市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟第3回口頭弁論

2017-11-04 23:46:00 | 県内の税金無駄使い実態

■かつて「官官接待」や「カラ出張」が日常茶飯だった群馬県ですが、現在も水面下で行われているのかどうか、情報秘匿体質の群馬県の実態は県民の誰にも分りません。そうした中、年中行事になっている記者クラブと県幹部による懇談会に県の幹部でもないヒラ職員らが「社会参加費」という、これまた得体の知れない税金支出費目を編み出した群馬県ならではの血税浪費で参加していることが判明しました。この住民訴訟の第3回口頭弁論が、2017年11月1日(水)午前10時30分から前橋地裁で開かれました。

前橋地裁と庭木。

 この住民訴訟に先立ち、当会は2017年1月30日に住民監査請求書を群馬県監査委員あてに提出したところ、同4月5日付で監査委員から結果通知が出されました。ところがその結果たるや、なんと「合議の不調」というもので、「請求の一部に理由がある」という見解と、「請求に理由がない」という見解の双方に分かれたため、監査委員としての統一的判断が下せない、というものでした。

 そのため、当会では同5月2日付で前橋地裁に訴状を提出しました。その後、同7月19日に第1回口頭弁論、同9月20日(水)に第2回口頭弁論、そして今回、11月1日(水)午前10時30分から第3回口頭弁論が地裁で開かれたものです。これまでのこの裁判の経緯は当会の次のブログを参照ください。
○2017年7月27日:記者クラブと県幹部との懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟第1回口頭弁論の模様
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2374.html#readmore
○2017年9月14日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟で原告が準備書面(1)を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2409.html#readmore
〇2017年9月23日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟の第2回口頭弁論の模様
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2429.html#readmore
○2017年10月28日:記者クラブと県幹部の懇談会への参加職員らに社会参加費返還を求める住民訴訟で被告の準備書面(1)到来
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2452.html#readmore


前橋地裁西門。
 この日の前橋地裁のロビーに貼られた開廷表には次のとおり記されていました。

*****前橋地裁開廷表*****
第21号法廷(本館2階)開廷表
平成29年11 月1日 水曜日
●開始/終了/予定 10:30/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(ワ)第478号(甲事件)
          平成29年(ワ)第242号(乙事件)/雇用契約上の地位確認等請求事件
○当事者      八木澤清子こと六本木清子 外/医療法人赤城会 外
○代理人      角田義一/井垣弘
○担当       民事第1部合議係
          裁判長 塩田直也
          裁判官 高橋浩美
          裁判官 佐藤秀海
          書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 10:30/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第8号/社会参加費不正使用損害賠償等請求事件
○当事者      小川賢/群馬県知事大澤正明
○代理人       - /新井博
○担当       民事第1部 合議係
          裁判長 塩田直也
          裁判官 高橋浩美
          裁判官 佐藤秀海
          書記官 森山ひとみ

●開始/終了/予定 10:30/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成29年(レ)第35号/損害賠償(交通)請求控訴事件
○当事者      木村馨/森翔平
○代理人       - /久保田寿栄
○担当       民事第1部合議係
          裁判長 塩田直也
          裁判官 高橋浩美
          裁判官 佐藤秀海
          書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 13:10/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成29年(レ)第12号/不当利得返還請求控訴事件
○当事者      株式会社クレデイセゾン/小川幸代
〇代理人      若杉洋一/ - 
○担当       民事第1部合議係
          裁判長 塩田直也
          裁判官 高橋浩美
          裁判官 佐藤秀海
          書記官 森山ひとみ
●開始/終了/予定 13:10/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成29年(レ)第42号/不当利得返還請求控訴事件
○当事者      株式会社クレデイセゾン/春原昭
〇代理人      松本和則/池末登末博 
○担当       民事第1部合議係
          裁判長 塩田直也
          裁判官 高橋浩美
          裁判官 佐藤秀海
          書記官 森山ひとみ
**********

 原告席には当会代表、そして被告席には弁護士1名と群馬県総務部の職員ら3名(男性1名、女性2名)の計4名が着席しました。傍聴席には他の裁判の傍聴者のほか、当会会員や県職員らしき人物など17名が出席しました。

 最初に当会の住民訴訟事件から審理が始まりました。

 陪席裁判官2名とともに入廷した塩田裁判長が「10月23日付で、原告の方から訴えの変更申立てが出ていますが、これはこのとおり陳述していただいてよろしいか?と原告に訊ねたので、原告は「はい、陳述します」と答えました。

 すると裁判長は被告に向かって「それに対する答弁としては、棄却するということでよろしいか?」と訊くと、被告代理人の弁護士が「はい」と言いました。

 裁判長は続けて「それから被告の方から10月24日付で、準備書面(1)が出されています。これはこのとおり陳述してよろしいか?」と述べると、被告代理人弁護士は「はい」と答えました。

