入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「秋」(44)

2021年10月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                                   Photo by Ume氏

 文句のない秋日和。演出に苦慮していた様子の自然が、ようやくにして見せてくれた色彩の見事さを褒めたい。案じていたモミジやカエデはまだしばらく気を揉み続けることになりそうだが、栗やクヌギ、ナラの葉は夏の間の不愛想で鬱陶しい深緑の色が、白色と黄色が混入されて明るい黄緑色に変わっている。森や林全体の色調は黄色が主体でも、そこに太陽の光を吸った薄い朱の色が混ざり、さっきの明るい緑の色もそれなりに所を得て、それにきょうのような青一色の空の下では、モミの巨木の深緑色もいい引き立て役になっている。
 視界の拡がる所までさらに上っていくと、それだけ落葉が進んでいる証拠に、ダケカンバや白樺の白い樹幹が目立つようになり、谷の向こうの縞状に見えているコナシも遠目には大分葡萄酒色になってきた。初の沢が削った深い谷の一画を占める落葉松の人工林の色も、大分赤黒い濁りが取れつつあるようだ。
 午後になって空の青さが一段と深まり、そのせいでか平面的であった空が穹を感じさせるようになってきた。静かだ。

 滅多にないことだが、昨日は1日中里にいた。今夜からまた山の暮らしに戻る。里にいても上にいても2、3日もすれば、どちらであれ、そこが本来自分の生活する場所だと思うようになるのだから面白い。まだ少し里の気分を引き摺ってはいるけれど、すでに新米は焚いてあるし、今夜は例のごとく熱燗にビール、そしておでん、塩気の効いた鮭、オニオンスライスには特製の極辛の酢、もう一品は焼野菜などでもとを考えている。
 程よい酔いは、はて、これからどこへ連れて行ってくれるのか。鹿が鳴いている。
 本日はこの辺で。


 

 
コメント
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