先日、押し入れの整理をしていたら、見慣れぬ漫画本を発見した。
「校内写生」遊人著である。ご記憶にある方もいるかと思うが、この著者の漫画「ANGEL」は青少年に有害な影響を与えるとして発禁処分を受けた。正直、表題の書も似たようなものだと思うが、こちらは発禁にはなっていないと思う。でも内容は似たり寄ったりだ。
「ANGEL」はコンビニでの雑誌立ち読みでしか読んでいない。それも流し読みなので、詳細まで覚えていないが、「校内写生」同様な内容であったと記憶している。まァ十代の青少年向けであろう。
それはともかく、私は買った覚えがない。私は生粋のスケベではあるが、けっこう好き嫌いが多くて、この遊人氏の漫画はタイプでないので、自分で買うことはありえない。
考え込んで思い出した。私が20代の頃の長期入院中に、当時勤めていた会社の先輩が持ってきた手土産だった。ちなみにその時は、個室から大部屋に移っていたので、この手のスケベ本は病室に置く訳にはいかない。
困った私は、見舞いに来た大学の後輩に渡して処分してくれと頼んだはずだった。ところが、その後輩、生真面目な奴でこの手のスケベ本を苦手としていたことを私は忘れていた。困った彼は、結局私の自宅のポストに入れて置いた。
入院中、所用があって一時帰宅した時に、袋に包まれたその本が部屋の中にあって驚いた。多分、母か妹がポストから部屋へ運んだのだろう。退院後、部屋の整理をしている最中に、押し入れの奥に仕舞い込んだことは、ついさっきまで忘れていた次第である。
で、改めて少し読んでみたのだが、なぜにこの著者の漫画が発禁になったのか、私にはさっぱり分からなかった。この作品もそうだが、遊人氏の漫画の特徴は、可愛らしい女の子のHな姿に興奮して馬鹿騒ぎをする男子たちを描いたコメディーだ。
女性を性の道具と見做しているとの誹謗があるらしいが、どちらかといえば女性の魅力に翻弄される青少年たちの愚かさを笑いの焦点としている作品である。これを読んで、男の子ってバカだなァと痛感させられるが、半裸姿の女の子をバカにする気にはならない。
笑いはしても、この作品を読んで欲情するのは、かなりの至難の業ではないかと思う。断言するが、遊人氏の漫画を青少年に対する有害図書認定をする大人の見識の浅さは、軽蔑に値すると思う。
私は有害図書というものがあるのは知っているが、それは人の人格を無視し、ただ徒に欲情を煽動することのみを目的とした下劣なものだ。間違っても、この作品のように思春期の男の子たちに笑いを提供するようなものは該当しないと思う。
推測だけど、人気があるが故に叩けば世間の耳目を集められるはずと安直に取り上げただけだと思う。本当に有害なものは、人気なんて出ない。あれは異常者が好むもので、健常な感覚の持ち主には受け入れられないからだ。
この漫画本、古本屋に持ち込んでも二束三文である。あまりに大量に市場に出回っているので、捨て値でしか売れない。でも、持っていても仕方ないので、近々売却するつもりです。