市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

個人や法人・自治体による線量計の購入費は賠償範囲に含まれないと主張する東電の呆れた論理

2012-07-31 22:53:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■東電福島第一原発事故の尻拭いのために、平成24年7月25日に、「家庭や商店・事務所など低圧の電気料金について、平均8.46%値上げが経済産業大臣から認可され、平成24年9月1日から実施されることが決まった」と、東電のホームページに掲載されました。原発は安全だという神話を作り、オール電化やエコキュートなど、CO2対策面からも環境にやさしいなどという耳障りのよい謳い文句で電化を普及させてきたのに、ひとたび原発神話が崩れると、今度はいの一番にオール電化を導入したユーザーをターゲットに値上げをする東電のやりかたには本当に怒りを禁じえません。

安中市を管轄する東京電力高崎支社(〒370-0828 高崎市宮元町1-2)。
 そのため、7月30日に東電高崎支社を訪れ、一体いくら値上がりするのか、確認すると共に、原発由来の放射能汚染対策として線量計の購入を余儀なくされたことについて相談しました。

 その結果、オール電化の加入者に対しては、新聞報道されているような契約アンペア60Aの場合10.3%の値上げになるのでなく、9%台になる見込みだとし、線量計については、東電の福島原発補償相談室に補償の対象になるのかどうかを回答するように伝えておく、という回答がありました。

■オール電化の場合、「10.3%ではなく、9.7%に値上げ幅が縮小されると言っても、平均8.46%より値上げ幅が大きく、東電の勧誘に応じてオール電化を受け入れた側としては、騙された気持ちになります。事実、そうした疑問の声がオール電化を導入したユーザーから多数、東電高崎支社にも寄せられているとのことです。それでも、「平均並みには出来ません」との一点張りでした。

 一方、東電のホームページによれば、ビル・工場など高圧・特別高圧の電気料金(自由化部門)については、料金原価を見直し、平成24年4月1日以降に要請通知を出している値上げ料金から、25銭/kWhを引き下げるとのことです。もともと単価ベースの安い事業者用の電力料金からは、さらに24銭/kWh値下げし、利益の9割を稼いでいる家庭用は高い単価ベースなのに、さらに9.7%も値上げするのです。こんな理不尽なことはありません。

■さて、本日7月31日午後2時12分頃、東電の福島原発補償相談室(コールセンター:0120-926-404)の戸辺担当から電話がありました。話を聞くと「個人や法人が線量計を購入しても、現時点ではそれら計測器に対する損害賠償は、取り決めによって、補償対象に含まれていない」のだそうです。そこで、「“取り決め”って、いつ誰とどのような内容で取り決めたのでしょうか?」と尋ねたところ、「まだ補償範囲については、はっきり固まっていない部分がある。東電のホームページhttp://www.tepco.co.jp/comp/faq/index-j.html で補償について明確に規定されていない項目については、現時点では補償の対象にしていない」という東電のコールセンターからの返事でした。

 その根拠についてしつこくたずねると、上記ホームページに「01:賠償される範囲について」「Q01-1.賠償内容はどのように決めているのか。」という問いに対して「当社は、中間指針を踏まえ、賠償基準を作成しておりますが、中間指針に示されていない損害項目についても、当社原子力発電所事故と相当因果関係の認められる損害については、個別にご事情を伺わせていただきますので、当社コールセンター(0120-926-404)までお問い合わせください。」としているのだそうです。

 そして、今回、個別に事情を伺うための電話があったもので、それによると、東電側の言い分は、「(当社の)ホームページにある賠償される範囲というものに、線量計は対象として含まれていない」のがその理由だそうです。

■それに対して当会では「そもそも、東電の原発神話が地震で崩壊しなければ、こうした線量計などを購入する必要はありませんでした。本来、放射能汚染の度合を、原因者である東電が被災住民に積極的に測定結果を情報提供するのが当然であり、さもなければ、東電が線量計などをどんどん貸し出すなり、あるいは、メーター検針の際に、線量測定をサービスとして行ない、需要家に通知することが必要ではないでしょうか」と疑問を呈しました。さらに「事故後1年半近くも経過して、未だに食品の放射能汚染を計測する装置が身の回りにないという実態とともに、私たちの関心は、降下したセシウム等に汚染された農作物等の飲食物の摂取による内部被曝がどの程度ひどいのかの実態を知りたいと、とりわけ、小さなお子さんをお持ちの主婦の方々の不安は非常に強いものがあります。こうした不安に一刻も早く答えるのが東電の使命と思われますが、その点はどうなのでしょうか?さらに、実際の内部被曝量を確かめるために、各地域の病院にホールボディカウンターを東電の費用で設置し、そこで無料で誰でも内部被曝量を測定できるサービスが緊急に必要ではないでしょうか?」と尋ねたり提案したりしました。

