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赤く色付いたヤマブドウの葉に、小さな鳥がまつわるように飛んでいるのが目に付いた。そばを通り過ぎようとしたら、鳥と見えたのは1本のクモの糸に絡んだコナシの葉で、それが風に吹かれて揺れていたのを見間違えたのだった。最近ではどこへ行ったのか野鳥の声もあまり耳にしない。
そういえば野鳥ばかりか、鹿の姿も4,5日前からあまり目にしなくなった。日が昇るのが一番早い第2牧区の放牧地には20頭、30頭の群れならいつでもいたが、目にすることがなくなった。囲い罠の入り口には誘引用の塩を置いてあるが、それにも近付いた形跡はない。
われわれには勘づくことのできない季節の進み方、変化を感じ、あの幾つもの鹿の群れは里へと暮らしの場所を移しつつあるのか、いやそれもだが、囲い罠から逃げていった5頭の鹿が、罠には近付いてはいけないと教えたのだろうか。
とにかく季節は間違いなく進み、秋は深まるばかりである。きょうは悪天の予報だったが、有難いことに外れ、何とか濡れずに撮影は進んでいる。監督からは「本当に美しい景色の中で撮影ができて」と声を掛けられた。晴れている時とは違い、曇り空の方がこの季節らしいしめやかさがある。
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昨日はその撮影が2本重なり、1本はまだ今日も明日も続く。精神的に気を揉むことが多く、それで非常に疲れる。しかしこれ以上愚痴めいた話になるのを抑えて、Ume氏が先日仙丈岳で撮ったこの2枚の山岳写真を紹介し、代わりに多くを語ってもらうことにした。
里にはまだ帰れないが、一段落したら家の様子も見に行かねば。本日はこの辺で。