
Photo by Ume氏
写真の中心よりやや左、上から縦に下りてくる1本の緑の線、その左が「追い上げ坂」になる。撮影時期は5月の末で、まだ草はあまり生えていない。写真では分からないが、かなり広い窪みになっていて、今ここに4頭の和牛がいる。
左手の上部は急な斜面で、途中から牧柵で仕切られ、写真全体の中段以下は森だか林を省けば、第2牧区を含んだほぼ放牧地と言ってよいだろう。
昨日の朝、明るくなってきたので眠るのを諦めて、追い上げ坂の様子を見にいった。当然牛のこともだが、それよりか草の状況が少し前から気になっていた。
入牧からわずか1週間しか経っていないというのに、旺盛な食欲によって草はほぼ食べ尽くされ、それも原因したか1頭がまたしても脱柵している。こうなった以上は思い切って、牛をさらに上部の第1牧区へ誘導することにした。
どうせ何頭かのへそ曲がりは残留するだろうと思っていたから、それと脱柵牛を合流させ、追い上げ坂の中段で仕切っていた電牧の上部の草を食べさせれば、それはそれで折角生えた草を無駄にせずに済むと考えた。
と、こう呟けば事は簡単のように聞こえるが、そうするまでにはかなりの時間と労力が必要になる。いや、少しの経験と知恵も。
まず切られた牧柵の補修、中段の電気牧柵の取り外し、そして牛の誘導、脱柵牛を戻し残留した3頭と合流させる。
これらのことをするためには追い上げ坂を2往復と半、小屋との往復3回、第1牧区との往復は軽トラでだがやはり3回に及び、早朝から昼近くまでかかった。
脱柵牛を戻すのは特に厄介で、戻すには柵を開けなければならないが、そうすると他の3頭が出ようとする。それを阻止しつつ、1頭の脱柵牛を中に入れるのである。
これだけ呟いただけでも疲れが戻った。
雨が降る中、囲いの中の乳牛はそれでも草を食んでいる。今年も見慣れた風景が戻ってきた。5,6頭の牛が、雨を避けるかのようにコナシの木の下にいて動こうともしない。1頭だけ入牧したジャージーもその中にいる。
この雨に、さてどうしたものかと考えてでもいるのか、まだ動かない。他の牛たちは草を食んでいるのに、固まったままだ。あれで雨をよけているつもりのようだから、滑稽でさえある。
この囲いの中の乳牛に関してはまず心配は要らない。まだ草は充分にあるし、鹿も逃げれない囲い罠だから脱柵も考えられない。
雨が止むのは夜になるだろう。牛の群れはまだ動かない。笑う。
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本日はこの辺で。