■学校を巡る利権構造の例として教科書の謝礼問題や修学旅行取扱いカルテル問題に加え、以前より学校制服の不透明な販売問題が取りざたされてきました。この件で、当会においても、これまでにこの問題に関する相談が寄せられたことがあります。こうした中、2017年11月22日に学校制服と競争についての記事が報じられました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/ff/60fcc48892a3a271b942acfd44ad4652.jpg)
↑高崎経済大学附属高校教室棟。同校HPより。↑
**********朝日新聞デジタル2017年11月22日05時00分
公立中制服「安くできる」 公取委が学校に提言へ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/d6/89f794761ae6ce3c56d410b26ae900f7.jpg)
↑対策をとると制服はどれだけ安くなるか↑
公立中学校の制服の価格を安くできないか――。こんな視点で、公正取引委員会が各地の学校制服の取引実態を調べたところ、学校などの取り組みで価格が安くなったケースが見つかった。ただ、こうした例は少なかったといい、公取委は近く、調査の結果から導いた改善案を公表する。
公立中学の制服の価格は上昇傾向にある。総務省統計局などによると、全国平均は10年前に比べて、男女の制服とも5千円ほど高くなり、3万2千~3万3千円になっている。
公取委は、価格の上昇は学校と制服メーカー、販売店の関係や、取引方法が原因になっている可能性があると判断。今年に入り、全国から抽出した公立中学600校への書面調査を実施した。
回答があった447校のほぼすべてで制服があった。調査結果を分析したところ、学校は指定したメーカーや販売店を長年見直さず、慣習として取引を続けていたケースが多かった。競争が適正に働かず、価格が高くなっている可能性があるという。
一方で、学校や自治体の取り組みで、平均で数千円安くなっているケースが確認された。
たとえば、価格交渉などで学校側が価格の決定に関わっている場合、関わっていない場合に比べ、男子生徒のブレザーが約2千円安い約3万1千円だった。ただ、学校側が関わっていたのは全体の3割未満。5割以上は、販売店やメーカーが単独か、または協議して決めていたという。
また、自治体が管内にある複数の学校の制服を同じ仕様にしていれば、仕様を共通化していない自治体に比べ、女子生徒のブレザーの場合で約8500円安い約2万4千円になっていた。
公取委はこうした調査結果を報告書にまとめて公表し、年内にも全国の教育委員会に送付するという。報告書では、学校側に期待する取り組みとして、コンペや入札といった方法でメーカーや指定販売店を選ぶ▽これまでの価格より安くなるよう業者に求める▽新規参入業者に制服の仕様を開示する、などを提言する。
公取委幹部は「学校は制服を指定しながら、購入するのは保護者なので、学校側に『1円でも安くする』というインセンティブ(動機付け)が働きにくかった。メーカーや販売店の競争を生むことで、保護者の経済的な負担を軽くしてほしい」と語る。(矢島大輔、錦光山雅子)
◇
〈学校の制服〉 詰め襟とセーラー服が多かった公立学校の制服は1990年代以降、少子化や学校選択制などを背景に学校が独自色を打ち出す路線が本格化し、デザイン性の高いブレザー服を採用する学校が増えた。小中高の制服(体操着など含む)の市場規模は約1100億円とみられ、大手4社のメーカーが7割のシェアを占める。学校ごとにデザインが異なるため、「多品種少量生産」によるコスト高になりやすいとされる。
**********
■学校の制服の価格が高止まりし、家計の負担になっているとの指摘は、昔から聞こえてきました。当会では10年以上前に、高崎経済大学附属高校の制服について、取扱い販売店の間で自由な競争が行われておらず、特定の販売店以外の販売ルートを排除している問題について検討したことがあります。
当時、高崎経済大学附属高校においては、菅公学生服のブランド品「コシノジュンコ」が採用されており、同校では指定制服取扱店として次の5店舗を指定していました。
・㈱ツナシマ 高崎市鞘町66
・スズラン 高崎市宮本町13
・高島屋 高崎市朝日町45
・柄沢衣料品店 高崎市剣崎町213
・テーラー相川 高崎市上小鳥町379-2
※平成15年3月吉日付新入生保護者各位宛て「高崎経済大学附属高等学校指定制服採寸ご案内」: PDF ⇒ 20030331owwzw.pdf
