Photo by かんと氏(再録)
いい冬日和が続く。昨年の今ごろと違って、椋鳥の群れが来なくなった。柿の老木を大分伐ってもらったから、目当ての熟した柿の実にありつけなくなったからだろう。
家を留守にしていた間に、頼みもしない留守番が住み着いた。いまそれに手を焼いている。ネズミである。どこから入ってくるのか分からないが、文字通りわが家は陋屋であるから、あいつらにとって侵入は鹿が牧柵を超えるくらい造作無いことだろう。お蔭で、安眠が破られるようになった。
殺鼠剤と"ぺったん"はすでに試した。しかし、敵も然るもの、最初は効果があったけれども今ではどちらも無視を決めてしまい、どうしたら所払いを通告できるのか途方に暮れている。
上でも害獣の鹿と闘い、さらにネズミとも闘って、里でもまたである。昨日は薬局で4錠で3000円以上する「最後の晩餐」などという、ちょっと笑いたくなる殺鼠剤を買ってきた。1錠800円もする代物で、麻布の高級チョコよりも高いことになる。敵の数も分からないのに、ウクライナの戦いではないが、弾丸の数がこれで足りるのか。
で、昨夜も奴らの物音はしていたが、口を付けた様子はない。4週間で効果がなければ返金すると箱に印刷してあったが、そんな気の長いこと言っていては商品名が泣く。
薬局の人には顔を覚えられ、陰では「ネズミの人」などと言われているかも知れない。昨夜、洋服箪笥の裏に一カ所進入口を発見したのでフタをしようとしたのが夜も10時過ぎ、適当な物が見付からない。思い余って石ころと薪割の斧で塞いでやったが、さすがにこの取り合わせには自分でも嗤うしかなかった。
冬の星空が美しい。あの人が好きだったプレアデス星団は、じっと見ていると靄のような星団が一瞬星粒になって見えたりする。冬のダイヤモンド、オリオン座、言葉にならない深いことを語ってくれているような気がしてくる。
本日はこの辺で、明日は沈黙します。