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すっかり日が短くなって、このブログの制作に手間取ったりすると、帰りは夜道となる。ただ日の落ちた秋の暗い山道にもそれなりの情趣があっていいものだ。今日一日あったことや、したことを思い返しながらのんびりと、森や山室の谷を下っていくのであるがそんなとき、道路まで張り出した木々の間から星が見えたり、今は月の出はもっと遅いが、その月が森閑とした森を照らしてくれるようになれば、1時間以上かかる通勤もまた慰安となる。
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「クマはわれわれがこの地に住みつく前から暮らしていた先住者です。われわれの不注意から、先住者たるクマを殺すことにならないよう、どうか注意してください。」30代のころだったか、アメリカの北部のどこかの町で、こんな注意書き目にした。なるほど、と思ってからまたすぐに、クマどころじゃない先住民のインデアンを随分と殺した歴史はどうなっているんだと、その大きな案内板に嘯いてみた。
今回、北米大陸最高峰のマッキンリーの山名が、原住民の間で使われていた「デナリ」という名前に変更されたというニュースを、頂いた2名のコメントから知った。そもそも何で大した功績もないアメリカの一大統領の名前が、こんな偉大な山に勝手に付けられたのか考えてみれば奇妙な話だ。欧米人の間では、どうも個人名を自然界の特別な場所、に限らず艦名などにも、やたら付けたがる。悪しき癖だと思う。大体この元大統領はアラスカには一度とて足を踏み入れたことがないらしい。いまごろになって先住民に気を配っても遅い気もするが、やらないよりはましだろう。
最近日本の女性タレントも、テレビの番組でデナリに登ったのを途中まで見た。登頂の瞬間は残念ながら見ることができなかったが、カヒルトナ氷河や周囲の山々は淡い記憶を呼び覚ましてくれた。アラスカは今でも苦かったり、酸っぱかったり、切なかったりの思い出の土地で、もう繰り返すことのない遠い山の日々が、デナリの近くの氷河に眠っている。
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