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/9a/e321495d91c0c5556afc923d00ece238.jpg)
↑同校の旧制服。県内の高校の制服は紺・黒を基調にしたものが多いなか、ベージュ&グリーン系の制服の登場は斬新なイメージを与えた。デザインはコシノジュンコによるものだが、現在は学校側で制服製造会社などと連携し、オリジナルに若干の変更を加えたものが採用されている。↑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/3a/ec20c1abc5bde5b7a1dac87e40b0e1c7.jpg)
↑同校の現在の制服。高崎経済大学附属高校の制服。創立時から採用され県内でもその独特なデザインが定着してきた本校の制服であるが、より愛される制服を目指し、平成20年度よりデザインを変更した。高経附の精神を引き継ぎながらも、より機能的な制服となっている(同校HPより)。2008年4月入学生から、男子のブレザーはダブルからシングルへと変更された。女子のスカートは冬服にあった吊りをなくし夏服のような腰の部分のみで固定するものになった。女子のブレザーも男子と同じくダブルからシングルに変更され、丈も短く変更された。冬期使用として、女子用のスラックスも出来た。指定のベスト・セーターがある。↑
このうち柄沢衣料品店は、以前は取扱店として指定されていませんでしたが、高崎市共産党市議団の口利きで参入できたと言われています。メーカーは菅公学生服のみで独占状態となっており、販売店についても上記5店舗以外では、同校の制服を取り扱うことができず、入学予定者は上記5店舗の店頭で採寸してもらって、制服の販売を受けていました。
このため、上記以外の販売店が菅公学生服の群馬営業所に販売取扱希望を伝えたところ、「販売をしたいとの(御社の)意向を受けて、現行販売店又は社内で色々と健闘した結果、現在5店で販売していて今のところ何も支障がないのでこれ以上増やす必要がないと言う結論に達しました。大変に残念ですが、ご理解の程よろしくお願い申し上げます」との回答が当該販売店に寄せられました。
※尾崎商事(現・菅公学生服)群馬営業所からスクールユニフォームチヨ宛て平成14年9月6日付FAX: PDF ⇒ 20020906_fax.pdf
このことから、当時は完全にメーカー、販売店が独占、寡占状態であったことがわかります。しかも、高崎経済大学附属高校まで、制服取扱店を5店に特定し、価格表まで示した制服採寸案内状を新入生の保護者あてに送っていました。
一方、当時からこうした慣行について群馬県教委は各市町村教育長あてに学校制服等の生徒購入物品等に関する取扱指針として、制服等について、「販売店や製造社は原則として指定しないこと年、保護者が自由に選択でいるようにする」旨の通達を出しています。
※平成16年2月12日学指第165-4号県教委から各市町村教育長宛て「学校教育活動に伴い生徒が購入する物品等に関する取扱指針について」: PDF ⇒ 20040212eswj.pdf
■こうした実態が現在も続いているのかどうか、未確認ですが、高崎市行政の実態を見るにつけ、おそらく現在でも制服取り扱いの利権をめぐる旧態依然とした不公正な取引慣行が継続している可能性が高いと思われます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1「学校制服の不正競争と公取委」
**********
この問題に関して、公正取引委員会も制服についてこれまでも一定の見解を示しています。2016年9月の公取委事務総長定例会見でも、制服に関する質疑応答がなされています。
※参考URL:平成28年9月7日付 公正取引委員会事務総長定例会見記録↓
http://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/h28/7_9/kaikenkiroku160907.html
この会見の内容を踏まえると、「制服価格の高止まり」に対して、その原因が競争に関連する場合、具体的な要因としては次の3つが考えられます。なお、この3要因は相互に関係していたり、複合的な要因となったりする可能性もあります。
(1) 制服メーカーが再販売価格維持により、小売店の価格を拘束している。
(2) 制服の小売店が独占企業であることによって、あるいは複数の小売店のカルテル(独占禁止法上問題)や意識的並行行為(独占禁止法上は問題とならない)によって、価格を競争水準よりも引き上げている。
