入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「春」(23)

2022年04月02日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 

 今朝も寒い。室内温度が3度。気温は低くも天気は快晴、そうなるとまた春の日に誘われてどこかへと出掛けたくなる。カタクリ峠へ行ったときに、この時季の平凡な里山の良さを感じて、まだ行ったことのない峠道をきょうもまた訪ねてみることにした。
 実はこの峠には昨年の春も一度行こうとしたことがあった。ところが、下調べをしないまま出掛けて方向違いの山に入ってしまい、その後正しい道を突き止めることはできたものの、結局途中で断念した。そういう失敗談を昨年の今ごろ呟いた、あの峠だ。
 
 しばらくは豊富な水の流れる音を聞きながら沢に沿った林道を快適に進んだ。芽吹き始めた樹々にも、遠くから聞こえてくる鳥の声にも、春の生気を感じた。
 前回それ以上の登行を諦めた場所にあった「古道」と書かれた古い案内板を確認して、そこで沢沿いの林道と別れた。かなりの急な山道になった。
 この古道はその昔、諏訪へ行く近道で、峠を挟んだ両側の集落の人との交流も盛んだったと、古道の入り口の案内板に書かれていた。その上、祭りの夜などは夜這いをするために「胸をときめかせて」超えた峠だとも記してあった。
 夜這い、そういうことが一度や二度はあったかも知れない。そんな話が大袈裟に今も伝えられているのだろうが、それにしてもこの急な山道を歩き、一夜のうちに峠を往復する労まで考えたら、お目当ての相手は相当の佳人ではなかったかと、そんなことを想像した。
 案内板には花嫁が馬に乗せられ嫁いでいったという言い伝えも書いてあり、それを読んで、もしも夜這いが縁になったのだとしたら、古道に残るなかなかいい話だと思った。


  「堂平」と読めた
 クヌギの落ち葉を踏みしめながら時々、登路としてなぜこんな場所を選んだのかと言いたくなる所があったり、かと思えば、尾根に出たらそこはまだ峠ではなく、さらに登りが続いていた。諏訪へ抜ける近道だったとの説明にも、旅人には高遠を迂回する方が楽だろうと感じたほどだ。
 それでもこの峠道には、法華道や、奥多摩、上州の山々にも似た懐かしい雰囲気があって、気紛れの「山歩き」にはそれも良かった。
 
 最終地の峠に着くと遥か遠くに、大沢山の第3牧区の西斜面が見えた。あそこは日当たりがよくて、いつもなら真っ先に雪が消えるはずなのにまだ真っ白だった。
 細い尾根の先はすぐに細い山道が下方へと続いていて、雪のせいもあっただろうが一服感はなく、すぐにその場を離れ、帰って来た。
 往復2時間半、思い出したら途中一度も休まなかった。
 本日はこの辺で。明日は沈黙します。
コメント
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