
ヤマナシだけでなく、コナシの開花も始まった。1千400メートルのオオダオ(芝平峠)でコナシの白い花を見たと思ったら、牧場でも早い木は花が開きかけていた。同じように、初の沢の大曲手前からは、ダケカンバがようやく芽を吹き出して、遠くからでも分かるようになってきた。あそこは、無愛想然としたモミだかシラビソの濃い緑と、萌え出したばかりのダケカンバの新緑や、樹幹のクリーム色がいい組み合わせになって谷を引き立てている。


昨日は参った。牧場の作業道を整備していたら、嫌がらせでもするかのような岩の突起にぶち当たってしまった。こういう性格の悪そうななのは相手にしない方が懸命だが、動かせるかどうか大きさだけでも見てやろうと、ツルハシでゴッチンゴッチンやり出したのがいけなかった。いろいろ探っているうちに、ツルハシの先端がようやく岩の端らしきを捉えた。と言っても、そんな程度では岩はビクともしない。小屋まで戻り、バールを持っていき、試しに梃子の力を利用すると、わずかだが動いた。そこまでやってしまうと、止めたくてもう元には戻れない。いつの間にか道は荒れてしまって、何としても掘り起こさなくては、車を通すこともできなくなってしまった。
昼を済ませて、再挑戦したが、どうにもならない。というよりか、一人では無理だと観念した。そこでやむなく、森の中にいつもいる人に救援を求めることにした。山奥氏のことだ。電話をしたら、氏は隠れ家にいて、昼飯の最中のようだったが、終えたら来てくれると言った。つい、すぐ隣の住人でも呼ぶように言ってるが、ここまで来るには実は10キロの山道を上がって来なければならない。
待つこと小1時間、山奥氏が来て、二人であれこれ検討をしながらも、多くを氏に頼った。「オレは土木でなく建築だ」と言いつつも、写真は岩の先端が顔を出し、次の一手を氏が考えているところ。
それからどれくらいが経ったか、碑にしてもおかしくないような岩を、遂に掘り起こすことができた。これでこの岩は、これから先ずっとこの場所で、二人の奇人の健闘と努力を物語ってくれることだろう。山奥氏に大感謝!
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