(3) 地方政府や学校が、制服の規格や小売店の指定を行い、十分な参入や競争が発生していない。
※参考URL:平成5年度「第5章 政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度」↓
http://www.jftc.go.jp/info/nenpou/h10/02050001.html
(カ) 学校制服の販売店の推定・ごみ収集袋の指定
a 学校制服の販売店の指定
学校が制服販売店を指定する理由として,保護者が制服を購入する際における便宜を図ることが挙げられているが,指定販売店を少数に固定化しておくことに合理性があるか疑問であり,これにより,制服の販売店間の競争が行われなくなっている可能性がある。
したがって,制服の販売を希望する事業者を広く指定販売店としたり,又は,制服の仕様を積極的に開示することによって,販売店が自由にこれを取り扱えるようにするなどにより,指定販売店の在り方を見直すことが望まれる。
※昭和57年6月18日「不公正な取引方法」(公正取引委員会告示第15号):PDF ⇒ 19820618s.pdf
※参考情報2「学校制服業界の実態」
**********
学生服業界大手として挙げられるのはトンボ(トンボ学生服)、明石スクールユニフォームカンパニー(富士ヨット学生服)、瀧本(スクールタイガー学生服)、菅公学生服(カンコー学生服)の4社。これらは全国各地の学生服・女子通学服を取り扱い、品質の高さにおいて評価を持っており、とりわけ岡山県に本社を置くトンボ学生服と菅公学生服が二大メーカーとして高い知名度を誇っています。
この他、富士ヨット学生服も岡山県倉敷市に本社があり、なぜ岡山市近辺に学生服メーカーが多いのかというと、かつて岡山県倉敷市の児島地区がその原料である綿花の生産地だったことが理由として挙げられます。
児島地区では明治期より足袋の製造がさかんでしたが、1872年の学制発布に伴い、義務教育の定着化がはかられることになり、やがて大正期に入ると、同地では詰襟式の学生服ならびに女子学生向けのセーラー服の製造を開始しました。
これら3社のみならず、他にも今もなお全国各地に貼られたホーロー看板にその名前が残っている「サクラ日本学生服」の製造元であった石井産業や「太陽櫻学生服」発売元の日本被服など、多くの企業が岡山県倉敷市を発祥とする企業だったのに対し、スクールタイガー学生服の瀧本は大阪府東大阪市が発祥地です。
かつて昭和30年代は就学率も向上するなかで、団塊の世代が学生時代であったため、学生服の需要が旺盛でした。また繊維メーカーの東レと倉敷紡績(クラボウ)の2社が系列を組み、傘下に岡山県に本社を置く学生服メーカーが多数存在したが、やがて昭和40年代以降、2社の傘下に入っていた内、経営体力のないメーカーは次々と倒産、淘汰され、現在のように財務体質が優良な企業数社が残る中、大阪の瀧本はその傘下に入ることなく、今日まで企業を存続させています。
ちなみに現在でも学生服の実に8割近くが岡山県に本社を置くメーカーのもので占められているという統計が出ています。
業界全体でもトンボがOlive des Oliveやヒロミチナカノ、菅公学生服はELLEを採用していて、学生服のブランド化は、最も多くのブランドを扱うトンボと菅公学生服の二社が拮抗している状態にあります。
●菅公学生服株式会社(カンコー学生服)↓
https://kanko-gakuseifuku.co.jp/
本社所在地 〒700-0024岡山県岡山市北区駅元町15番1号リットシティビル5階
◎群馬菅公学生服(株)
〒370-3522 群馬県高崎市菅谷町20-323 TEL 027-360-6671
○株式会社ツナシマ
〒370-0827 群馬県高崎市鞘町66
電話027-322-3022、027-322-3034
http://www.tsunashima1890.com/
ツナシマ高崎本店の取り扱い学校は次のとおり。
<中学校>
第一中学校、高松中学校、並榎中学校、豊岡中学校、中尾中学校、長野郷中学校、大類中学校、塚沢中学校、片岡中学校、佐野中学校、南八幡中学校、倉賀野中学校、高南中学校、寺尾中学校、八幡中学校、矢中中学校、榛名中学校、群馬中央中学校、群馬南中学校、県立中央中等教育学校、箕郷中学校、県立特別支援学校高崎校中等部、県立特別支援学校藤岡校中等部、県立特別支援学校富岡校中等部、安中市立第一中学校、安中市立第二中学校
<県立高校>
