入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      Ume氏の入笠 「秋」 (6)

2014年10月05日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 台風18号の影響で、雨。気温も10度を割っている。
 焼き合わせ近くまで来てみたら、昨日まであれほど森を彩り、賑わせ、絢爛に見せていたツタウルシの大方が、夜来の雨で散ってしまっている。なんとも潔いことで、これほど唐突だと、落葉松の林は一挙に色彩を失せてしまったかのようだ。これでこの秋の序章ともいうべきが終わった、ということになるのか。「序章」、いや山の秋は躊躇せずにもっと先に進んでいるかも知れない。例えば4楽章のうちの2楽章、それも後段に来てしまっている、とさえ思えなくもない。
 まあ音楽のことは当てずぽうだが、北門あたりまで来ると、モミジの色付き始めた様子があちこちで目に付く。これらの木々の葉がそっくり赤く染まり、次のUme氏写真のようになるまでには、もう少し時間がかかるだろう。が、そうなるころには遠くの山々は冠雪して、冬の足音も聞こえてくるようになる。



 昼ごろから、風雨ともに強まる。
 こんな天気だというのに、朝から富士見のパノラマリゾートが主催する自転車レースがあり、ずぶ濡れになった選手がコースの一部になっている牧場内の道路を、次々に走っていった。選手はまあよいとしても、審判員としてあちこち立たされていたシルバー人材派遣の人たちには、こんな天気で、過酷な仕事となったろう。選手の中にはそんな姿にチラッと気遣いを見せ、走り去っていった若者もいた。
 
 今日のような天気、牛はどうしているかと心配して行ってみても、存外に彼女たちはあっけらかんとしている。雷電様から南に広がる草地の西側斜面、樅や松の疎林の中にいた。近づいていくと、一応あの独特の「悪しきをひそめ」たような目で見るが、しばらくするとまた熱心に草を食べ出す。塩を貰えるときは明らかに喜びを見せて走ってくるが、悪天だからと言って人間に何か不満を見せたり、頼るといったような素振りはしない。チビもクロも、57番はもちろん、全頭問題なし。
 一度、同じように大型台風が接近中、暗くなりかけた北門を帰ろうとしたら牧柵の前で、牛の一群20頭ぐらいが、風下に顔を揃えて風雨にじっと耐えている姿を目撃したことがある。その振る舞いに、胸を打たれた。あの時も彼女たちはそんな状況を黙って受け入れ、一晩中ずっと、立ち尽くす覚悟でいるように見えた。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5、6日のブログをご覧ください。なお、今のタイトルが続く限り、掲載写真はいづれもご存知Ume氏の作品です。Ume氏に感謝!
 
コメント
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