている。

この記事を書くに当たって、you‐tubeで最近のステージを観てみたが、素敵に年齢を重ねている様子に感心した。多少のしわ取り手術ぐらいはしているかもしれないが、妙な整形手術の痕跡は見当たらない。

むしろ自然に美しく年齢を重ねているように見える。芸能の世界は、外見が命。だから過度な整形手術や、無理なエステ、過剰な化粧などの影響のためなのか、若い頃は輝くほどに美しかった麗人が、年を重ねて見るも無残な姿に変貌することも珍しくない。

しかし、バーブラは若い頃から個性的な顔立ちを、歌唱力や演技力、知性的な発言などで美しく見えるよう内面の努力を積み重ねてきた。その努力は今も続けているようで、だからこそあの年齢になっても美しくあり続けることが出来るのだと思う。

話を映画に戻すと、私がこの映画を急に観たくなったのは、仕事上で思うことがいろいろあったからだ。うちの事務所のクライアントには、高度成長時代に波に乗り、会社の業績を伸ばして零細企業から中規模の会社へと成長させたオーナー社長が数人いた。

しかし、バブルの崩壊を受けて多くの会社が倒産、事業縮小、撤退という結末を迎えている。僅かに生き残った会社は、お子さんが後継者として奮闘しているところに限られる。

創業者であるお父上は、既に高齢を迎え、介護施設などに入っていることも珍しくない。まだ意識がしっかりしているが、体の自由が効かないお父上は、社長として頑張る息子をどう見ているのだろうか?

率直に言って、お父上の全盛期の業績には遠く及ばない。だが、この長く続く不況の時代にあっても、逞しく、あるいはしぶとく生き残っていることも確かだ。

既に言葉さえ不自由だが、私の目には息子を誇らしく思っているようにみえた。そう思っていた。

だが、人の心はそれほど単純ではないことを思い知らされた。まさか、そんな風に思っていたとは、予想すら出来なかった。私はその事実を、未だ息子さんには伝えられずにいる。

いや、伝えるべきか否かさえ決めかねている。そんな悩みを抱えていた時に、ふと思い出して観たくなったのが映画「スター誕生」だったのだ。

自分を場末の酒場の歌手からメジャーデビューさせてくれた恩師でも在る、かつてのスーパースターの末路に際し、バーブラはどう振舞ったのか。あの感動的な場面をもう一度見たくなったからに他ならない。

ちなみに、私はその事実を抱え込んだままで、息子さんには伝えていない。墓場まで抱え込むつもりでいる。事実は、必ずしも人を幸せにするとは限らないからだ。

思い出は美しいままでいい。そのほうが、きっと幸せだと思う。

コメント (2)
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