牛はこんな天気のせいで群れは割れている
今朝の気温は10度やっとで、雨混じりの風が強く寒かった。時折風が悲鳴のような音を立て、それに合わせて木々がざわめき、これから待望のいい秋が来るというのに、この荒れた天気と気温は、「野分け立つ」などという言葉さえ思い浮かばせた。里ではまだ稲刈りも始まっていないというのに。
午になっても気温は14度止まり、風も雨も止む気配はない。
牛を第3牧区に移したので、キャンパーの大半が帰った14日の月曜日に、大型囲い罠の捕獲用ゲートを替えた。これまでは二つあるゲートのうち国有林側のゲートを開けて鹿の誘引を行ってきたのも、もう一つのゲートは第4牧区内にあるためで、誤って牛が誘引されてしまう可能性があったからだ。その牛がいなくなったので、捕獲効率の高い牧区内のゲートを開け、国有林側のゲートを閉じた。
その際の点検で、国有林側のゲートの仕掛けも立派に作動していたことが判明した。鹿を罠の中におびき入れることには成功していたにもかかわらず、肝心のゲートが落ちなかったのだ。以前に、滑り落ちてくるゲートのスライダー部にライフル弾が当たり、そこが少しめりこんだため、どうかするとその部分が抵抗となって落ちないことがこれまでもあった。
こういう場合は、ゲートを替えることを迷う。鹿は罠の中に好物の塩があり、それを食べても安全と判断して、また戻ってくる可能性が高いからだ。問題は、罠の中に入った鹿の頭数である。その推測は難しいが、今回は食い跡や足跡から、大した頭数ではないと読んだ。で、ゲートを替えることにした。
それから中1日空けた昨日、ここに着いて見るともなくゲートを見たら、落ちている。しかし、鹿の姿はない。誤作動かと思ったら、いた。ただし頭数はたったの2頭、親子だった。
不思議なことにこの鹿2頭が、時々通過する工事の車などよりも、それより遠くにある管理棟のこちらの様子に神経質に反応するのだ。まるで、彼女らを閉じ込めてしまったのが誰だか分かっているかのように。いやそれもあながち考えられないことではない、鹿も学習しているだろう。多くの仲間がここに入ると、何故かそれっきり帰ってこない。その原因を作っている憎い奴がアイツだったのかと、捕えられてやっと分かったかも知れない。
風に吹かれ、雨に濡れても、ノコンギクは今日も咲いてる。健気に清楚な姿を見せて。
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