高崎高等学校、高崎女子高等学校、高崎北高等学校、高崎経済大学附属高等学校、高崎東高等学校、高崎商業高等学校、高崎工業高等学校、富岡高等学校、安中総合学園高等学校、吉井高等学校、藤岡中央高等学校、藤岡北高等学校、藤岡工業高等学校、県立中央中等教育学校、県立特別支援学校様高崎校高等部、県立特別支援学校様藤岡校高等部、県立特別支援学校富岡校高等部
●明石スクールユニフォームカンパニー㈱(富士ヨット学生服)↓
http://www.akashi-suc.jp/index.html
本社所在地 〒711-0903岡山県倉敷市児島田の口1丁目3-44
◎同社の群馬県における販売店
http://akashi-suc.jp/fuji-yacht/search/area2/pref10/10202/index.html
1:(株)高崎高島屋(群馬)
群馬県高崎市旭町45番地
2:スクールユニフォームチヨ高崎店
群馬県高崎市小八木町312-15
3:あさひ屋衣料品店
群馬県高崎市棟高町448-5
4:根本文具店
群馬県高崎市飯玉町115
5:アピタ高崎店
群馬県高崎市矢中町字渕ノ内668-1
〇スクールユニフォームチヨ
http://www.chiyo-seifuku.jp/
スクールユニフォームチヨ高崎店の取り扱い学校は次のとおり。
http://www.chiyo-seifuku.jp/school/school.html
<中学校>
第一中学校、高松中学校、並榎中学校、豊岡中学校、長野郷中学校、大類中学校、塚沢中学校、片岡中学校、南八幡中学校、倉賀野中学校、高南中学校、群馬中央中学校、群馬南中学校、箕郷中学校、中尾中学校、寺尾中学校、佐野中学校、八幡中学校、矢中中学校、榛名中学校、榛東中学校、県立中央中等教育学校
<高等学校>
高崎高等学校、高崎女子高等学校、高崎東高等学校、高崎商業高等学校、高崎工業高等学校、高崎北高等学校、榛名高等学校、前橋西高等学校、安中総合学園高等学校、吉井高等学校、藤岡中央高等学校、藤岡工業高等学校、前橋育英高等学校
●株式会社トンボ(トンボ学生服)↓
http://www.tombow.gr.jp/
本社所在地 〒700-0985岡山県岡山市北区厚生町2丁目2番9号
◎関東トンボ株式会社
会社概要:設立平成6年7月、平成11年7月群馬支店を開設
資本金:4,000万円
代表者名:代表取締役社長 片山 良則
問い合わせ:〒321-0912栃木県宇都宮市石井町3412番地19
TEL.028-656-1887、FAX.028-656-1889
メッセージ:本社は栃木県・支店は群馬県を拠点として、学校制服及び体育衣料、介護衣料、を販売しています。当社はトンボブランドのもと、最良のユニフォームをハードとソフトを添えてご提案、ご提供いたします。また、ご縁を大切に社会に貢献できるよう心がけておりますので、お気軽になんなりとご用命ください。お待ちしております。
◎関東トンボ株式会社 群馬支店
会社概要:創業平成 6年7月、設立平成11年7月
資本:金4,000万円
支店長:山本 達也
問い合わせ:〒370-0801群馬県高崎市上並榎町25番地3
TEL.027-362-8251、FAX.027-362-9505
トンボ学生服の群馬県高崎市における販売店は次のとおり。
○イオンリテール株式会社 イオン高崎店
〒370-3521 群馬県高崎市棟高町1400 TEL. 027-310-9500
○(有)からさわ
〒370-0883 群馬県高崎市剣崎町213、TEL. 027-343-3927
○(有)菊沢商店
〒370-3104 群馬県高崎市箕郷町上芝195-6、TEL. 027-371-2005
○スクールユニフォームチヨ 高崎店
〒370-0006 群馬県高崎市問屋町1-6-1、TEL. 027-361-9007 /FAX. 027-361-4926
○(株)高崎高島屋
〒370-0052 群馬県高崎市旭町45、TEL. 027-327-1111
○紳士服はるやま 高崎本店
〒370-0007 群馬県高崎市問屋町西1-11-11、TEL. 027-363-0112
○フォーエル 高崎本店
〒370-0031 群馬県高崎市上大類町899-2、TEL. 027-350-1254
○(株)富士屋
〒370-0821 群馬県高崎市新紺屋町16、TEL. 027-322-3963
○MAMADA SPORTS
〒370-0857 群馬県高崎市上佐野町280-1、TEL. 027-327-7883
●瀧本株式会社(スクールタイガー学生服)↓
http://www.takimoto.co.jp/
本社所在地 〒579-8013大阪府東大阪市石切町7丁目4-3
