少し冷静になって温暖化を考えてみたい。
太古においては燃え滾るマグマと放射能で灼熱の惑星であった地球は、大気を形成し大雨を降らせて全地球を水面下に沈めることで徐々に冷却化を進めた。その後冷えて固まった地殻に水の一部が吸収されて、現代にも連なる古の大陸が形成された。
一方、酸という劇薬を含む大気が形成されるとオゾン層が上空に広がり、宇宙線という放射能が遮られ、地上に生物が繁栄するようになった。ただ地球という惑星は太陽に対して斜めの地軸をもって周回しているため、大気温度は常に不安定だ。
簡単に言えば、暖かい時期と寒い時期が交互に訪れる。ただし地質学的期間なので、その時期は長いと数千万年、短くても数万年となる。ちなみに暖かいと寒いの区分は、極点が常時凍り付いているかどうかで判断される。すなわち現在の地球は寒い時期に該当する。
地質学的にいえば、新生代、第四紀、完新世(以前は沖積世と言われた)にあたる。寒い時期といっても、氷河が大陸の大半に形成される寒冷期と、その寒冷期と寒冷期の狭間にある温暖な時期、さらに短期間に冷えるプチ氷河期といえる寒冷期が頻繁に表れる。
寿命の短い人間にとっては、7万年前に始まり1万年前に終わったヴェルム氷河期の後の温暖期こそが、今に該当する。おそらくだが、氷河期と氷河期の間の間氷期にあたるとさえるが、最後の氷河期を終えて、これから暖かい時期が続くとの予想もある。こればかりは現代の科学力では分からない。
そこで絶滅が危惧されるシロクマなのだが、彼等は15万年前にヒグマから枝分かれした種とされる。割と新しい種族であり、ヒグマ(グリズリーはヒグマの亜種)とは近親種であるため、交配も可能である。ちなみにヒグマの主たる生息域はロシアである。
シロクマ絶滅を危惧する論文はイギリスの科学誌に発表されたものだ。実はこの論文のベースとなる実地調査はアメリカ、カナダ、アラスカが中心であり、ヒグマ及びシロクマが多く生息しているロシアは調査対象から省かれている。
先にも書いた通り、地球は現在数百万年に及ぶ寒冷期ではあるが、時折短い間氷期があり、7万年前の寒冷期の前にあったはずの間氷期、すなわち極地の氷が溶けるような温かい時期をシロクマは乗り切ったはずだ。
ただ問題は、環境破壊獣こと人間がそのころは文明を築いていなかったことだ。現在のシロクマの生息数の減少は、決して温暖化による生息環境の変化だけが問題ではない。むしろシロクマたちの生息域で原油や天然ガスの採掘を行うために、寒冷地帯で町を作ってしまう人間からの迫害が大きな要因になっているはずだ。
動物保護の観念が広まっている欧米とは異なり、ロシアではシロクマは単なる害獣扱いである。いったいどの程度のシロクマがロシア人の町に入り込んで駆除されているのか、その情報がまったくない。
そのような状況下で、抜け抜けと温暖化でシロクマが絶滅しちゃうと宣伝して、寄付金を求める環境団体のやり様には、正直疑念の目を注がざるを得ない。
そもそも、現状の科学では温暖化の原因が、人間の化石燃料燃焼による二酸化炭素の排出がどの程度なのかさえ分かっていない。地球の大気温度に最も影響のある太陽からの放射熱の観測でさえ未熟なのが実情だ。
そんな科学的見地からの検証など捨て置いて、ひたすらに温暖化ストップを叫ぶ環境論者には閉口を禁じ得ない。善意からくる思い込みなのはわかるが、善意ですべてが許される訳ではないと私は思います。
嫌らしいことに、化石燃料(原油)は現代文明の基盤に近い存在であり、その有効利用ならば私ももう少し好意的に見れるのですが、経済的あるいは政治的な本音が隠された議論には辟易します。そんなことにシロクマを利用するなと言いたいですね。