入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

   ’18年「初夏」 (11)

2018年05月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 コナシの蕾は赤い。この赤い色がなくなると、右手の木のように白い花が咲く。

 忘れないうちに書いておきたい。月曜日に捕獲した10頭の鹿は、ナント7頭が逃げてしまうというはなはだ遺憾な結末で終わった。必死で脱出しようとしたのだろう、運よくキツネだかタヌキの抜け道を見付け、図体の小さいのからかろうじてその穴を使い逃げおおせたようだ。逃げ損ねた3頭は、いずれも子を腹に持っていた。
 この囲い罠はできてから10年以上が経つ。あまり気を入れて保守管理をしてこなかったせいかも知れない。今年はすでに2回もゲートが作動せず、逃げられている。また余計な知恵を鹿に付けさせてしまったが、しかし、どこかでほっとしてもいた。憐憫ではなくて、解体の手間を考えてのことだが。



 例の下から7番目になる丸太橋の直しに行ってきた。チェーンソーを首からぶら下げ、小さなザックを背負い、手に番線の束を持ち、途中からは丸太も担いだ。仕事をする前から、それだけで疲れた。寝不足のせいもある。
 どうも橋にも、場所にも相性が悪いに違いない。それに久しぶりのことで、手順も良くなかった。番線が固すぎて扱いにくかったこともある。4本並べ、その上に横木を置き、シノを使って番線で丸太と横木を結束していくのだが、その作業のやりにくいこと。それだけで血圧を上げ、疲れた。
 当然水の中に入るので、サンダル履きで行ったが、厚手の靴下を履かず素足だったのは失敗だった。水の中で足裏に砂や砂利が侵入してきて歩きずらいことこの上なし、それを我慢しているだけで不快感は募るばかりだった。おまけに、ズボンの裾はいくらまくってもだらしなく落ちてきて、これまた水の中の歩行をやりにくくしてくれた。
 一応、橋の上を歩けるようにだけはしてきたが、納得してない。明日、もう一度手を入れることにする。


 FAXでも予約や問い合わせに対応できるようになりました。ご利用ください。 入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。

 




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   ’18年「初夏」 (10)

2018年05月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



Photo by Ume氏

 コナシの一斉開花まで、あと一息のところまで来ている。今朝、上に着いた時の気温は10度をわずかに超えただけだったが、一度勢いが付けば、開花はそれほど寒暖に影響されることはない。今週末ごろになれば、大沢山や小入笠の縞状に植わっているコナシに真っ白い花が咲き、幾重もの見事な花の帯が山や放牧地に見られるだろう。
 少し雨は降ったものの、昼を過ぎると小降りになった。これくらいなら外の作業に支障はない。明日を待てず、テイ沢の流された丸太橋を引き上げにいくことにした。この頃、何事にも、気長に構えていることができなくなってきた。年齢から来るのだろう。



 丸太橋は以前に調べて、本来あるべき場所から100メートルほど下流に流されていることは分かっていた。写真は、ひっくり返っていた橋をようやく上向きに起こし、横木を何枚かはずしたところ。一度は全てをバラバラにして、それから丸太は1本づつ背負い、元の場所に運び上げなければならない。厄介な作業が予想され、天気を理由に延期も考えたが、それでは来た意味がないと思い直した。単純で、力の要る作業をしていると、仕事とは全く関係のないことを考えている自分に気付いて笑う。冷たい流れの中での作業だったが、それほど手古摺ることなく終わった。
 今も流れ止めのロープに繫がれ残骸が残っているが、この橋を見てテイ沢の丸太橋の架け替えを決意した、言わば因縁の橋であり、場所である。その後、友人知人の支援も何度か得て、9か所の丸太橋の架け替えが終わり喜んだ。そしたら、10日もしないうちに今回のような大雨で、7か所の橋が流されてしまった。そのことは前に書いたが、それらの架け直しの記憶はもう殆どない。
 いつぞや神経質そうな若僧に、傾斜している箇所があり歩きずらいとエラソーに文句を言われた。もうその部分は直したが、こんな程度の沢は橋が無くても若者なら、どんどん渡渉できなくてどうすると言ってやりたかった。落としたりはしないが、濡れてみなければ分からないこともあるゾ。

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   ’18年「初夏」 (9)

2018年05月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by Ume氏

 きょうはおかしな日だ。火災報知器の関係者、東部支所の所長、単独で来た知人の女性登山者、猟友会、さらに午後からは伊那市のミドリイーナ委員会の委員が来ることになっていて・・・、そして今、昨夜から小屋に宿泊のKNIさん夫妻を見送ったばかりだ。それに珍客、鹿が10頭ばかり囲い罠の中にいる。(5月21日記)

 さらに午後、何となく来そうな気がしていたら勘が当り、北原のお師匠、師の奥さん、そして孫娘のMさん3人がやって来た。お師匠ご一行はいつものように本家御所平に登り、師が自ら背負い上げたお地蔵様の許で、幾ばくかの幸福な時を過ごしたようだった。