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/ff/60fcc48892a3a271b942acfd44ad4652.jpg)
↑高崎経済大学附属高校教室棟。同校HPより。↑
**********朝日新聞デジタル2017年11月22日05時00分
公立中制服「安くできる」 公取委が学校に提言へ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/d6/89f794761ae6ce3c56d410b26ae900f7.jpg)
↑対策をとると制服はどれだけ安くなるか↑
公立中学校の制服の価格を安くできないか――。こんな視点で、公正取引委員会が各地の学校制服の取引実態を調べたところ、学校などの取り組みで価格が安くなったケースが見つかった。ただ、こうした例は少なかったといい、公取委は近く、調査の結果から導いた改善案を公表する。
公立中学の制服の価格は上昇傾向にある。総務省統計局などによると、全国平均は10年前に比べて、男女の制服とも5千円ほど高くなり、3万2千~3万3千円になっている。
公取委は、価格の上昇は学校と制服メーカー、販売店の関係や、取引方法が原因になっている可能性があると判断。今年に入り、全国から抽出した公立中学600校への書面調査を実施した。
回答があった447校のほぼすべてで制服があった。調査結果を分析したところ、学校は指定したメーカーや販売店を長年見直さず、慣習として取引を続けていたケースが多かった。競争が適正に働かず、価格が高くなっている可能性があるという。
一方で、学校や自治体の取り組みで、平均で数千円安くなっているケースが確認された。
たとえば、価格交渉などで学校側が価格の決定に関わっている場合、関わっていない場合に比べ、男子生徒のブレザーが約2千円安い約3万1千円だった。ただ、学校側が関わっていたのは全体の3割未満。5割以上は、販売店やメーカーが単独か、または協議して決めていたという。
また、自治体が管内にある複数の学校の制服を同じ仕様にしていれば、仕様を共通化していない自治体に比べ、女子生徒のブレザーの場合で約8500円安い約2万4千円になっていた。
公取委はこうした調査結果を報告書にまとめて公表し、年内にも全国の教育委員会に送付するという。報告書では、学校側に期待する取り組みとして、コンペや入札といった方法でメーカーや指定販売店を選ぶ▽これまでの価格より安くなるよう業者に求める▽新規参入業者に制服の仕様を開示する、などを提言する。
公取委幹部は「学校は制服を指定しながら、購入するのは保護者なので、学校側に『1円でも安くする』というインセンティブ(動機付け)が働きにくかった。メーカーや販売店の競争を生むことで、保護者の経済的な負担を軽くしてほしい」と語る。(矢島大輔、錦光山雅子)
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〈学校の制服〉 詰め襟とセーラー服が多かった公立学校の制服は1990年代以降、少子化や学校選択制などを背景に学校が独自色を打ち出す路線が本格化し、デザイン性の高いブレザー服を採用する学校が増えた。小中高の制服(体操着など含む)の市場規模は約1100億円とみられ、大手4社のメーカーが7割のシェアを占める。学校ごとにデザインが異なるため、「多品種少量生産」によるコスト高になりやすいとされる。
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■学校の制服の価格が高止まりし、家計の負担になっているとの指摘は、昔から聞こえてきました。当会では10年以上前に、高崎経済大学附属高校の制服について、取扱い販売店の間で自由な競争が行われておらず、特定の販売店以外の販売ルートを排除している問題について検討したことがあります。
当時、高崎経済大学附属高校においては、菅公学生服のブランド品「コシノジュンコ」が採用されており、同校では指定制服取扱店として次の5店舗を指定していました。
・㈱ツナシマ 高崎市鞘町66
・スズラン 高崎市宮本町13
・高島屋 高崎市朝日町45
・柄沢衣料品店 高崎市剣崎町213
・テーラー相川 高崎市上小鳥町379-2
※平成15年3月吉日付新入生保護者各位宛て「高崎経済大学附属高等学校指定制服採寸ご案内」: PDF ⇒ 20030331owwzw.pdf
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/9a/e321495d91c0c5556afc923d00ece238.jpg)
