市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

飲酒ひき逃げで高校生を重体にしたハンコ店主への懲役3年求刑と未処分を続ける安中市長の温情

2010-06-10 23:54:00 | 安中市消防団員の飲酒ひき逃げ運転
■先週の週末、6月5日(土)から6月6日(日)にかけて、高崎高校で毎年恒例の文化祭、第58回翠巒(スイラン)祭が盛大に行われ、無事終了しました。天候にも恵まれて絶好の文化祭日和だったようです。

 ところで、昨年の第57回翠巒祭は6月6日(土)と7日(日)に開催されましたが、二日目の6月7日午前1時ごろ、同校正門前の市道で、スイラン祭の準備作業中だった同高1年の沢田拓朗さん(15)が乗用車にはねられたことを記憶している市民も多いと思います。

 このとき、沢田さんは頭を打ち、意識不明の重体となったのです。しかし、その後の、賢明な治療と、なによりも若い肉体と強靭な精神のおかげで一命をとりとめたばかりか、驚異的な回復力を見せて、現在は若干の事故の後遺症は残るものの、勉学にはほとんど支障ない状況まで回復しています。きっと、今年のスイラン祭にも元気よく参加したことでしょう。

■昨年6月に事故をおこしたのは、安中市のハンコ屋の店主で、安中市消防団の副分団長の経験者でもあり、配偶者は安中市議会議員として、岡田市長を支える創政会のメンバーです。

 昨年の事故の報道によると、高崎署は平成21年6月7日に、道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで、同県安中市安中、自営業、瀧本雄次容疑者(62)が逮捕されました。そして、同日午前6時半ごろ、同容疑者の家族が「(同容疑者が)人をはねたと言っている」と同署に通報しました。同署によると、同容疑者は「飲酒運転の発覚を恐れて逃げた」と容疑を認めているとのことでした。

 つまり、ひき逃げした店主本人は気が動転して何もできず、市議会の修羅場をくぐった経験のある妻が、本人に代わり、高崎警察署に連絡をとり、警察に対してアピールをしたかったのか、あるいは危機管理対応ができない本人に代わり、度胸のあるところを示したことがわかります。

■ひき逃げ傷害事件から、ちょうど約1年を経過した今年の6月9日に、このひき逃げ傷害事件で起訴された製印業店主の滝本雄次被告に対する論告求刑がありました。それを報じた上毛新聞の社会面の記事です。

**********
懲役3年を求刑 高崎高前ひき逃げ 一部、無罪を主張 地裁高崎支部
 高崎高正門前の市道で昨年6月、文化祭の準備中に同校1年の男子生徒=当時(15)=が乗用車にはねられた事故で、自動車運転過失傷害と道交法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の罪に問われた安中市安中、製印業、滝本雄次被告(63)の論告求刑公判が9日、前橋地裁高崎支部(佐藤基裁判官)であり、検察側は「被害者や家族に与えた苦痛は甚大」として、懲役3年を求刑した。
 論告で検察側は、提出された証拠を基に、滝本被告が当時酒気帯び状態であったこと、前方を注視していれば事故を回避できたことを指摘。「飲酒運転に対する規範意識が極めて低く、人の生命を顧みず逃走した行為は危険かつ悪質」と非難した。
 被告側は「事故当時の被告の血中アルコール濃度は立証されていない。現場の状況で衝突前に被害者を発見するのは難しく、被告に過失はない」として、酒気帯び運転と自動車運転過失傷害について無罪を主張した。
 男子生徒の父親が意見陳述し、「息子は何日も激しい痛みに耐えなければならなかった。事故は無念であり、痛恨の極み」と声を詰まらせながら訴えた。
<上毛新聞平成22年6月10日付け社会面>
**********

■高校生をひき逃げして重体にしたまま放置して、同乗の女性を送り届けてから自宅に逃げ帰って、明るくなってから市議の妻に高崎署に電話してもらって、警察の来るのを待っていたのに、「事故当時の被告の血中アルコール濃度は実証されていない」などと無罪を主張するとは、あきれ果ててしまいます。

 しかも、被害者にまともに謝罪さえしていないのですから、罪の意識が希薄なのはあきらかです。にもかかわず、検察がたった懲役3年しか求刑しないのみ不可思議です。

■一方、安中市議でもある被告の妻は、来年4月の安中市議選に再度立候補する意向のようですが、この背景には、岡田市長を支える与党会派所属という自負があると思われます。事故発生直後から、市議会議長を同伴して、岡田市長のところに挨拶にいっており、司直に対する岡田市長の政治的な影響力を期待しているものと見られます。

 これを裏付けるかのように、消防団員だった滝本雄次被告の退団届は、事故直後に消防団長に受理されましたが、退職金の取り扱いも含め、処分の方法については、事故発生から1年以上経過するのにまだ先送りされているようです。

■安中市では、一昨年の10月4日午前0時5分ごろ、長野県軽井沢町追分の町道で車体がへこんだ軽乗用車を運転中、通報で駆けつけた軽井沢署員の調べで呼気1リットル中0・2ミリグラムのアルコールが検出されたことから、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕された当時55歳の公民館長補佐の例があります。

 この安中市職員の場合は、その後の調べで、平成20年10月3日午後11時50分ごろ、同町内の交差点で信号待ちしていた乗用車に追突、2人に2週間のけがを負わせて逃げた疑いもあることが分かり、同24日、長野地裁佐久支部に自動車運転過失傷害と道交法違反(酒気帯び、ひき逃げ)の罪で起訴されて、安中市は同被告の上司の教育長ら3人も文書による厳重注意にしたあと、逸早く、翌25日付けで懲戒免職処分にしたことを同26日に発表しました。

■一方、滝本雄次被告の場合は、事故発生から1年経過しておりますが、本人からの退団届は受理されていても、処分はまだ行われていない可能性があります。安中市は今回の飲酒運転致傷事故については、なぜか、まったく公表しようとせず、当会は都度、情報公開請求で事情を把握してきました。

 安中市では当初は、滝本容疑者の起訴を待って、処分を検討するとしていましたが、既にとっくに起訴されて、裁判で論告求刑が行われた現在もなお、未処分のままなのか、疑問の声が上がっています。


いつもながらの摩訶不思議な安中市役所の二重基準で、店主が未処分のまま起訴されながらも通常通り営業中の店舗。

■市民の間には、岡田市長が政治圧力を行使して、滝本被告の刑事判決では、執行猶予付きの判決が出され、実質的に無罪になることを見越して、未処分のままにしているのではないか、とのうがった見方もあります。

 いずれにせよ、本当にまだ未処分のままなのかどうか、当会としては、さっそく情報公開請求で事実関係の確認を取ってみたいと思います。

【ひらく会情報部】


こちらも首都高で大事故を起こしながら平常通り営業中の多胡運輸。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする