市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ裁判・・・被告群馬県が続けて出して来た第5準備書面の支離滅裂

2016-06-29 00:49:00 | スラグ不法投棄問題
■群馬県吾妻農業事務所による東吾妻町萩生川西地区における圃場整備事業に伴う農道整備工事で、あろうことか有毒物質をふくむ大同スラグが敷砂利として不法投棄されたにも関わらず、それを撤去しないまま上に舗装で蓋をしてしまった問題で、来る7月8日(金)午前10時30分からの第5回口頭弁論が迫る中、被告群馬県農政部が6月21日付の第4準備書面等に続いて、6月23日付で第5準備書面を提出してきました。内容は次のとおりです。


*****被告からの送付書*****
PDF ⇒ 201606235t.pdf

*****被告第5準備書面*****
PDF ⇒ 201606235.pdf
<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告  小川賢,外1名
被 告  罷%県知事 大澤正明

               第5準備書面

                            平成28年6月23日

前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中

            被告訴訟代理人弁護士  関  夕  三  郎
            同      弁護士  笠  本  秀  一
            同    指定代理人  福  島  計  之
            同    指定代理人  松  井  秀  夫
            同    指定代理人  阿  野  光  志
            同    指定代理人  篠  原  孝  幸
            同    指定代理人  油  井  祐  紀
            同    指定代理人  安  藤     敏

<P2>
第1 はじめに
 本準備書面は,原告らの平成28年4月15日付け原告準備書面㈲に対して反論する書面である。
 特に,平成28年4月22日の口頭弁論期日における御庁からの指示に基づき,①混合スラグ再生砕石は,廃棄物処理法に定める資格を有する者が製造したものではないとの主張,②混合スラグ再生砕石が敷砂利として使用されたという主張に反論することとする(上記①②に関する部分はゴチック体(当会注:ここでは太字で示してあります)で表記することとする。)。

第2 原告らの平成28年4月15日付け原告準備書面㈲に対する反論
1 第1に関する【原告の反論】について
(1)第2段落について
 ア 原告らは,「本件農道整備工事契約に使用されたのは,無許可の大同特殊鋼,大同エコメット,佐藤建設工業が製造・出荷していた混合スラグ再生砕石なる代物は,廃棄物処理法で定めた資格のある中間処理業者が製造したものではないから,廃棄物処理法に違反している」と主張する(2頁)。
   原告らの上記主張は,混合スラグ再生砕石自体が廃棄物処理法に違反しているという趣旨に読めるが,廃棄物処理法違反の有無は大同特殊鋼ら事業者について問題となるものである。
 イ 原告らは,「そのような違法な資材が,本来使用されてはならない敷砂利として使用されたことは,廃棄物処理法の目的に定めた『廃棄物の適正な分別,保管,収集,運搬,再生,処分等の処理をし,並びに生活環境を清潔にすることにより,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする』に違反している。」と主張する(2頁)。
   しかし,原告らが指摘するのは廃棄物処理法1条であるが,これは廃棄物処理法の目的を定めた一般的な規定であり,本件農道整備工事において混合スラグ再生砕石を用いたことは同条には違反しない。

(3)第3段落について

<P3>
 本件農道整備工事に用いた混合スラグ再生砕石の製造・販売過程に廃棄物処理法違反があるかは,現在,捜査が継続中と思料されるので,認否しない。
 なお,仮に大同特殊鋼らに廃棄物処理法違反の事実があったとしても,当該スラグの性状等を知らされずに購入した建設業者等に違法性はないところ(甲31・2(8)参照),被告の担当課が大同特殊鋼らに廃棄物処理法違反の疑義があることを把握して最初に立入り調査を実施したのは平成26年1月27日であり(甲31・1(1)),他方,本件農道整備工事はそれに先立つ平成25年6月28日には既に完了していたのであるから(甲20参照),本件農道整備工事を施工した南波建設株式会社は,本件農道整備工事に使用した混合スラグ再生砕石の性状等を知らされていなかったものと認められ,本件農道整備工事に廃棄物処理法違反の事実はない。
(3)第4段落について
 否認する。
 本件農道整備工事に用いられた混合スラグ再生砕石は,環境基準に抵触していない(乙14・25頁)。
(4)第5段落について
 争う。
2 第2に関する【原告の反論】について
(1)第1段落について
 ア 原告らは,「被告の環境森林部廃棄物リサイクル課は,平成27年9月7日に,スラグ混合再生砕石あるいはスラグ混合再生路盤材なるシロモノは,産業廃棄物と認めており,被告がそのようなものを敷砂利として本件農道整備工事で使用したこと自体,違法であ」ると主張する。
 しかし,先述のとおり,本件農道整備工事は平成25年6月28日に完了しており,大同特殊鋼らに対して最初に立入り検査が実施されたのは平成26年1月27日であって,本件農道整備工事を施工した南波建設株式会社は混合スラグ再生砕石の性状等を知らされていなかったものと認められるから,本件農道整備工事に違法はない(甲31・2(8)参照)。

