ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

TPPに思うこと

2011-11-10 17:25:00 | 社会・政治・一般
自由競争は弱者を踏み潰す自由を意味する。

そのことが良く分るのが、大規模店舗が閉店した地方都市だ。規制緩和の恩恵により、大企業の巨大店舗が日本各地に展開された。

広い店内と、豊富な商品構成。広大な駐車場が用意され、近辺には飲食店、映画館、パチンコホールなどが揃い、家族が一日中楽しめるようになっている。

こんな巨大なショッピングモールが造られてしまったら、近隣の小さな商店街は目も当てられない。次々と街の小さなお店が閉店して、気がつけばシャッター通りと揶揄されるゴースト・タウンとなっている。

だが、新たな雇用が生み出され若い家族が街に増えたのも事実だ。元々高齢化が進み、しかも後継者がいない小さなお店なのだから、閉店も時代の流れと納得できた。

無料の送迎バスでショッピングモールに行けば、街の仲間もちらほら見かける。今度、孫たちが遊びにきたら、是非ともここに連れてこよう。こんな暮らしも悪くない。そう思っていた。

しかし、資本主義の現実は冷徹だ。景気の後退に伴い、突然発表された大規模小売店の閉店は街をどん底に落とし込んだ。雇用は失われ、若い家族は街を去る。

街から活気が失われ、小学校は生徒の数が激減し、取り壊される建物と空き地ばかりが増えていく。残されたのは、転居する気概も金もない老人たちばかり。

大規模小売店の抜けたショッピングモールは、今や廃墟と見間違うばかり。さりとて地元の商店街は、既にシャッター通りであり、いったいどこへ買い物へ行けばいいのか。

高齢化で、既に免許は返上した老人は辛い。やむなくバスを乗り継ぎ、遠方まで買い物に行き、両手に荷物をもってかえる帰途はつらいばかり。

一体、なんのため、誰のための規制緩和であったのか。自由競争とは、巨大資本家が零細店舗を踏み潰し、街を荒廃させる自由なのか。

今、再び規制緩和と自由競争という名の猛獣が、日本に乗り込んでこようとしている。その猛獣の名は「TPP」だ。

既に生産拠点の多くを海外に移転させた大企業にとっては、是非とも導入して欲しいものであることはわかる。また、海外(ほとんどアメリカでしょうが)のファンドにとって、共済や簡保などの資金を活用できる絶好の機会であることも確かでしょう。

アメリカに国防をおんぶに抱っこの日本に、TPPを拒否することなど無理でしょう。なれば、せめて零細業者、零細農家などを保護する仕組みを作った上で、TTPに参加するべきでしょう。

私の考えでは、TPPとはアメリカの資本家集団(ファンドといわれる連中)が、日本で自由に商売するための仕組みでしょうね。それは当然ながら、強者が弱者を踏み躙って、利益を独占する自由であることは既に分っていることです。

日本はその脆弱な政治的立場上、TPPを拒否することは難しい。なれば、それを骨抜きする程度の悪知恵を政府(というか官庁に)に期待したいものです。
コメント (1)
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