少しはまともに報道して欲しい。
自衛隊の大型ヘリ空母である、いずも型護衛艦を本格的な空母への改造すると報じられた。搭載する艦載機は、F35Bである。可変型ジェット噴射が可能な垂直離発着機であるからして、デッキなどを強化改良すれば、いずも級の護衛艦に搭載は可能だと報じられていた。
技術的に可能だとは思うが、その改装は相当な規模になる。いずも型やおおすみ型の護衛艦は、実質ヘリ空母であり、ヘリコプターを前提とした設計がされている。ただし、ハリアーやF35Bなど垂直離発着が可能な航空機の搭載も可能なことは確かだ。
ただし、F18のような本格的なジェット戦闘機は無理だ。着艦のための装置もないし、なによりカタパルトがない。本格的な空母とはなりえない。それでも、垂直離発着が可能なジェット戦闘機の運用は可能だろう。
しかし、ヘリコプターとジェット戦闘機では、その必要とする補給物資、交換装備、兵装がかなり異なる。なかでも管制システムも異なるため、単にハードウェアを変えれば良いといったものではない。
護衛艦に搭乗する乗組員の再教育も必要となる。比較的安価なヘリコプターと異なり、垂直離発着機であるF35Bは機体も高額だが、その補給物資、交換部品も高額である。大雑把な言い方になるが、運用コストも含めると、護衛艦本体価格の7割程度のランニングコストが必要とされる。
しかも、空母となると単艦での行動はあり得ず、イージス艦、潜水艦、補給艦などの補助艦船が必要不可欠である。幸い、現在の自衛隊には全て揃っているが、その維持費用が莫大なものとなることは言うまでもない。
財源どうするの?
更に深読みが必要となる。今回の報道は、一応防衛省によるものだが、絶対に日本政府単独での計画ではない。間違いなくアメリカ政府、少なくともアメリカ国防省の内諾があったはずだ。
アメリカという国は、かつて国家戦を挑んできた過去を持つ国(日本やドイツ)に対して、自由に武器を持たせてくれるほど間抜けな国ではない。実際、日本もドイツも、非公式ながら様々な制約の元に軍備を制限されてきている。
私はかねがね自衛隊をアメリカ護衛隊だと揶揄してきたが、実のところドイツも似たり寄ったりだ。その軍隊の内容は極端に陸軍に偏り、かつて世界に冠した強大な空軍力、海軍力は大幅に制約されている。
日本が空母を保有するなんて、アメリカの承諾なしにはあり得ない。
もっとも、今回のヘリ空母の空母への改装計画は、アメリカの要望に応えたものである可能性が高い。現在、アメリカ海軍は、北朝鮮情勢の緊迫化に備えて、原子力空母を3隻、日本近海に派遣している。
これは巨大なアメリカ海軍にとっても、相当な負担であるはずだ。北朝鮮及びシナに対する軍事的牽制が長期化すると考えて、日本の海軍をその計画の一端に加えて、自らの負担を減じることを目的にしている可能性は高い。
つまり、日本は今まで以上にアメリカに対する軍事的強力を要請されている。大手のマスコミ様の報道のように、単にヘリ搭載護衛艦を、F35Bが搭載可能な空母に改装するといったものではない。
日本のマスコミ様が平和ボケして、軍事音痴なのは知っているが、あまりにヒドイと思います。