 その後、被告が提出した乙号証の証拠調べが行われました。裁判長は「証拠の方が、乙4号証の1から2、乙5号証の1から4、乙6号証の1から3、乙7号、8号が出ているが、乙6の2はこれちがうね」などと発言しました。

 被告は慌てた風情で「失礼、これでしたね」と言って、なにやら書類を差し替えたりしました。

 裁判長は「6の3は合っている」などとつぶやき、被告と何やらやり取りをしていましたが、そのうちに、書記官が乙号証の原本一式を原告の方に持ってきました。

 ちなみに乙号証の原本は次の書類から構成されていました。
●乙号証:4-1「社会参加費の執行について」
●乙号証:4-2「社会参加費の執行について(H29.4.1改正)」
○被告の立証趣旨:社会参加費の意義、条件等
●乙号証:5-1「千葉県幹部一覧」
●乙号証:5-2「神奈川県幹部職員一覧」
●乙号証:5-3「愛知県幹部職員一覧」
●乙号証:5-4「青森県幹部職員名簿」
○被告の立証趣旨:他県での県幹部職員の一覧に課長が入っていること。(インターネット情報)
●乙号証:6-1「群馬県幹部と記者クラブとの懇談会の開催について」と題する秘書課長あて文書
●乙号証:6-2「群馬県幹部と記者クラブとの懇談会の開催について」と題する財政課長あて文書
●乙号証:6-3「群馬県幹部と記者クラブとの懇談会の開催について」と題する広報課長あて文書
○被告の立証趣旨:記者クラブから参加者の要望がされていたこと

●乙号証:7「群馬県職員録(一部)」
〇被告の立証趣旨:飯塚毅と深津昇平は広報課報道係であること
●乙号証:8「標目:幹部職員名簿(一部)」
〇立証趣旨:被告の幹部職員名簿に課長が入っていること。

 どうやら内容を原告に確認してもらうためのようです。乙4号証から見てゆくと、乙6号証の1から3が目に入りました。これらは今回の第3回口頭弁論の直前に副本として証拠説明書とともに当会にも郵送されてきましたが、いずれも初めて見る書類です。

 乙第6号証の1、2および3を次に見てみましょう。







 ご覧のとおり、乙第6号証の2、つまり総務部財政課長あての懇談会開催通知だけが、「貴課次長様」あるいは「貴課次長及び報道係の皆さま」の「ご出席につきましても、ご配慮いただきますようお願いいたします」と記されていません。出席者に合わせた内容になっていることから、胡散臭さを感じさせる書面となっています。

 また、3通の書面共に、すべて同じフォントで同じインデントで作成されていますが、財政課長のところだけが、会費のところの金額の冒頭が印刷されておらず、あとで手書きで「7,」の数字とカンマが付きされています。そして、もっともらしく「財政課長1名 7,000円 社会参加費をお願いします。」と手書きされて「中澤」の印が押印されているのも、腑に落ちません。中澤という人物が何者なのかも分からないからです。

 被告の乙号証の原本を見せられた原告は、そのうちの乙6号証の1から3について、「それを確認しても意味がない。本来これは不存在のはずだ。情報公開請求したときに、これらは出てこなかったので、つまり不存在。今、これらを示されてこれを確認してくれと言っても、私は確認にすることは出来ないので、お断りします。もともと存在していないものですから」と述べました。

 すると裁判長は「あのね。いずれにしても、偽造とかそういうことについて意見があるようだったら、書面で意見を出してほしい」と言いました。

 原告は「もう既に書いてあります」と言って、原告準備書面(2)をその場で提出しました。

 裁判長は驚いた様子でしたが、その後被告に向かって、乙4号証の「3 執行の判断基準」について、あれこれ質問しました。どうやら、誰が支出を要請して、誰が判断しているのか、よくわからないようです。原告も裁判長と同じ感想を持って、やりとりを聞いていました。

 とくに興味深いのは、乙4号証の1が、乙4号証の2を見ると、2017年4月1日付で社会参加費に関する総務部執行基準が変更されていることです。その変更というのが、新たに、次に示す「社会参加費執行協議書」というものが本年度から付け加えられたからです。


社会参加費執行協議書

 次に裁判長は被告に対して、「甲8号証を見ると、次長以下の職員は出席しているようにも見える。これはどういうことになったのか。彼らは参加しているのか、いないのか。また、この参加の決定は誰がしているのか」というようなことを質問していました。確かに、それらのことが全く曖昧だからです。


甲8号証:出席者名簿

 裁判長は「そういう判断を秘書課の誰がやっているのか。課長がやっているのか。次長がやっているのか。出席者を決めるのは誰か、その費用支出の決定は別の人がやっているのか」ということを聞きたかったのだと思います。被告はそうした質問への回答説明を、次回までに文書で提出することになりました。

