意外と云ったら失礼かもしれないが、正直驚いている。
もともとあまりTVを見るほうではない。日ごろ見るのはニュースと天気予報が中心で、たまにプロスメ[ツを見る程度だ。もっとも見逃した映画や、おもしろそうなドキュメンタリーなどは見るようにしている。
プロスポーツといっても、最近は野球もサッカーも地上波では十分放送されていない。だからたまたま連休で空いた時間に、何気なくTVをつけたら野球が放送されていた。
部屋の片づけをしながら、ぼんやり見ていたのだが、意外といい試合をやっていた。驚いたのはDeNAである。中畑監督が率いるこの球団は万年Bクラスの応援しがいのないチームであった。
実をいえば、子供の頃は巨人ファンであったが、それは巨人しか知らなかったからに過ぎない。自分で野球をするようになり、それなりに野球を見る目が出来てくると、巨人の野球はつまらなく思えた。
特に不愉快だったのは、球団の高慢な姿勢であった。私が思うに、巨人ファンとは巨人が勝ち進む姿に自らをなぞらえることで鬱憤を晴らすようで、内容よりも勝つことだけが大切であるように思えた。
当然、勝つことだけに徹底したのが川上時代の巨人で、強いが内容が記憶に残る試合は少なかった。つまり試合内容そのものは、案外とつまらないものが多かった。これは後に他球団で指揮をとっていた広岡監督、森監督などの巨人出身の監督にもみられる傾向である。
そのなかでも例外は長嶋茂雄で、この人のプレーだけは見る面白さがあった。だから現役引退後、監督として登場した時はかなり期待していた。しかし、第一次長島政権は低迷し、遂に球団から追いやられた。このことに憤慨した巨人ファンは少なくないと思う。
この監督時代に育った選手が中畑である。当時から巨人らしからぬ選手であったが、長島の薫陶を受けただけに、オーバーアクションの目立つ並みの選手であった。並みの選手といったのは、周囲のライバルが突出していたからで、打率も守備も平均以上なのだが、それ以上が沢山いたので本来目立つ選手ではなかった。
それでも目立っていたのは「絶好調~~!」で知られるように、自らを鼓舞してのパフォーマンスがTV受けしたからでもある。そのせいで、私なんざ実力以上に評価されていると、かえって低い評価をしていたぐらいだ。
正直、監督向けの選手ではないと思っていた。事実、アテネでの五輪野球の監督代行としての評価は、決して芳しいものではなかった。なんで、この人に監督代行をやらせるのかと憤慨したぐらいである。
その中畑が万年Bクラスの元・大洋ホエールズであり横浜ベイスターズでもあったDeNAの監督に就任した時の私の印象は、一言で云えば客寄せパンダ。他になにが出来るのかと侮蔑していた。
ところがだ、その中畑DeNAの野球が元気いい。成績は相変わらずの下位だが、最下位ではなく、むしろ大物食いも珍しくない健闘ぶりだ。出場する選手は昨年とだいぶ変わり、見かけぬ若手のはつらつとしたプレーが気持ちいい。
中畑に監督の才能があったのか!?
正直、優勝を狙えるチームではないと思うが、最下位に安住するチームではないように思う。まだシーズン途中であり、評価を下すには早すぎるが、それでも私を十分驚かせるチームに変えた中畑監督の実績は、素直に評価したいと思います。