入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’17年「秋」 (34)

2017年09月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 紅葉が一番早いのはツタウルシかヤマザクラだろう。来る途中の山道に、大分落葉が目立つようになったが、それらは紅葉一歩手前で散った多くは病葉(わくらば)で、紅葉とは言えない。
 ツタウルシの葉が赤く染まるようになると、季節は一段と進み、秋色は日増しに濃くなる。しかしそれも1ヶ月だろうか、いくら長い秋を望んでも、やがては艶やかな季節は老いた人のように精彩を失い、次の季節が待っている。秋を心待ちにしていた間の方が、実際の季節よりも余程長いかも知れない。
 秋の来ることばかりを願うようになったのは、いつのころからだろう。こうやって、2千メートル近い牧場で働くようになったころからだとすれば、10年以上ということになる。いや、夏という季節に何の感興も抱かなくなったのは、恐らくもっともっと以前のことだろう。
 
 今年、ここには夏が来なかった。しかし、秋は確実に来る。いや、もうすでに来ている。春、夏、秋と今年3回来てくれた中高年登山者のKさん夫妻は設営を終え、焚火でも始めたらしい。榾の燃える音がここまで聞こえてくる。Kさんの友人2名は、時代遅れの山小屋泊まりだが、秋の木漏れ日を浴びながら入浴するというので、ビールを忘れないようにと言っておいた。

 焚火が恋しい季節、当キャンプ場は一応「直火可」。ただし所定の場所に限られ、どこでもそれができるわけではないので念のため。
 これからの季節は時代遅れの山小屋がオススメ。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

 
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     ’17年「秋」 (33)

2017年09月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日もきょうも、牧場内を走る道路に覆いかぶさるコナシの枝打ちに精を出した。今回はかなり思い切って切った。そうしておかないと、このコナシという木はたちまちのうちに繁茂して、道路を塞ぐ。この仕事は、まだまだ続く。

 昨日、道具を取りに管理棟に戻ろうとしたら、塩場に雄牛のマッキーだけが横になっていた。声をかけたらゆるい反応を見せたが、たった1頭だけでいるのは珍しいことだった。うるさい雌牛たちから離れてみたかったのか、それとも彼女らに肘鉄砲でも喰らったのか。
 仕事を終えた帰りがけ、塩場と水場のある場所にいつものように牛が来ていた。塩が欲しそうだったので小屋に取って返して、持って行ってやった。塩をやりながらいつもの癖で、頭数を数えた。すると、1頭足りない。妙なこともあるもので、いなかったのは昼の間に物思いに耽っていたマッキーだった。
 そこで、大声でマッキーの名を呼び、笛を吹いた。すると夕闇の中、はるか遠くのコナシの林の中からマッキーが巨体を揺らしながら、走ってこっちへ向かってきた。
 一般に牛はノロくて、不愛想だというふうに思われている。馬と比べられて、敏捷さに欠け、懐かないと。しかし実際はどうだろうか、牛も身のこなしは決して悪くない。こうやって調教すれば、それなりの反応もするから決して愚鈍ではない。
 牛たちがここにいるのも、すでに1ヶ月を切った。4か月の間には雨や風にも耐えなければならなかったが、それでもここは天国だったろう。これからの家畜として生きる短い生涯を考えれば、そう思う。

 焚火が恋しい季節、当キャンプ場は一応「直火可」。ただし所定の場所に限られ、どこでもそれができるわけではないので念のため。
 これからの季節は時代遅れの山小屋がオススメ。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

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     ’17年「秋」 (32)