 次に裁判長は「もう一つ被告準備書面の最後のところの部分で確認しておきたいことがある」として、被告に質したのは、元本と利息と遅延損害金の関係についてでした。そのやりとりを聞いていて、原告もよく理解できなかったので、あとで裁判長に聞いてみたところ、どうやら裁判長は、平成29年10月24日付の被告準備書面(1)の「第2 原告準備書面(1)の第1及び第4の1の法定金利との主張について」で、被告が「原告の主張は、平成28年4月14日から平成29年4月7日までの年5分の遅延損害金を求めるものである。平成29年4月7日は、49,000円が職員7名から納付された日であり、原告はこれをすべて元本に充当しているようであるが、民法の規定とは一致しない」と主張していることについて、確認を求めていたようです。

 裁判長いわく、民法の規定で「遅延損害金の充当は、利息や元本に先立って行われる」とされているとのことです。

 つまり「遅延損害金」とは、利息に似た性質の金銭債権として認識されており、通常,利息と同じように一定の期間を区切り,その期間中における元本に対する一定の割合によって算定されています。つまり,元本に対する○○から〇〇まで年〇〇パーセントの割合というような形で金額が決められるということです。そこで原告は裁判長の指揮に基づき、元本に対する年5分の民事法定利率について、記者クラブとの懇談会にヒラ職員が社会参加費を違法に使った昨年4月13日から、当会の住民監査結果によって慌てて今年4月7日に返還するまでの期間を明示して、訴えの変更申立てをしたわけです。

 にもかかわらず、被告は、「平成29年4月7日は、49,000円が職員7名から納付された日であり、原告はこれをすべて元本に充当しているようであるが、民法の規定とは一致しない」と主張しているため、裁判長はどうやら遅延損害金は利息と違い、優先的には扱われるべきであると被告に説明したようです。

 遅延損害金は利息に似ていることから,「遅延利息」とも呼ばれることがあるようです。現に、遅延損害金のことを遅延利息と定義している法律もあります。しかし,厳密にいうと,遅延損害金とは,法的には,債務不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償金のことであり、利息とはまったく別物です。

 利息は元本利用の対価として認められるものですが,遅延損害金はあくまで債務不履行に基づく損害賠償金です。また,利息は原則として利息契約によって発生しますが,遅延損害金は債務不履行の要件を満たせば当然に発生するものです。だから、民法上でも、損害賠償の一環として認められているのです。

 一方、原告が提出した準備書面(2)について裁判長は「今日出されたばかりなので、まだ見ていないので、今日は陳述していないことにする。全部次回に読ませていただく」と述べたので、原告は「それでかまいません。次回陳述とします」と答えました。

 さらに裁判長は原告に向かって「これ以上特に主張したいことはあるのか」と訊きました。原告は「反論はもう十分尽くしたので言うことは有りません」と答えました。

 最後に裁判長は、次回期日について、原告、被告双方に都合を尋ねました。原告は「通常どおり1ヵ月後程度で構いません」と言いました。被告からも特に意見が出なかったので、裁判長は被告に向かって「では12月1日までに出してもらう」と言いました。

 そして、次回期日について裁判長は「12月20日(水)午前10時30分でどうか」と切り出しました。すると被告が難色を示したため、裁判長は「では午後1時10分からではどうか?」と提案しました。

 これに対して原告は「午後は仕事があるんでダメです。午前中を希望します」と申し入れました。結局被告代理人がそれに応じたので、裁判長は「では(次回期日を)12月20日午前10時30分とする」と言いました。原告は「それでOKです」と答えました。

 すると被告は「それでは、書面は12月8日でお願いしたい」と言いだしました。裁判長も、次回期日の1週間以上前だということで「じゃあそういうことにしましょう」と言い残して、退室してきました。

■以上で、社会参加費不正使用損害賠償等にかかる住民訴訟事件の第3回口頭弁論が終わりました。

 次回までに、原告としては特に裁判資料を準備する予定はありませんが、どのような主張や説明を被告がしてくるのか注目されます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※今回の裁判で原告・被告双方が提出した裁判資料は次のとおりです。
▼2017年9月15日付被告指定代理人指名書
PDF ⇒ 20170915_hikoku_siteidairinin_simeisho.pdf
▼2017年10月24日付被告訴訟告知書(被告の当時の総務部長あて)
PDF ⇒ 20171024_hikoku_soshou_kokuchisho.pdf
▲2017年10月23日付原告訴え変更申立書
PDF ⇒ 20171023_genkoku_uttae_no_henkou_mousitatesho.pdf
▲2017年11月1日付原告準備書面(2)
PDF ⇒ 20171101_genkoku_junbishomen_no_2.pdf
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