 しかし、東電のコールセンターの担当者は、「ご意見は上に伝えます」と繰り返すばかりでした。

■そこで、当会は改めて、次の要請書・公開質問書を東電に提出しました。

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平成24年7月31日
東京電力 御中  FAX 0120-12-8589
〒379-0114
群馬県安中市野殿980番地
小川 賢
電気料金値上げの見直し要請書及び公開質問
前略 再三にわたり値上げを思いとどまるように要請しているにもかかわらず、貴社では、東京電力福島第一原発事故による放射能漏れの国家的損害の責任も取らないまま、値上げ手続を進めていることは誠に遺憾です。
 このことについて、関連して、貴社に対して公開質問をしたいので、書面にてご回答を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
1.電気料金値上げの見直し要請
 さて、平成24年7月25日に、政府は貴社が申請した家庭向け電気料金の値上げを正式認可したと発表しました。
 ところが、発表された、この値上げ幅を見ると、平均8.46%となっているものの、一般家庭の大半が入る契約区分「従量電灯B」で、7段階ある契約アンペア別に今回の値上げの影響を見ると、最も値上げ額が高いのが60アンペアとなっており、平均使用料が540キロワット時の場合、値上げ額は1438円、値上げ率は10.3%で、月額料金は1万5402円となっています。
 貴社は、なぜ、アンペアが大きく使用料が多くなるほど、値上げ率を高額に設定しているのでしょうか。
 我が家は、貴社の勧めに応じてオール電化、エコキュートを導入しており、冬場のピークには600キロワット時を超えるため、2万円前後の料金を支払ってきました。
 オール電化を導入した場合、契約アンペアは60アンペアしか選択の余地が有りません。にもかかかわらず、契約アンペアが高いほど、値上げ幅を大きくしているのは一体なぜでしょうか。
 貴社に提供している電柱敷地については、管理のため、電柱や支柱ワイヤー等の根元周辺の草刈などの手間もかかりますが、草刈器の燃料も値上がりしております。したがって今後は、一切、そうした手間を省かざるを得ません。
 既に申し上げているように、電柱敷地料については、貴社のコストダウンに協力する意思があります。だから、契約アンペア数による累進の価格体系をやめて、値上げ幅を平均以下に抑えていただけないでしょうか。
2.公開質問
(1)私の家でオール電化を導入した際、契約アンペアは60アンペアしか選択の余地が有りませんでした。にもかかかわらず、契約アンペアが高いほど、今回、値上げ幅を大きくしているのは一体なぜでしょうか。理由を分かりやすく教えてください。
(2)電柱敷地の料金には管理費というものも含まれているのでしょうか。もし含まれているのであれば、今後、一切電柱敷地内の管理をしないので、その分を減額してもかまいません。貴社の見解を教えてください。
(3)私の家では、平成24年6月分を例に取ると、契約種別:電化上手、契約:6kVA、使用量:総計438kWh(昼間36kWh、朝晩146kWh、夜間206kWh)、請求金額:8,703円(うち消費税額414円)(基本料金:1260円、昼間料金:2432.08円、朝晩料金:3376.98円、夜間料金:1889.02円、燃料費調整:240.90円、太陽光促進付加金:26円、全電化・機器割引:-521.40円)となっています。この場合、9月以降の値上げ幅によればどれくらいの値上げとなるのか教えてください。
 以上宜しくお願い申し上げます。  草々
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東電高崎支社の屋上には太陽光発電装置が設置されていて、1階ロビーに発電量を示すボードが天井にぶら下がっている(午前11時現在8.2kWhを表示)。東京電力が太陽光発電に参入したら、やはり20年間太陽光発電による電力を1kWh当たり42円で自分から自分へ買い取るのだろうか?

■安中市では線量計を多数購入しているはずです。また、水道水や浄水場汚泥の放射能汚染検査や、学校のプールや給食の安全確認のための測定業務委託、そして、高濃度汚染土を隔離してストックしておくための枡など、東電福島原発に起因する放射能汚染対策費を迅速にもれなく東電に請求する必要があります。この件については、住民監査請求手続を活用して、安中市長に損害の回収を促してゆく予定です。

【ひらく会情報部】

コメント
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