海外遠征が足りない。
ワールドカップのブラジル大会出場を目指して、アジア三次予選が各地で行われた。我が日本は、繰上げ出場のタジキスタンを下して、既に三次予選の突破を決めた状態で、22年ぶりに北朝鮮の首都ピョンヤンに乗り込んだ。
結果はご承知のとおり、0対1での敗戦。惜敗といいたいところだが、押されっ放しの90分であり、不様な負け試合であった。
夕方に行われた試合でもあり、私は生中継は観ていない。ダイジェストで観ただけなので、あまり偉そうなことは言えないが、明らかに圧倒されていた。
日本はメンバーの半分を控え選手で埋めたから、一軍半のチームなのは確かだが、それほど格落ちするほどのメンバーではない。代表では控えでも、海外のチームで活躍したり、Jリーグのチームでは主軸となって活躍している選手ばかりだ。
ただ、既に三次予選突破を決めているだけに、選手たちに怪我を恐れる気風があったように見受けられる。特に北朝鮮はガチガチと当たってくるチームなので、それを厭う印象が強かった。本田や長友のように、身体の強い選手は跳ね飛ばすことができるが、そうでない選手はどうしても圧されてしまう。
またDFもGKも控え選手の登用であったせいか、連携が今ひとつであったのも失点の原因になった。これは致し方ない。どの国の代表チームも、この点は苦労している。
実のところ、日本は北朝鮮のようにガチガチとぶつかって来る相手を苦手にしている。現在、チームの中核となっている遠藤なんて、優れたテクニックを持ちながらも、激しく身体をぶつけてくる相手を苦手としていたが故に、長年代表では控えの選手に甘んじていた。
その遠藤を開眼させたのは、オシム監督であった。ピッチを縦横に動いて、相手の激しいぶつかりを避けるだけでなく、チーム全体を活性化させる走るサッカーを叩き込んで、遠藤をピッチの主役に成長させた。海外での遠征試合で、オシムは遠藤を直々に指導して、チームの中軸に育て上げた。
トルシェエもジーコもオシムも、海外遠征を極めて重視していた。日本選手の強化には、海外で強豪国との試合が不可欠だと訴え続けた。もちろん、ザッケローニもそれを望んでいた。
本来、今年はコパ・アメリカ大会に招待されており、この大会が選手強化の柱になるはずであった。しかし、3月の東日本大震災でスケジュールに狂いが出たJリーグを尊重して、出場を辞退せざる得なかった。
また福島原発の風評被害ゆえに、強豪国を日本に招聘することもままならなかった。おかげで、現在の日本代表は、ここしばらく海外での強化試合をほとんど経験していない。
その弊害が、今回の北朝鮮戦の敗北であったと思う。つまるところ、Jリーグを優先して、海外試合を断った日本サッカー協会の判断が敗戦を呼び込んだ。マスコミはその点を断固、指摘して非難すべきだ。
でも相変わらずマスコミは、レベルの低い報道に留まっている。北朝鮮の異様さなんざ、なにを今更のことであり、いちいちそんなことを繰り返すな。真に報じるべきは、日本サッカー協会の醜態であり、自らの見識の低さであろう。
次の最終予選には、元・日本代表監督であるジーコ率いるイラクも出場してくる。どのチームも日本の弱点を研究してくることは間違いない。事実、三次予選でさえアジアの強豪国であるサウジ、韓国、オーストラリア、イランは苦戦している。
次のブラジル大会に、日本が出場できる保証なんてない。そのくらいの危機感をもって欲しいものです。