■先日2017年9月6日、当会に寄せられた情報に基づき調査した結果、「高崎市斎場(高崎市寺尾町1084番地57)の指定管理者に選定されている株式会社プリエッセのホームページに当初、同社取締役として長井友之弁護士の名前が掲載されており、その後、9月13日に突然、取締役から相談役に書き換えられたことが確認されました。このため、高崎市の公平委員が同市の指定管理者の法人の要職についていることは同市や弁護士会のコンプライアンスに照らして問題があるのではないかという市民の声を踏まえて、当会では念のため、事実関係を確認する必要があると考え、同弁護士が所属する群馬弁護士会に懲戒請求書を9月27日に提出していたところ、10月26日付で群馬弁護士会綱紀委員会から同弁護士の弁明書が送られてきました。当会では弁明書への反論を書面で11月8日に群馬弁護士会館に提出しました。
↑前橋地裁の東隣にある群馬弁護士会館。↑
↑館内の受付窓口の様子。↑
本件のこれまでの経緯は次のブログ記事を参照ください。
〇2017年9月29日:高崎市公平委員会委員長で同市斎場指定管理者相談役を兼務する弁護士を群馬弁護士会に懲戒請求↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2424.html
〇2017年10月26日:高崎市公平委員会委員長で同市斎場指定管理者相談役を兼務する弁護士が群馬弁護士会に懲戒請求弁明書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2450.html
反論の内容は次の通りです。提出部数は1部です。
*****懲戒請求に対する弁明書への反論等*****PDF ⇒ 20171108_choukai_seikyuu_ni_taisuru_benmeisho_heno_hanrontou.pdf
平成29年(綱)第41号
懲戒請求者 市民オンブズマン群馬
対象弁護士 長井友之
懲戒請求に対する弁明書への反論等
平成29年11月8日
〒371-0026 群馬県前橋市大手町3丁目6-6 群馬弁護士会館県民法律センター
群馬弁護士会綱紀委員会 御中
懲 戒 請 求 者
住所 〒371-0801群馬県前橋市文京町一丁目15-10
氏名 市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 印
平成29年10月26日付で貴会に提出された対象弁護士による「弁明書」について、次の通り反論等を行います。
1. 対象弁護士は「高崎市公平委員会の委員(非常勤)であることとプリエッセが高崎市の指定管理者であることとの間には何の関係もないし、疑われる余地もない」と主張していますが、疑われる余地があるからこそ、当会は懲戒請求者として懲戒請求を行ったものです。
2. まず確認しておきたいのは、プリエッセと高崎市との関係は、市斎場を巡る指定管理者と地方公共団体との関係にあることです。これは歴然とした事実です。
3. 次に確認しておきたいのは、対象弁護士はプリエッセのホームページ上に、9月13日まで「取締役」として氏名が掲載されていたことです。これも歴然とした事実です。
4. 対象弁護士は、プリエッセとの関係について「プリエッセの役員ではないし、過去に役員であったこともない」と主張しますが、役員の定義について、正しく理解をしていただく必要があります。通常、「役員」とは会社の業務執行や監督を行う幹部職員のことを指しており、いわゆる経営者・上位管理職のことを意味します。また、我が国の会社法329条における「役員」は、取締役・会計参与・監査役を指します。会社法施行規則では、役員に加えて、執行役・理事・監事などを含めています。また、会社法423条によれば「役員等」という場合は、取締役・会計参与・監査役に加えて、執行役・会計監査人を含むとされています。
5. 一方、我が国の独占禁止法2条3項に定める「役員」とは、理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役若しくはこれらに準ずる者、支配人又は本店若しくは支店の事業の主任者をいいます。企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針では、独占禁止法の「本店若しくは支店の事業の主任者」とは、会社法で支配人と同じ権限を有するとみなされる会社の使用人(例えば、本店総支配人、支店長、営業本部長)等を意味します。また、「これらに準ずる者」とは、取締役、監査役等に当たらないが、相談役、顧問、参与等の名称で、事実上役員会に出席するなど会社の経営に実際に参画している者を指します。このため、相談役であっても、役員とみなされる場合があるのです。対象弁護士は、プリエッセにおいて、経営アドバイザー的な業務をつかさどっていたと考えられ、同社の経営に実質的に関わっていたことがうかがえます。
6. 更に対象弁護士は、高崎市の公平委員会委員長(現職。ただし地方公務員法により非常勤扱いであり、この点は訂正する)であることを自ら認めており、すなわち常勤、非常勤に関わらず「行政委員会の委員=官公署の職員」であることも厳然たる事実です。なお、公平委員会は任命権者から独立した専門機関であり、その最大の特徴は、それが行政機関でありながら、一定の事項に関しては、それを法に照らして判断する司法に準じた機能を有することです。
