いつか見たテレビの番組だったような気がする、舞台はヨーロッパアルプスで、老いた牧守が孫らしき少年に「牧場の仕事は歩くのが好きでなければ務まらない」と教えていた。確かにそうかも知れない。
それに加えて当牧場の場合は、草刈りが嫌いではやっていけない。牧場ばかりか、その周辺の環境整備を含めれば、この仕事の占める割合はかなりのものになる。
昨年から、第1牧区の周囲に設置してあった電気牧柵の下の草刈りは止めた。これは10年以上も前に県が鹿対策用として設けたものであったが、今ではその効果があまり期待できず、グラスファイバーの支柱やリボンワイヤーの一部を別の用途に向けるためだった。
それでもまだ1㌔位は鹿対策のためではないが、第1と2の牧区に設置してあり、その下の草刈りはすでに2回行っている。
昨日は久しぶりに電気牧柵の点検と、その下の草の状況を調べるため小入笠の頭まで上った。かなりの被害を覚悟していたが、意外や意外、牧柵が明らかに鹿の被害を受けた個所は、頭の終了点近く1箇所だけだった。
この放牧地へは国有林からやって来る鹿の餌場でもあり、群れは常時来ている。クリンソウの大群落の花は早々に摘まれてしまったが、この鹿たちのせいだと見ている。
にもかかわらず、別の牧区なら当然ズタズタに切られてしまうはずの牧柵が、電牧ばかりか有刺鉄線の分も無事であった。この点に関しては、ここへ出没する鹿たちはかなり行儀がいいということになる。
帰り、一面がマーガレットの花で埋められた草原を眺めながら、牧草の状況を調べつつ下りてきた。あんな花が放牧地に増えるのはもちろん歓迎できないが、ここだけだぞ、と言い聞かせて。
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本日はこの辺で。
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