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きょうも晴れている。典型的な冬の天気で、同じ長野県でも北の地方は雪が降っていても、「南信」と呼ばれるわれわれの地域は晴天の日が多い。
晴れても、標高は700㍍位あるから気温はそれなりに低く、今朝9時ごろの室内気温は3度だった。零下にならなければまだマシで、下がる時は室内でも零下4度くらいになる。
それでも温暖化の影響は明らかで、かつては入笠へ行く途中の千代田湖は、たくさんのスケート客が訪れたと聞くが、今は昔しの話になってしまった。
冬枯れの変哲なきょうの写真は、散歩の途中に超えていく小さな峠である。われわれの集落とは別で、それもこの峠は人家からは離れていて、名前があるのかないのか分からない。
この峠を越えるとさらに別の集落になるが、ここも人家のまばらな集落の端を通ることになり、距離的には大体中間くらいになる。
歩き出す前は気のあまり乗らない時もあるが、それでも不思議と、幾つかの目標にしている場所が呆気なく過ぎていき、この峠に着くころにはそんな気持ちも消えてしまう。前にも呟いたが、まだ先のことだと思っていた年齢を、いつともなく過ぎてしまっている人生と似ている。
瀬澤川の流れる谷までは、と思っているといつの間にかそこを過ぎ、遠いと思っていた峠も山田の先に見えてくる。疲労感はなく、むしろ散歩気分が快く、色彩の乏しい野面を吹き渡る風も気にならない。
座っている時もそうだ。遅々として進まない時間、それを示すなかなか燃えて短くならない線香、それでも確実に時の経過はその線香があやまたず教えてくれる。
何というか、過去と未来の間の、殆どあるかないか分からないような薄い、一瞬の「今」が、存在感を感じさせるようになり、「今」を繋ぐ線香の長さが半分ほどになるころには妄念、邪念、雑念を追いやろうとする闘いは続いても、より鼻の呼吸に集中することができるようになる。そして約40分後には目の前の線香は燃え尽きて、灰の中で消える。
たった一日の中の1時間にも満たないわずかな時間であるが、心のラジオ体操になったと思える時であり、誰に、何に、感謝するわけではないが、自然と頭が下がる。
本日はこの辺で。