
今朝、上に着いた8時半の気温は、4度Cをわずかに上回るだけだった。この時季、ここまで気温が低下した記憶はない。鳥の声がしても、雨は止もうとせず、執拗なまでに降り続いた。そして、そのうちに濃い霧が周囲を閉ざしてしまった。数百メートルでも電牧の立ち上げを続けようとしたが馬鹿らしくなってきて、ずぶ濡れになって小屋に戻ってきた。
雨さえ止めば、深い霧の中でも仕事を続けるのに抵抗はない。むしろそういう状況の方が単調な仕事に集中できるくらいだが、しかしきょうのような冷たい雨に降られては、手先は冷え、泥だらけの足元は滑り、腰に下げた作業ベルトはだらしなく垂れさがり、眼鏡は曇り・・・と、鬱陶しさが頂点に達する。確かに、梅雨、雷雨、秋の長雨、7か月の仕事の間、3分の1は雨と霧である。放牧中の牛がこんな天気の中でも泰然として草を食んでいるように、この仕事をする以上は雨にはそれなりの抵抗力を持たなければ勤まらない。分かっている。ただ、それにはもう少し時間が要る。

第1牧区は、管理棟よりもおよそ100メートル以上高い所に主な放牧地がある。早昼を済ませ、足回りはさすが冬用の山靴ではなかったにしろ、上衣その他は、スノーシューズや山スキーを使ってここに登ってくる厳冬期と変わらない身支度で、たった100メートルの標高差に賭けた。上部ほど、雨脚が弱まることを期待したのだ。それが的中したのか、偶々小降りになったのか、朝のうちとはまるで違ってほとんど雨を気にすることなく作業ができた。
それでも一冬の間には、倒木やら落葉松の枝が落としておいた電牧のリボンワイヤーの上に散乱し、クマササも徒長しているなど、通電できるようになってもその保守管理を思うだに、疲れてきた。
結局、きょうの気温は10度Cまで上がることなく終わるようだ。
赤羽さん、通信多謝。野生化と老化が進み、巷の喧騒には一切関心がなくなりました。報道される人も、する人も、何を考えていることか。
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