↑同校の旧制服。県内の高校の制服は紺・黒を基調にしたものが多いなか、ベージュ&グリーン系の制服の登場は斬新なイメージを与えた。デザインはコシノジュンコによるものだが、現在は学校側で制服製造会社などと連携し、オリジナルに若干の変更を加えたものが採用されている。↑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/3a/ec20c1abc5bde5b7a1dac87e40b0e1c7.jpg)
↑同校の現在の制服。高崎経済大学附属高校の制服。創立時から採用され県内でもその独特なデザインが定着してきた本校の制服であるが、より愛される制服を目指し、平成20年度よりデザインを変更した。高経附の精神を引き継ぎながらも、より機能的な制服となっている(同校HPより)。2008年4月入学生から、男子のブレザーはダブルからシングルへと変更された。女子のスカートは冬服にあった吊りをなくし夏服のような腰の部分のみで固定するものになった。女子のブレザーも男子と同じくダブルからシングルに変更され、丈も短く変更された。冬期使用として、女子用のスラックスも出来た。指定のベスト・セーターがある。↑
このうち柄沢衣料品店は、以前は取扱店として指定されていませんでしたが、高崎市共産党市議団の口利きで参入できたと言われています。メーカーは菅公学生服のみで独占状態となっており、販売店についても上記5店舗以外では、同校の制服を取り扱うことができず、入学予定者は上記5店舗の店頭で採寸してもらって、制服の販売を受けていました。
このため、上記以外の販売店が菅公学生服の群馬営業所に販売取扱希望を伝えたところ、「販売をしたいとの(御社の)意向を受けて、現行販売店又は社内で色々と健闘した結果、現在5店で販売していて今のところ何も支障がないのでこれ以上増やす必要がないと言う結論に達しました。大変に残念ですが、ご理解の程よろしくお願い申し上げます」との回答が当該販売店に寄せられました。
※尾崎商事(現・菅公学生服)群馬営業所からスクールユニフォームチヨ宛て平成14年9月6日付FAX: PDF ⇒ 20020906_fax.pdf
このことから、当時は完全にメーカー、販売店が独占、寡占状態であったことがわかります。しかも、高崎経済大学附属高校まで、制服取扱店を5店に特定し、価格表まで示した制服採寸案内状を新入生の保護者あてに送っていました。
一方、当時からこうした慣行について群馬県教委は各市町村教育長あてに学校制服等の生徒購入物品等に関する取扱指針として、制服等について、「販売店や製造社は原則として指定しないこと年、保護者が自由に選択でいるようにする」旨の通達を出しています。
※平成16年2月12日学指第165-4号県教委から各市町村教育長宛て「学校教育活動に伴い生徒が購入する物品等に関する取扱指針について」: PDF ⇒ 20040212eswj.pdf
■こうした実態が現在も続いているのかどうか、未確認ですが、高崎市行政の実態を見るにつけ、おそらく現在でも制服取り扱いの利権をめぐる旧態依然とした不公正な取引慣行が継続している可能性が高いと思われます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1「学校制服の不正競争と公取委」
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この問題に関して、公正取引委員会も制服についてこれまでも一定の見解を示しています。2016年9月の公取委事務総長定例会見でも、制服に関する質疑応答がなされています。
※参考URL:平成28年9月7日付 公正取引委員会事務総長定例会見記録↓
http://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/h28/7_9/kaikenkiroku160907.html
この会見の内容を踏まえると、「制服価格の高止まり」に対して、その原因が競争に関連する場合、具体的な要因としては次の3つが考えられます。なお、この3要因は相互に関係していたり、複合的な要因となったりする可能性もあります。
(1) 制服メーカーが再販売価格維持により、小売店の価格を拘束している。
(2) 制服の小売店が独占企業であることによって、あるいは複数の小売店のカルテル(独占禁止法上問題)や意識的並行行為(独占禁止法上は問題とならない)によって、価格を競争水準よりも引き上げている。
(3) 地方政府や学校が、制服の規格や小売店の指定を行い、十分な参入や競争が発生していない。