2017年09月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 先日の台風18号のことだが、さすがにあれだけの強風が里でさえも吹けば、標高2千メートルに近い牧場は被害無しでは済まなかった。昨日は秋日和の中、一部で通電しない電気牧柵の問題箇所の原因を探って歩きにあるき、一日の大半を過ごしてしまった。通常であれば、およそ8千ボルト以上の電圧が流れるはずだが、まだ見付けられない不良箇所があるのだろう、いまだ6千ボルトくらいしか出ない区間もある。
 そのことはさておき、倒木である。太い落葉松が2本、通常の牧柵と電牧の上に倒れているのを発見した。きょうはそれらをチェーンソーで切り分け、管理棟まで運んできた。これらが、露天風呂の優れモノの燃料になるからだ。
 ここの露天風呂の燃料は薪と石油の併用が可能だが、薪を使って立てた風呂の湯の快適さは、石油とは全く比較にならない。湯が肌にことのほか柔らかで、温もりが体中にゆっくり、しっかりと伝わってくる。
 もう幾年も前のことだが、朝早くから藪山を一心不乱に整備している老人がいて、その熱心さを連日目にしているうちについ声を掛けたことがあった。すると、薪で沸かした風呂に入るのが楽しみでやっているのだと話してくれたことを覚えている。「今の人たちは知らんだろうけどな」と言って、目を細め笑った。
 あの老人は今も健在だろうか。あの時間に、すでに山に入り作業をしていたということは、一体いつ家を出てきたのだろうかとその勤勉さが偲ばれ、感心したものだった。
 あの人ばかりでなく年を取った人ほど野良に出るのが早い。相変わらず、手と足と、昔からの農具を使い狭い田畑を耕し、わずかばかりの野菜を作っている。そう言えば、山室川でよく見掛けた老婆はどうしたのだろう、このごろ姿を見ない。いつも手塩に掛けて手入れしていた畑は、今年は春から何も植えられずに放ったらかされたままだ。

 焚火が恋しい季節、当キャンプ場は一応「直火可」。ただし所定の場所に限られ、どこでもそれができるわけではないので念のため。
 これからの季節は時代遅れの山小屋がオススメ。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

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     ’17年「秋」 (31)

2017年09月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 長い秋の続くことを願っていると、以前にも書いた。長いと言っても、それは具体性のない願望であって、いつかは終わる人生の秋を、同じように思うのと変わらないだろう。
「終活」などという言葉を聞くようになったし、あれだけはしたい、これだけはしておきたいと、今生に思いを残しながらオロオロしていいるうちに、その時は確実に来る。ふいに来るのか、ゆっくり来るのか、いずれにしても季節はまた巡ってきても、人生の秋は一度しかない。そういうことを、この美しい季節はしみじみと感じさせてくれ、それだけでも尊い。
 
 山奥氏がまた漁に行って、メバチマグロの大きいのを釣ってきたと嬉しそうな連絡があった。ビールでも持って帰りに立ち寄り、今夜の〝祭″はそれで決まり。
 秋日和のいい気分の一日がようやく終わりつつある。感謝。

 焚火が恋しい季節、当キャンプ場は一応「直火可」。ただし所定の場所に限られ、どこでもそれができるわけではないので念のため。
 これからの季節は時代遅れの山小屋がオススメ。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

  
 
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     ’17年「秋」 (30)

2017年09月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日、神奈川から来たという一組の夫婦は、朝来たらすでにいなかった。ここへ来るの前に下に用事ができ、いつもより30分ほど遅かったのだが、恐らく撤収はもっと早くて、普通に来ても会えなかったと思う。
 ここに着いたばかりはさかんに「良い所だ」を連発し、しかも連泊するとも言ってたはずだったが、多分、原因は寒さだったろう。5人用の大型テントに二人で寝るにはこの時期、それなりの準備が必要だが、それができていたのかどうかあやしい。一応ここでも1千700メートルの高地である。折角、土星を見るのだと買ったばかりの望遠鏡を持ってきたようだったが、昨夜は首尾よくその目的を果たすことができただろうか。
 思いがけずも昨日は北原のお師匠も来て、二人で小黒川林道を下ることに決めた矢先の来訪だった。そのため、こちらも充分な説明ができなかった憾みがあった。また美しい星空を見に来てほしいものだ。
 きょうも愛知からの予約が入っている。しかし、この時間になっても来ないところをみると・・・、と書いたところで電話が入った。来方が分からないようで、入笠山の登山口辺りにいるらしい。確かに、伊那側は不親切で分かりにくい。このくらいのことは、観光を云々する以前のこと。適所にキチンと、スマートに道標を設置すべきだ。
「お風呂に入りたいねぇ」という奥方の声がする。最初は興味を示さなかったのに、露天風呂を見てその気になったのだろう。クク。ここの風呂は、水のせいで、ぬるめにゆっくり入ると非常に温まる。
 
 焚火が恋しい季節、当キャンプ場は一応「直火可」。ただし所定の場所に限られ、どこでもそれができるわけではないので念のため。。
 これからの季節は時代遅れの山小屋がオススメ。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
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