読後爽快、この一言に尽きる。
隠蔽捜査シリーズの三作目である。堅物で公私混同を嫌悪し、仕事に私情を持ち込むことなんざあり得ないエリート警察官僚である竜崎シリーズの三作目である。ただしエリートながら身内の失態で降格人事を喰らい、都内の警察署長に転落したエリート様である。
今回も相変わらず堅物の変人なのだが、美しく有能な女性を部下に付けられたことから、生涯初めてといってよいほどの動揺を見せる。それが恋であることを認めるだけでも大騒ぎである。
この変人警官(ただしエリート)がこの恋愛感情にどう向き合うのかも興味津々なのだが、よりにもよってアメリカ大統領訪日の方面本部の部長を仰せつかる修羅場の最中である。
恋(?)に仕事に振り回されるエリートの醜態が実に楽しいが、そこは変人の主人公。妙な解決法を思いつき、あげくに大統領暗殺未遂事件にも活躍する。
だから中盤までの騒動があっという間に終わり、爽快な結末が待っている。
仕事に煮詰まっていた私には天の甘露ともいうべき作品でした。ああ気持ちいい。
しかし、まァ竜崎さん、だんだんシーフォートに似てきたぞ。最初は嫌いだったのだけど、だんだん好きになっていく私が不安だァ。