※参考URL:平成5年度「第5章 政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度」↓
http://www.jftc.go.jp/info/nenpou/h10/02050001.html
(カ) 学校制服の販売店の推定・ごみ収集袋の指定
a 学校制服の販売店の指定
学校が制服販売店を指定する理由として,保護者が制服を購入する際における便宜を図ることが挙げられているが,指定販売店を少数に固定化しておくことに合理性があるか疑問であり,これにより,制服の販売店間の競争が行われなくなっている可能性がある。
したがって,制服の販売を希望する事業者を広く指定販売店としたり,又は,制服の仕様を積極的に開示することによって,販売店が自由にこれを取り扱えるようにするなどにより,指定販売店の在り方を見直すことが望まれる。
※昭和57年6月18日「不公正な取引方法」(公正取引委員会告示第15号):PDF ⇒ 19820618s.pdf
※参考情報2「学校制服業界の実態」
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学生服業界大手として挙げられるのはトンボ(トンボ学生服)、明石スクールユニフォームカンパニー(富士ヨット学生服)、瀧本(スクールタイガー学生服)、菅公学生服(カンコー学生服)の4社。これらは全国各地の学生服・女子通学服を取り扱い、品質の高さにおいて評価を持っており、とりわけ岡山県に本社を置くトンボ学生服と菅公学生服が二大メーカーとして高い知名度を誇っています。
この他、富士ヨット学生服も岡山県倉敷市に本社があり、なぜ岡山市近辺に学生服メーカーが多いのかというと、かつて岡山県倉敷市の児島地区がその原料である綿花の生産地だったことが理由として挙げられます。
児島地区では明治期より足袋の製造がさかんでしたが、1872年の学制発布に伴い、義務教育の定着化がはかられることになり、やがて大正期に入ると、同地では詰襟式の学生服ならびに女子学生向けのセーラー服の製造を開始しました。
これら3社のみならず、他にも今もなお全国各地に貼られたホーロー看板にその名前が残っている「サクラ日本学生服」の製造元であった石井産業や「太陽櫻学生服」発売元の日本被服など、多くの企業が岡山県倉敷市を発祥とする企業だったのに対し、スクールタイガー学生服の瀧本は大阪府東大阪市が発祥地です。
かつて昭和30年代は就学率も向上するなかで、団塊の世代が学生時代であったため、学生服の需要が旺盛でした。また繊維メーカーの東レと倉敷紡績(クラボウ)の2社が系列を組み、傘下に岡山県に本社を置く学生服メーカーが多数存在したが、やがて昭和40年代以降、2社の傘下に入っていた内、経営体力のないメーカーは次々と倒産、淘汰され、現在のように財務体質が優良な企業数社が残る中、大阪の瀧本はその傘下に入ることなく、今日まで企業を存続させています。
ちなみに現在でも学生服の実に8割近くが岡山県に本社を置くメーカーのもので占められているという統計が出ています。
業界全体でもトンボがOlive des Oliveやヒロミチナカノ、菅公学生服はELLEを採用していて、学生服のブランド化は、最も多くのブランドを扱うトンボと菅公学生服の二社が拮抗している状態にあります。
●菅公学生服株式会社(カンコー学生服)↓
https://kanko-gakuseifuku.co.jp/
本社所在地 〒700-0024岡山県岡山市北区駅元町15番1号リットシティビル5階
◎群馬菅公学生服(株)
〒370-3522 群馬県高崎市菅谷町20-323 TEL 027-360-6671
○株式会社ツナシマ
〒370-0827 群馬県高崎市鞘町66
電話027-322-3022、027-322-3034
http://www.tsunashima1890.com/
ツナシマ高崎本店の取り扱い学校は次のとおり。
<中学校>
第一中学校、高松中学校、並榎中学校、豊岡中学校、中尾中学校、長野郷中学校、大類中学校、塚沢中学校、片岡中学校、佐野中学校、南八幡中学校、倉賀野中学校、高南中学校、寺尾中学校、八幡中学校、矢中中学校、榛名中学校、群馬中央中学校、群馬南中学校、県立中央中等教育学校、箕郷中学校、県立特別支援学校高崎校中等部、県立特別支援学校藤岡校中等部、県立特別支援学校富岡校中等部、安中市立第一中学校、安中市立第二中学校
<県立高校>
高崎高等学校、高崎女子高等学校、高崎北高等学校、高崎経済大学附属高等学校、高崎東高等学校、高崎商業高等学校、高崎工業高等学校、富岡高等学校、安中総合学園高等学校、吉井高等学校、藤岡中央高等学校、藤岡北高等学校、藤岡工業高等学校、県立中央中等教育学校、県立特別支援学校様高崎校高等部、県立特別支援学校様藤岡校高等部、県立特別支援学校富岡校高等部
