
みんな愉快な連休を過ごしていますか。”穴場”と言われている入笠牧場の山小屋やキャンプ場にも、ぽつりぽつりと人が来てくれるようになりました。今夜は直火を焚いて、楽しい山の夜を過ごすようです。
以下は、先日どこかへいってしまった記事の再録です。
入笠山には1匹の野良ネコがいる。今日も見た。いや、昨年も見た。行動範囲はやたらと広く、伊那側で見たかと思えば富士見側でも確認されている。牧場の管理人も野生化するばかりだが、件(くだん)の猫はもっと凄い。もちろん、間違えても人に懐こうなどとはしない。まさしく山猫と言ってよいだろう。黄色の毛をして、それほど大きくはない。
その猫が、昨冬を無事乗り越えたのは、マナスル山荘本館のY氏の支援があったらしいが、それにしてもこの雪深い山の冬を乗り越え、雪が消えるとまた野生の世界に戻っていったというのがエライ。敵となる野生動物の多い森や林や牧場で、たった1匹で自給自足しているのだから。可愛いとなどまったく思えなかったその野良猫に、少しづつだが情が移り始めている。必死で生きようとしているあっぱれ健気な姿には、上等な餌でもやりたくなる。
昨年の12月、雪の入笠に来る途中に行方を絶った愛犬キクのことは、諦めている。とてもこの野良猫のように狡猾に、こんな山の中で生きる知恵はない。勝ち負けは関係なく、相手を敵と思えばキクは誰にでも、何に対してでも攻撃しようとした。そう、すれちがう大型トラックにまで。
そういう性格の犬の最後がどうだったのか、失踪した場所を通るたびに考える。息を引き取るとき、キクの頭の中に浮かんだのは一体何だったのだろうかと。自分の小屋から見える見慣れた退屈で安全な風景だったのだろうか。それとも迎えに来てくれない飼い主のことだったろうか。
入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。