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いつの間にかコスモスの花が咲くようになった。きゃしゃな身体で遠い異国へ赴き、聖職者として短い生涯を終えたあの人の好きだった花だ。コスモスも含めてこの時期に咲く草花は、季節の風情とよく合っている。清楚なという言葉が一番相応しく、控え目で、さりげなく、それでいて品位さえ感じる。雨に濡れていても、午後の白い光の中でも、見る人をほっとさせてくれる。
決して美人ではなかったけれども、あの人もそういう人だったような気がする。風に揺れる路傍のコスモスに、灰色の修道服を着たあの人の面影が重なる。
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第1牧区にいた牛全頭を、大型の囲い罠経由で第4牧区に下ろした。朝のうちは霧も深く、残留する牛が出た場合は一人きりだとかなり面倒なことになると案じたが、思い切ってやることにした。視界の悪い急な坂を、確実に全頭が無事に下りたのか頭数を確認するまでは安心できなかったが、上手くいった。この瞬間こそ、牧場管理人にとって一番やりがいを感ずる時かも知れない。そしてついに、第3牧区の電気牧柵の全線が立ち上がり、終了点で電圧6500ボルトを確認できた。ウーンこれも、なかなかの達成感があった。
午後になって、久しぶりの青空を見る。第4牧区に出た牛は、いつのまにか幾つかの群れに分かれて囲い罠の内や外をウロウロする様子がここからも分かる。放牧地の草の上に秋の日が、牛たちや木々の長い影をつくっている。
SGZKさん、FKBさん、どうもありがとうございます。明日からは余裕を持ってやります。TDS君にも例の”畑”は残しておくから心配なく。そうそう、ここで露店風呂に入りながら天の川を眺めたいという贅沢なことを考えている人がいるが、実現できるかもしれない。
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