ヌマンタの書斎

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アメリカザリガニの脅威

2022-01-26 11:28:00 | 社会・政治・一般

放流厳禁!

なにがってアメリカザリガニである。現在、日本に棲息する外来生物のなかでも極めつけに凶悪な環境破壊犯であるからだ。

アメリカザリガニが池や小川、用水路などに放たれると、彼らはまず水草を切り唐キ。水草をねぐらとし、隠れていた水棲生物(小魚や昆虫)が仕方なく姿を見せる。そこを狙って彼らを喰らい尽くす。

あっという間に、その近辺に棲息していた水棲生物は絶滅に追い込まれる。アメリカザリガニの食欲と攻撃性は凄まじい。水草と水棲生物により水が綺麗に保たれていたが故に、絶滅後その水域は泥水と化して小生物が棲めなくなる。

ある程度、陸上を移動できるアメリカザリガニは他の餌場を探して拡散する。かくして、日本全国の湖水、河川、用水路などが生物の住めない泥水と化した。

あまりの被害の多さにアメリカザリガニを特定外来生物と指定して事実上、飼育などを厳しく規制することが何度も検討された。当然であろうと思うが、この規制案は議論の末、廃案になっている。

なぜなら、特定外来生物と指定されると、届け出や厳しい規制を嫌って野山に放逐する飼い主が多数いることが、過去の経験から分かっているからだ。ワニガメやアリゲーターガーといった肉食性の水棲生物が、日本各地で発見されたのは、外来特定生物として指定されてからだ。これは人災といって良い。

実はアメリカザリガニを飼育している人はかなり多い。これは彼らが他の大型水棲生物の餌として便利だからだ。そのため、もし特定指定されると、多数のアメリカザリガニが野山に放逐される可能性が高い。それゆえ、今まで規制を免れてきていた。

またアメリカザリガニは、既に日本において相当に馴染まれているため、善意で安直に野山に放逐されるケースが多い。学校の教師までもが、これを主導している場合もある。その危険性が認識されたのが、比較的最近なためである。

従って、その危険性の周知徹底と、飼い主が安易に放流しないような規制が求められていた。その結果、今国会で改正法案が提出される予定となっている。その内容は、アメリカザリガニの飼育と譲渡は認めるが、放逐は禁止とするいささか甘いものだ。

アメリカザリガニに罪はないかもしれないが、日本に連れてきて、ペットとして、あるいは餌として売り出し、今では日本の自然に馴染んでしまった。その結果として日本全国の池沼や河川を泥水化させてしまっている。

一番悪いのは人間なのだが、下手に罰則を強化すると、隠れて放逐するケースが予見されるだけに性質が悪い。ちなみにアメリカザリガニは、きちんと泥抜きなど処理をして、寄生虫を殺すようにしっかりと煮込めばけっこう美味であるそうだ。

小型なので食べられる部位は少ないが、中国やアメリカでは大人気の食材である。下手に駆除するよりも、食べ尽くして数を減らすのが良さげに思うが、なぜだか日本では流行っていないそうだ。

自然との調和って、つくづく難しいと思います。


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