上に着いたら、大型の囲い罠に鹿が入っていた。13頭いる。今月21日の捕獲では10頭のうち7頭を逃がすというヘマをしたが、今回は大丈夫だろう。里では鹿が減ったという声を聞くが、捕獲の頻度はここ2,3年の中では多い方だ。
確かに、鹿による牧柵の被害は減った。最初はそれでここも鹿が少なくなったかと喜んでいたが、それが楽観だったことを間もなく知らされた。4月や5月の連休のころは、行き帰りの山道で鹿に出会うことは滅多になかったが、最近は以前と変わらず、山道で遭遇することが日常的になってしまった。先日は、山室川の第1堰堤近くの道路に20頭を超える群れが出ていて驚いた。また、道路の脇には至る所で、ミネラルを求める鹿によって地面に掘られた跡が目に付く。
昨日上がってくる途中、軽トラにたくさんのくくり罠を積んだ顔見知りの猟師に会った。その際、某大学の先生が、鹿はかつてのように群れを組まなくなったと話していると聞き、呆れた。そのせいで、鹿の頭数が減ったように見えるというのが、その先生の説明だとか。一体いかなる根拠があってこんな珍説が出てくるのだろうか。それを真に受け、信じているその人の無邪気さも可笑しい。この人は、年間に400頭もの鹿を捕ったこともあると言われてる名人だ。
鹿は基本的には群れを作る。ただし、単独で行動しないわけではないが、あくまで基本は群れで、特に放牧地などで牧草を食べる時がその典型と言える。良い餌場を見付ければ仲間を呼び寄せるのか、それとも分け前にありつくために絶えず他の鹿の動向を注意しているのか、そこまでは知らないが、そうやって群れを利用することで生きていく動物だと観ている。前回も、そして今回も、10頭以上の鹿を捕獲できたのは、この群れの習性をうまく利用し、誘引の塩のやり方を工夫した結果だと考え、納得している。
午後になって降り出すはずの雨が、午前中に本格的に降りに出した。鹿たちは、容易ならざる事態に陥ったことへの不安を露わにしながら、時折警戒の鋭い声を上げ、雨の中で右往左往を繰り返している。
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