<P4>
 なお,「敷砂利として」用いたという点については,ステージコンストラクションエ法における下層路盤材として用いたのであり,この点においても違法はない。
 イ 原告らは,「当然,本件舗装工事に先立ち,原因者である犬同特殊鋼等に撤去を命じて,撤去が確認された後に,本件舗装工事の予算計画を立案すべきであった。」と主張する。
   しかし,被告が平成26年4月ころに実施した分析試験(試料採取日は同2日)において,本件農道整備工事に用いられた混合スラグ再生砕石は環境基準に適合していることが確認されており(乙14・25頁),大同特殊鋼等に撤去を求める理由がない。
(2)第3段落について
 原告らの主張は,大同特殊鋼らの廃棄物処理法違反を指摘するものであるが,これは捜査が継続中と思料されるので,認否しない。
 なお,仮に大同特殊鋼らに廃棄物処理法違反の事実があったとしても,そのことが本件舗装工事の適法性に影響するわけではない。
(3)第4段落について
 甲31は,平成27年9月11日付けで被告がホームページ等に公表した「大同特殊鋼㈱渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果について(廃棄物・リサイクル課)」であり,被告が「自ら決めたルール」が記載されているものではない。
 甲9の誤記ではないかとも思われたが,原告においては,念のため確認されたい。
 なお,原告においては,併せて,被告が「施工業者にそのことを指摘しないまま,完成検査を行って合格通知を出し」たと主張するが,ここでいう「完成検査」は本件農道整備工事と本件舗装工事のいずれを指すのかも明らかにされたい。                     
(4)第5段落について
 ア 原告らは,被告が「・・・佐藤建設工業が納人した材料証明書の不備をき

<P5>
ちんと摘示しな」かったと主張する。
 しかし,被告は,平成25年4月3日までに佐藤建設工業から提出された2013年2月21日付け「膨張安定性試験報告書」(甲17・3頁)が,現場で使用する直近1か月以内の検査結果の必要があるところ,1か月以上経過している検査結果であったため,その不備を指摘し(甲17・1頁参照),1か月以内の検査結果を記載した2013年4月16日付け「膨張安定性試験報告書」(甲15・22頁)を再提出させており,不備を適切に指摘している。
 イ 原告らは,「・・・危険な環境汚染物質が存在するのを認識した時点で,速やかに原因者に撤去させるべきところ,あろうことは,真逆の行為,すなわち,撤去させずに上に蓋をして,恒久的に環境汚染物質の存在を固定化してしまった」と主張する。
 しかし,被告は本件農道整備工事に大同特殊鋼から排出された鉄鋼スラグが使用されていることが判明したことを受けて,平成26年4月ころに分析試験を実施(試料採取日は同月22日)して,本件農道整備工事に用いられた混合スラグ再生砕石が環境基準に適合していることを確認している(乙14・25頁)。
3 第3に関する【原告の反論】について
(1)1項に関する【原告の反論】について
 地方自治法138条の2の意義や趣旨については,乙15を参照されたい。
(2)2項②に関する【原告の反論】について
 ア 原告らは,「本件農道整備工事契約で違法な資材が使用されたにもかかわらず,被告は裁量権を濫用し,検査合格とした。」と主張する。
   しかし,先述のとおり,本件農道整備工事を施工した南波建設株式会社は,混合スラグ再生砕石の性状等を知らされていなかったものと認められるから,本件農道整備工事に違法はなく,被告に裁量権の濫用もない。
 イ 原告らは,被告が「‥・必要性のない本件舗装工事を無理やり実行するため,直ぐに実行できる予算を流用した。被告の本件舗装工事の契約行為

<P6>
は,あきらかに裁量権の範囲の逸脱及び濫用に該当する。」と主張する。
 しかし,本件舗装工事を速やかに実施する必要性はあったのであり,また,本件舗装工事は,地域公共事業調整費の目的に適った工事であり,これを用いたことに裁量権の逸脱や濫用はない。
(3)3項(1)に関する【原告の反論】について
 原告らは,「産業廃棄物を敷砂利に使ったこと,その敷砂利を撤去せずに,上に舗装で蓋を掛けた事実は,否定しようとしても否定することはできない。」と主張する。
 しかし,混合スラグ再生砕石は,あくまでもステージコンストラクション工法における下層路盤材として使用されたものである。
また,被告が平成26年4月ころに実施した分析試験(試料採取日は同月22日)において本件農道整備工事に用いられた混合スラグ再生砕石が環境基準に適合していることが確認されているので(乙14・25頁),撤去する理由もない。
(4)3項個に関する【原告の反論】について
 原告らは,「・・・それならば,なおさら本件舗装工事に先立ち,原因者の大同特殊鋼等に対して,有害物質入りの資材の撤去を優先的に実行させるはずだ。」と主張する。
 しかし,先述のとおり,被告が平成26年4月ころに実施した分析試験(試料採取日は同月22日)において本件農道整備工事に用いられた混合スラグ再生砕石が環境基準に適合していることが確認されているので(乙14・25頁),大同特殊鋼らに撤去を求める法的根拠もない。
(4)3項(2)に関する【原告の反論】について
 ア 原告らは,「敷き砂利には,ステージコンストラクションが適用されない,ということは,被告が常々業界を指導していることである。」と主張するが,ステージコンストラクション工法が用いられるのは農道の整備においてであり,敷砂利に適用されないというのは趣旨が分からないので,認否できない。
 イ 平成26年6月4日に酒井宏明県議会議員が現地調査に赴いたことは,
                 汽