 土、日にかけてキャンプに来た「青柳隊」の面々。時間的な余裕ができれば、こんなふうに牧場案内をすることもある。それにしてもこれは"過積載"に見えるが、この撮影のための演出。不思議なことに女性ほど軽トラに乗りたがり、露天風呂に入るのが好きだ。



 報道関係者を1名同行させてのミドリイーナ委員会委員とテイ沢へ。この委員会は50年後を目途に、今後の伊那市が取り組む森林の保全とその活用を支援するため、行政と民間が一緒になって立ち上げた組織。将来の入笠の自然にも、良い影響を与えてくれるだろう。

 これから、下から来る鉄砲撃ちと協力して鹿10頭の殺処分を行う。「天気晴朗」だが風が強いから、その影響を受けるかも知れない。小屋の冷蔵庫にも、1頭分くらいは確保しておくつもりだから、運が良ければ賞味可能(無料)。

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   ’18年「初夏」 (7)

2018年05月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など





 朝の5時台はまだ霧が深かったが、6時近くになると、入笠山の背後から光彩を放ち始めた朝日によって、次第に白い覆いはその濃密さを維持することができなくなった。午前6時、気温零度。陽の当たらない草地は夜間に降りた霜で白い。上空に残っていた薄い雲の塊を、鋭い朝日が一瞬の間にかき消した。と思ったら、またすぐに周囲は深い霧に閉ざされていった。霧と太陽の攻防が一進一退を繰り返しているのを眺めていると突然、圧倒的な太陽の光があたりを一掃した。何もない真っ青な空が広がった。

 キャンパーの声がする。朝食の支度でも始めたのだろう、笑い声が聞こえてくる。昨日は2組で合計8名、いずれも遅い到着だった。後から来た男女2名が、露天風呂のあることを知ると、是非入りたいと言い出した。偶々下界での約束中止の報が入ったので、それでこの人たちの要望に応え、1時間ばかりをかけて風呂を沸かすことにした。対して先着の青柳から歩いてきた女性5名、男性1名は露天風呂のことを話してもまったく関心はなさそうだった。しかし、後になって、この6名も結局は露天風呂の実力を知ることになる。
 風呂が沸く間に、牧場を案内することにした。最初は二人の男女を、そしてその後6名を。全員が思いもしなかった雄大な眺めに驚き、感動した。とりわけ後続の6名は、ちょうど乗鞍に日が沈んだばかりだった。夕暮れのその大展望に、森に潜んでいたクマが恐れをなすような声で、皆が絶叫した。
 ところが昨夜はそれだけでだけは終わらず、壮大な星空、賑やかな宴会、そして露天風呂に興味を示した人もそうでなかった人も一人残らず、その快感と温もりが身に沁みて安らかな眠りにつけたと、知り合いのフクロウの声はそう聞えた。

 牛の入牧は6月13日と決まった。テイ沢の下から7番目(上から3番目)の丸太橋が先日の大雨で流失したのを、きょう確認した。

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   ’18年「初夏」 (7)

2018年05月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 ヤマナシだけでなく、コナシの開花も始まった。1千400メートルのオオダオ(芝平峠)でコナシの白い花を見たと思ったら、牧場でも早い木は花が開きかけていた。同じように、初の沢の大曲手前からは、ダケカンバがようやく芽を吹き出して、遠くからでも分かるようになってきた。あそこは、無愛想然としたモミだかシラビソの濃い緑と、萌え出したばかりのダケカンバの新緑や、樹幹のクリーム色がいい組み合わせになって谷を引き立てている。





 昨日は参った。牧場の作業道を整備していたら、嫌がらせでもするかのような岩の突起にぶち当たってしまった。こういう性格の悪そうななのは相手にしない方が懸命だが、動かせるかどうか大きさだけでも見てやろうと、ツルハシでゴッチンゴッチンやり出したのがいけなかった。いろいろ探っているうちに、ツルハシの先端がようやく岩の端らしきを捉えた。と言っても、そんな程度では岩はビクともしない。小屋まで戻り、バールを持っていき、試しに梃子の力を利用すると、わずかだが動いた。そこまでやってしまうと、止めたくてもう元には戻れない。いつの間にか道は荒れてしまって、何としても掘り起こさなくては、車を通すこともできなくなってしまった。
 昼を済ませて、再挑戦したが、どうにもならない。というよりか、一人では無理だと観念した。そこでやむなく、森の中にいつもいる人に救援を求めることにした。山奥氏のことだ。電話をしたら、氏は隠れ家にいて、昼飯の最中のようだったが、終えたら来てくれると言った。つい、すぐ隣の住人でも呼ぶように言ってるが、ここまで来るには実は10キロの山道を上がって来なければならない。
 待つこと小1時間、山奥氏が来て、二人であれこれ検討をしながらも、多くを氏に頼った。「オレは土木でなく建築だ」と言いつつも、写真は岩の先端が顔を出し、次の一手を氏が考えているところ。
 それからどれくらいが経ったか、碑にしてもおかしくないような岩を、遂に掘り起こすことができた。これでこの岩は、これから先ずっとこの場所で、二人の奇人の健闘と努力を物語ってくれることだろう。山奥氏に大感謝!

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