7. このことについて、高崎市市民部(小泉部長)市民課の青柳課長に確認したところ、対象弁護士について「市公平委員と市指定管理者の相談役を併任しているが、将来的に法律関係の対立が予想されても、利益相反の懸念はないと思っている。仮に当該利益相反行為が発生した場合でも、指定管理者は共同企業体の代表者であり、プリエッセ社ではないため、問題とはならない」との見解が示されました。このように市では本件については不問とする姿勢を見せていますが、これは管理者制度のイニシアチブを放棄したものと言わざるを得ません。公平委員会は職員の処罰等に関しても審査する立場であることから、仮に市斎場を巡り汚職事件が発生した場合、当該事件に関係した職員の審査や必要な措置の際に手心が加えられる可能性を完全に排除することができるのでしょうか。
8. そのため、市側にコンプライアンスの重要性を認識させるためにも、貴会が、対象弁護士側に対して、「李下に冠を正さず」の諺どおり、いかなる場合にも利益相反行為の問題が生じないように、市公平委員もしくは市指定管理者の相談役のどちらかを辞するべく、しかるべき懲戒処分による適切な措置をとることが、世間における弁護士への信頼の醸成のためにも不可欠であると思料する次第です。
9. ちなみに高崎市以外の自治体でも、たとえば群馬県の場合、貴会所属の弁護士の皆さんは、行政側から個々の住民訴訟における訴訟代理人としての個別契約のほか、行政から(群馬県では学事法制課)顧問弁護士としての任期付き契約など、「自治体内弁護士」としての関わり合いが増えています。その一方で、行政の顧問弁護士が、住民の依頼を受けて住民訴訟の訴訟代理人となるケースも多数見受けられます。このように行政と住民という相反の立場からすれば、当該自治体の顧問弁護士や個別の訴訟案件の代理人となっている場合には、住民から当該自治体に係る住民訴訟の依頼を受けても断ること、あるいはその逆の場合には、住民訴訟の場合には当該自治体の顧問弁護士となっていないことや、他の住民訴訟も一切手掛けていないことを依頼者に説明することが、利益相反行為の誹りを回避するために必須であると思料します。
10. 最後に付記したいことがあります。対象弁護士がプリエッセ社の相談役として継続的に法律相談等を受けていましたが、それにも関わらず、同社のホームページに自らの役職について「誤記」を許していたことについて、「逐一チェックすることは不可能である」などと釈明すること自体、噴飯ものと言わざるを得ません。報酬を得て法律相談等を得ているのであれば、自らの役職名を偽って記載するような組織に対して、相談役を辞する覚悟で、強く改善を指導するのが筋だと思われます。にもかかわらず対象弁護士は「プリエッセに対しホームページ上誤解を招く表現は差し控えてほしい旨依頼済みである」などとして、どうみても弱腰の対応しかとっていないようです。これでは、弁護士法に定められた弁護士の使命「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」(第1条)および、弁護士の職責の根本基準「弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない」(第2条)を果たすことにはなりません。
以上
**********
■群馬弁護士会がどのような結論を導き出すのか、同会の綱紀委員会の審議の結果を待ちたいと思います。
↑なぜか弁護士会館内のコピーサービスはA4サイズ1枚につき20円だ。↑
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
↑前橋地裁の東隣にある群馬弁護士会館。↑
↑館内の受付窓口の様子。↑
本件のこれまでの経緯は次のブログ記事を参照ください。
〇2017年9月29日:高崎市公平委員会委員長で同市斎場指定管理者相談役を兼務する弁護士を群馬弁護士会に懲戒請求↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2424.html
〇2017年10月26日:高崎市公平委員会委員長で同市斎場指定管理者相談役を兼務する弁護士が群馬弁護士会に懲戒請求弁明書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2450.html
反論の内容は次の通りです。提出部数は1部です。
*****懲戒請求に対する弁明書への反論等*****PDF ⇒ 20171108_choukai_seikyuu_ni_taisuru_benmeisho_heno_hanrontou.pdf
平成29年(綱)第41号
懲戒請求者 市民オンブズマン群馬
対象弁護士 長井友之
懲戒請求に対する弁明書への反論等
平成29年11月8日
〒371-0026 群馬県前橋市大手町3丁目6-6 群馬弁護士会館県民法律センター
群馬弁護士会綱紀委員会 御中
懲 戒 請 求 者
住所 〒371-0801群馬県前橋市文京町一丁目15-10
氏名 市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 印
平成29年10月26日付で貴会に提出された対象弁護士による「弁明書」について、次の通り反論等を行います。
1. 対象弁護士は「高崎市公平委員会の委員(非常勤)であることとプリエッセが高崎市の指定管理者であることとの間には何の関係もないし、疑われる余地もない」と主張していますが、疑われる余地があるからこそ、当会は懲戒請求者として懲戒請求を行ったものです。
2. まず確認しておきたいのは、プリエッセと高崎市との関係は、市斎場を巡る指定管理者と地方公共団体との関係にあることです。これは歴然とした事実です。
3. 次に確認しておきたいのは、対象弁護士はプリエッセのホームページ上に、9月13日まで「取締役」として氏名が掲載されていたことです。これも歴然とした事実です。
