年末のことだが、多忙ななか気になっていた報道があった。
現在、自衛隊ではアメリカ製の戦闘機であるF15及びF16を国内でライセンス生産している。アメリカでは、既にF22及びF35への切り替えが進んでいるが、アメリカの同盟国及び友好国では、今でもF15及びF16は第一線配備されている。
その機体に搭載されている高性能なエンジンであるF100の生産を、日本において行い、アメリカに輸出してP&W社から世界各国へ輸出されるという報道であった。
言うまでもないと思うが、戦闘機のエンジンはハードウェアの核心部分であり、最重要パーツの一つである。そのエンジンをこれまで作ってきたアメリカの業者が撤退してしまい、アメリカの要請により信頼性の高い日本企業に生産を委託する形になったそうだ。
驚いたことに、このビックニュースは、ほとんど騒ぎになることなく、淡々と報道されて、やがて多くの他のニュースの下に埋もれてしまっていた。
国会が休会中ではあるが、平和馬鹿の野党もこのニュースに、まともに対応したとは言い難い。度し難い馬鹿であるとしか言いようがない。
これは今に始まったことではないが、日本という国は狭い国土のなかで、ちまちまと戦争をしていたせいか、兵站に対する意識が驚くほど低い。
あの悪名高きガダルカナル島での戦いは、兵站を軽視したがゆえに、敵の攻撃に倒れた日本兵よりも、食料や医薬品が不足したため倒れた日本兵が圧涛Iに多い。その作戦を企画した当時の参謀・瀬島龍三は、現地に赴き餓島と言われた惨状を見ていながら、最後まで自らの失策を認めなかった。
兵站が十分に出来ない地域に戦力を派遣したこと自体が間違いなのだが、瀬島をはじめ当時の軍幹部たちは敗戦後でさえ自らの間違いを認めようとしていない。認めていないのだから、反省する必要がないとでも思っていたのだろうか。
その伝統は今も引き継がれているようだ。世界の第一線で使用されている戦闘機のエンジンを輸出することの意味を、もう一度よく考えて欲しいものだ。日経なんざ、経済面で報じればイイと思っているだろうけど、平和の先導者(煽動だと思いますけどね)を気取っている朝日、毎日あたりも、経済面でしか報じようとしていないのだから馬鹿としか言いようがない。
平和憲法だか、守れ9条だか知らないが、自衛隊を海外に派遣するのと同じくらい、この戦闘機エンジンの輸出は重要なニュースである。
私は安穏な生活を大事に思う好戦的な平和主義者だ。平和を守るためには軍は必要であり、その軍を法治により制御すべきだと信じている。だからこそ、碌に議論をせず、問題点を意識することなく、なし崩しで軍事拡張をしていく今の日本に違和感を禁じ得ません。