●明石スクールユニフォームカンパニー㈱(富士ヨット学生服)↓
http://www.akashi-suc.jp/index.html
本社所在地 〒711-0903岡山県倉敷市児島田の口1丁目3-44
◎同社の群馬県における販売店
http://akashi-suc.jp/fuji-yacht/search/area2/pref10/10202/index.html
1:(株)高崎高島屋(群馬)
群馬県高崎市旭町45番地
2:スクールユニフォームチヨ高崎店
群馬県高崎市小八木町312-15
3:あさひ屋衣料品店
群馬県高崎市棟高町448-5
4:根本文具店
群馬県高崎市飯玉町115
5:アピタ高崎店
群馬県高崎市矢中町字渕ノ内668-1
〇スクールユニフォームチヨ
http://www.chiyo-seifuku.jp/
スクールユニフォームチヨ高崎店の取り扱い学校は次のとおり。
http://www.chiyo-seifuku.jp/school/school.html
<中学校>
第一中学校、高松中学校、並榎中学校、豊岡中学校、長野郷中学校、大類中学校、塚沢中学校、片岡中学校、南八幡中学校、倉賀野中学校、高南中学校、群馬中央中学校、群馬南中学校、箕郷中学校、中尾中学校、寺尾中学校、佐野中学校、八幡中学校、矢中中学校、榛名中学校、榛東中学校、県立中央中等教育学校
<高等学校>
高崎高等学校、高崎女子高等学校、高崎東高等学校、高崎商業高等学校、高崎工業高等学校、高崎北高等学校、榛名高等学校、前橋西高等学校、安中総合学園高等学校、吉井高等学校、藤岡中央高等学校、藤岡工業高等学校、前橋育英高等学校
●株式会社トンボ(トンボ学生服)↓
http://www.tombow.gr.jp/
本社所在地 〒700-0985岡山県岡山市北区厚生町2丁目2番9号
◎関東トンボ株式会社
会社概要:設立平成6年7月、平成11年7月群馬支店を開設
資本金:4,000万円
代表者名:代表取締役社長 片山 良則
問い合わせ:〒321-0912栃木県宇都宮市石井町3412番地19
TEL.028-656-1887、FAX.028-656-1889
メッセージ:本社は栃木県・支店は群馬県を拠点として、学校制服及び体育衣料、介護衣料、を販売しています。当社はトンボブランドのもと、最良のユニフォームをハードとソフトを添えてご提案、ご提供いたします。また、ご縁を大切に社会に貢献できるよう心がけておりますので、お気軽になんなりとご用命ください。お待ちしております。
◎関東トンボ株式会社 群馬支店
会社概要:創業平成 6年7月、設立平成11年7月
資本:金4,000万円
支店長:山本 達也
問い合わせ:〒370-0801群馬県高崎市上並榎町25番地3
TEL.027-362-8251、FAX.027-362-9505
トンボ学生服の群馬県高崎市における販売店は次のとおり。
○イオンリテール株式会社 イオン高崎店
〒370-3521 群馬県高崎市棟高町1400 TEL. 027-310-9500
○(有)からさわ
〒370-0883 群馬県高崎市剣崎町213、TEL. 027-343-3927
○(有)菊沢商店
〒370-3104 群馬県高崎市箕郷町上芝195-6、TEL. 027-371-2005
○スクールユニフォームチヨ 高崎店
〒370-0006 群馬県高崎市問屋町1-6-1、TEL. 027-361-9007 /FAX. 027-361-4926
○(株)高崎高島屋
〒370-0052 群馬県高崎市旭町45、TEL. 027-327-1111
○紳士服はるやま 高崎本店
〒370-0007 群馬県高崎市問屋町西1-11-11、TEL. 027-363-0112
○フォーエル 高崎本店
〒370-0031 群馬県高崎市上大類町899-2、TEL. 027-350-1254
○(株)富士屋
〒370-0821 群馬県高崎市新紺屋町16、TEL. 027-322-3963
○MAMADA SPORTS
〒370-0857 群馬県高崎市上佐野町280-1、TEL. 027-327-7883
●瀧本株式会社(スクールタイガー学生服)↓
http://www.takimoto.co.jp/
本社所在地 〒579-8013大阪府東大阪市石切町7丁目4-3
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