4. 対象弁護士は、プリエッセとの関係について「プリエッセの役員ではないし、過去に役員であったこともない」と主張しますが、役員の定義について、正しく理解をしていただく必要があります。通常、「役員」とは会社の業務執行や監督を行う幹部職員のことを指しており、いわゆる経営者・上位管理職のことを意味します。また、我が国の会社法329条における「役員」は、取締役・会計参与・監査役を指します。会社法施行規則では、役員に加えて、執行役・理事・監事などを含めています。また、会社法423条によれば「役員等」という場合は、取締役・会計参与・監査役に加えて、執行役・会計監査人を含むとされています。
5. 一方、我が国の独占禁止法2条3項に定める「役員」とは、理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役若しくはこれらに準ずる者、支配人又は本店若しくは支店の事業の主任者をいいます。企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針では、独占禁止法の「本店若しくは支店の事業の主任者」とは、会社法で支配人と同じ権限を有するとみなされる会社の使用人(例えば、本店総支配人、支店長、営業本部長)等を意味します。また、「これらに準ずる者」とは、取締役、監査役等に当たらないが、相談役、顧問、参与等の名称で、事実上役員会に出席するなど会社の経営に実際に参画している者を指します。このため、相談役であっても、役員とみなされる場合があるのです。対象弁護士は、プリエッセにおいて、経営アドバイザー的な業務をつかさどっていたと考えられ、同社の経営に実質的に関わっていたことがうかがえます。
6. 更に対象弁護士は、高崎市の公平委員会委員長(現職。ただし地方公務員法により非常勤扱いであり、この点は訂正する)であることを自ら認めており、すなわち常勤、非常勤に関わらず「行政委員会の委員=官公署の職員」であることも厳然たる事実です。なお、公平委員会は任命権者から独立した専門機関であり、その最大の特徴は、それが行政機関でありながら、一定の事項に関しては、それを法に照らして判断する司法に準じた機能を有することです。
7. このことについて、高崎市市民部(小泉部長)市民課の青柳課長に確認したところ、対象弁護士について「市公平委員と市指定管理者の相談役を併任しているが、将来的に法律関係の対立が予想されても、利益相反の懸念はないと思っている。仮に当該利益相反行為が発生した場合でも、指定管理者は共同企業体の代表者であり、プリエッセ社ではないため、問題とはならない」との見解が示されました。このように市では本件については不問とする姿勢を見せていますが、これは管理者制度のイニシアチブを放棄したものと言わざるを得ません。公平委員会は職員の処罰等に関しても審査する立場であることから、仮に市斎場を巡り汚職事件が発生した場合、当該事件に関係した職員の審査や必要な措置の際に手心が加えられる可能性を完全に排除することができるのでしょうか。
8. そのため、市側にコンプライアンスの重要性を認識させるためにも、貴会が、対象弁護士側に対して、「李下に冠を正さず」の諺どおり、いかなる場合にも利益相反行為の問題が生じないように、市公平委員もしくは市指定管理者の相談役のどちらかを辞するべく、しかるべき懲戒処分による適切な措置をとることが、世間における弁護士への信頼の醸成のためにも不可欠であると思料する次第です。
9. ちなみに高崎市以外の自治体でも、たとえば群馬県の場合、貴会所属の弁護士の皆さんは、行政側から個々の住民訴訟における訴訟代理人としての個別契約のほか、行政から(群馬県では学事法制課)顧問弁護士としての任期付き契約など、「自治体内弁護士」としての関わり合いが増えています。その一方で、行政の顧問弁護士が、住民の依頼を受けて住民訴訟の訴訟代理人となるケースも多数見受けられます。このように行政と住民という相反の立場からすれば、当該自治体の顧問弁護士や個別の訴訟案件の代理人となっている場合には、住民から当該自治体に係る住民訴訟の依頼を受けても断ること、あるいはその逆の場合には、住民訴訟の場合には当該自治体の顧問弁護士となっていないことや、他の住民訴訟も一切手掛けていないことを依頼者に説明することが、利益相反行為の誹りを回避するために必須であると思料します。
10. 最後に付記したいことがあります。対象弁護士がプリエッセ社の相談役として継続的に法律相談等を受けていましたが、それにも関わらず、同社のホームページに自らの役職について「誤記」を許していたことについて、「逐一チェックすることは不可能である」などと釈明すること自体、噴飯ものと言わざるを得ません。報酬を得て法律相談等を得ているのであれば、自らの役職名を偽って記載するような組織に対して、相談役を辞する覚悟で、強く改善を指導するのが筋だと思われます。にもかかわらず対象弁護士は「プリエッセに対しホームページ上誤解を招く表現は差し控えてほしい旨依頼済みである」などとして、どうみても弱腰の対応しかとっていないようです。これでは、弁護士法に定められた弁護士の使命「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」(第1条)および、弁護士の職責の根本基準「弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない」(第2条)を果たすことにはなりません。
以上
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■群馬弁護士会がどのような結論を導き出すのか、同会の綱紀委員会の審議の結果を待ちたいと思います。
↑なぜか弁護士会館内のコピーサービスはA4サイズ1枚につき20円だ。↑
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】