![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/d5/62ab45a51f27171ca4ef41a5cf1d7bb6.jpg)
台風接近の影響だろう、風雨の激しい音とその途絶えった音のない時間とがしばらく交互していたが、だんだんとその間隔が狭まりつつある。
貴婦人の丘の近くで枝打ちをしていたが、チェーンソーを取りに戻ってくる途中第2検査場のそばまで来ると、1頭の大きな雄鹿がこちらの気配に気付いて森の中へ逃げていった。
実は朝来るとき、この場所で鹿の捕獲を確認していた。白樺の木の根元に何かがいるように見えたので、車を止めて様子を窺っていると、突然角を生やした雄鹿が立ち上がった。こんな天気の日にまで殺生はご免だと、そのままにしておいたのだがそこへ、雌ならぬ雄が心配してやって来たようなのだ。
「兄弟どうした」
「うん、足に何かが縛り付いて外れないんだ」
「また人間の仕業か」
「多分な。もう駄目かもしらん」
「兄弟ともあろうもんが、そんな気の弱いことを言うなよ」
「あとのことは頼んだぞ・・・」
みたいな会話が交わされていたのだろうか。1日延命させることが鹿にとって良いことか悪いことかは分からない。ただ殺処分するときには、あまり暴れてほしくはないから、消耗させた方がいいという考え方もある。かと言って、すべてを委ねたようにあまり抵抗しないのも、やりにくい。
多分この2頭の雄鹿に間違いない、夜ごとたくさんの雌鹿を従えて、ここら一帯に君臨していたのは。牧柵や草地の被害は深刻で、仕留めて当然だと言えばそうだが生き物が相手、難しい仕事である。
牛はこんな天気にも元気にしている。夕暮れが迫る中風雨をものともせずに、食べることにまさに余念がない。残すところあと4日となってまたしても大型台風で、濡れた褥も今夜が最後になるといいのだが。牛を気遣い、鹿に憐れみを覚え、この仕事も何が何だか大変だ!
山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。来週の中ごろには、白岩岳に登るつもりです。そして、この山域(南ア北部)の知られざる魅力をお伝えします。ブログのタイトル、きょうから「晩秋」としました。Ume氏の作品はまだまだ続きます。
ご期待ください。
さあ、また暗くなった山道を帰ろう。遠くで鹿の鳴く声がする。嗚呼。