<P7>
認める。
 酒井県議会議員の上申書(甲43・1頁)には,「・・・また砕石は転圧されておらず敷き均された状態であることから,敷砂利工という砕石舗装が終了した現場であると考えている。」と記載されているが,砕石舗装で終了というわけではなく,転圧は第2段階で行う。本件農道整備工事は,ステージコンストラクションの第1段階として施工されたのである。
(6)3項(3)イに関する【原告の反論】について
 ア 原告らは,設計図書の標記が「敷砂利」となっていることを捉えて,ステージコンストラクションエ法が予定されているのであれば「‥・南波建設が当該工事を施工する前に,敷砂利工から下層路盤工に設計変更すればよかったのではないか?」と主張する。
   しかし,ステージコンストラクション工法が予定されている農道の第1段階の工事においては,設計図書には「敷砂利」と標記されるのが通常であり,このような標記がなされていても,実態としては下層路盤工であることに変わりはない。

 イ 酒井県議会議員から被告の農政部に対して混合スラグ再生砕石の撤去の要請があったことは,認める。
   酒井県議会議員の上記要請は,本件農道整備工事において用いられた混合スラグ再生砕石は敷砂利工であると断定した上でのものであったが,混合スラグ再生砕石は下層路盤工として用いられたものであるから,前提が異なっている。第2段階の舗装工事を施工することにより,外観上も下層路盤となり,また,被告が平成26年4月ころに実施した分析試験(試料採取日は同月22日)において環境基準に適合していることも確認されているから(乙14・25頁),撤去する理由がない。
(7)3項㈱に関する【原告の反論】について
 ア 原告らは,「鉄鋼スラグを不法投棄されている路線レ七主張する。
   しかし,廃棄物の不法投棄(廃棄物処理法16条)とは,処理基準違反行為の程度が著しい場合や,軽度の処理基準違反であっても公共性・密集

<P8>
性の高い地域において行われる場合等,廃棄物の性状,数量,地理的条件,行為の態様等の事情を勘案して判断するものであり,社会通念上許容されない処分行為が対象になるものと解されており(乙13・356頁),
 本件舗装工事はこれに当たらない。
 イ 原告らは,「有害スラグが敷砂利に施工されている」と主張する。
   しかし,被告が平成26年4月ころに実施した分析試験(試料採取日は同月22日)において,本件農道整備工事で用いられた混合スラグ再生砕石は環境基準に適合していることが確認されており(乙14・25頁),環境基準に抵触する混合スラグ再生砕石が使用されているわけではない。
(8)3項(6)に関する【原告の反論】について
 ア 原告らは,ステージコンストラクションエ法が予定されていた「というなら予定されていた予算を使用するべきである。」と主張する。
   しかし,土地改良法に基づく圃場整備事業は,受益者負担を伴う事業であり,限られた予算の中で経済性に配慮しながら数年間掛けて行う事業である。したがって,ステージコンストラクションエ法を予定する農道について,最初から第2段階の舗装工事まで予算を組むことはせず,状況に応じて舗装工事を施工する路線を選定し,それに併せて予算を編成するものである。
   本件舗装工事に関しては,予算は編成されておらず,他方で,可及的早期に実施する必要性があったことから,地域公共事業調整費を活用したのである。
 イ 原告らは,「敷砂利工で施工された有害な鉄鋼スラグを隠蔽する目的で無理やりアスファルト被覆するなら地域公共事業調整費によって支出されることもつじつまが合う。」と主張する。
   しかし,被告が実施した検査によって本件農道整備工事で用いられた混合スラグ再生砕石が環境基準に適合していることが確認されたことは先述のとおりであり(乙14・25頁),有害な鉄鋼スラグを隠蔽する目

<P9>
的などない。また,地域公共事業調整費の活用がその目的に適うものであることは,被告の第3準備書面の第3の3(6)(10頁以下)で述べたとおりである。
4 第4に関する【原告の反論】について
 否認ないし争う。
                             以 上
**********

■読めば読むほど、自己保身しか頭にないかたたちが行政権限を握っている現状に、背筋が寒くなる思いがいたします。

 この裁判を通じて、少しでも公僕意識を持たせられるとよいのですが、どこまで期待できるやら、極めて疑問だと言わざるを得ません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
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