市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

タゴ一族しか知らない51億円事件の本当の使途不明金額

2008-11-25 06:09:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■今年もまもなく師走を迎える時期になりました。今日11月25日は、安中市が私たち市民の公金を使って、13年前のタゴ事件の尻拭いのため、2000万円を群馬銀行に支払う日です。奇しくも、今日からまた10年間、群銀にせっせとタゴの豪遊のツケを負わされることになりました。あの、忌まわしい51億円事件で。平成7年6月3日の朝刊を見た時のショックは、市民の間に今でも癒えることなく続いています。

ところで、当会ではこの事件を「51億円事件」と呼んでいますが、市役所は「不祥事件」、マスコミでは「巨額詐欺事件」という言い方をしています。事件が発覚して13年経ち、警察の捜査も終結し、刑事裁判もとっくに終わって、タゴ事件関係者も時効が過ぎてホッとしており、タゴ自身でさえ、既に仮出所で「臭い飯」でなく、旨いメシを食っているというのに、事件の真相だけが闇の彼方です。これだけの大事件なのに、ムショに入れられたのは一人だけという世にも不思議な事件です。

■とりわけ象徴的なのは、事件の最も肝心要である犯行総額さえ、まだアヤフヤなことです。この基本的な数字が確定されない限り、行方不明となっている巨額のカネの全容は把握できません。事件発覚から丁度3年目を迎えたのを契機に、当会では、これまでに入手した資料等からタゴの不正実利得額を算定してみました。まずは別表をご覧ください。

この表は、膨大な刑事記録などから、タゴが群馬銀行から一体いくら偏し取ったのかを検証するために作成したものです。当会では、この表が正しいかどうか確認するため、98年ごろ群馬銀行に持ち込んで数字のチェックを依頼した経緯があります。しかし、群馬銀行は一目見るなり顔色を変えて「これは受け取れない」と拒否してきました。       一

■タゴの自己消費の総額は、警察の捜査の結果、27億3756万8313円と判明しました。そのうち、警察の懸命な捜査にもかかわらず、使途が判明したカネは13億311万4946円(全体の47.6%)。ナント残りの14億2445万3367円(全体の52.4%)が行方不明というから、この事件の異常性をよく物語っています。

別表では、上半分と下半分に、それぞれウラ口座開設前と後の、即ち平成2年4月15日以前と以後の、公社が群銀から借入れた額とタゴが水増しした金額を時系列に並べてあります。注意しなければならないのは、ここに列挙した借入の他に、群銀との聞では水増しをしていない通常の借入もあることです。それらも含めて、公社と群銀との間には多年にわたり巨額な資金が行き来していました。

■表でお分かりのように、タゴが最初に群銀から金を偏し取ったのは昭和60年3月31日となっています。警察では、それ以前の借入や、群銀以外の金融機関から公社が借入れた経緯も当然把握していますが、不正借入はこの時から開始されたようです。

騙し取るきっかけは、タゴがそれまでに公社で借りていた資金を使い込み、群銀への返済期日が迫ってきたため「なんとかしなけりゃ」と水増し借入を画策した、ということになっています。最初から公印を使い、隙間に漢数字を書き加える方法で公文書を変偽造していた、という。よくまあ十年間もバレなかったものだと呆れてしまいます。

警察の調べによると、昭和60年3月までに、タゴは公社の事務費をネコババしたり、帳簿
を改ざんして5千万円くらい横領したそうです。公社の決算書から昭和57から60年度にかけて利益積立金がゼロとされ、3200万円余りが忽然と消えてしまったことは、当会も平成7年10月に指摘していたので、警察も背景を調べた筈です。

事件を捜査していた安中署は、平成2年4月15日以前の犯行(表No.1-1~1-26)は立件困難だとして送検しませんでした。理由は、時効や証拠隠滅だそうです。それでも、関連資料は検察に送られました。ところが検察は、平成2年9月8日の犯行(表No.2-2)については、借りた金を返却しているとの理由で不起訴としました。
■表を見ると明らかなように、タゴは実に巧妙に借り換えをしています。昭和60年の借入金も、その後借り換えて返却しています。順調だった『自転車操業』も、どういうわけか、昭和62年12月24日の3千万円余(この金額も実は不確か)の借入(表No.1-14)で、つまずいています。

想像するに、当初の返済期日だった昭和63年9月末に、借り換えがうまくできず、返済期日を繰延にしたようです。群銀も繰延理由を聞かずに、ホイホイ応じました。タゴは、こんな小額の返済のことなど忘れていたに違いありませんが、年度末になると群銀が教えてくれるので、律義(?)に973万5千円ずつ返済していました。あとは平成8年、9年の2回で払い終わる筈でした。異動で公社を離れても、一年以内に戻ってこられると確信していたからこそ、返済期日はそのままにしておけたのでした。

平成2年4月16日に公社特別会計口座なるものを首尾よく開設してから、タゴの不正利得額はウナギのぼりとなります。以来、平成7年5月中旬の発覚に至るまで、ご承知のとおり13回にわたり巨額の金をまるで打ち出の小槌のように群銀から引き出しています。

■タゴの『自転車操業』が次にほころびかけたのは、平成4年3月でした。6件の借入(表No.1-21、23、24、25、26)の期日到来が迫ったからです。返済が5億1千万円になるため、タゴは取り敢えず、一番古い案件の5千万円だけ借り換えで返済し、残りは返済期日を先送りしてしまおうと、ウルトラD(?)に打って出ました。どうせなら、思いっきり先送りしようと考えて、5年先の平成9年3月末に変更しました。この時も群銀はホイホイと応じました。

次に迎えたピンチは、平成6年3月未でした。今度(No,2-2)は14億円を返済しなくてはならなりません。そのカネを捻出するために、タゴはついに6億円という数字を証書に書き込み、群銀に持ち込みました。そして、首尾よくピンチを乗り切ったのでした。

その次の関門は平成7年3月末にやってきました。今度は大小4案件、合計5倫2千万円の返済 期日を迎えるからでした。しかしタゴは、これら全てを5年後の平成12年3月末まで一括して先送りするための手続きを用意周到に踏んでいました。してやったり、というタゴの顔が目に浮かぶようです。

翌、平成8年3月の返済額は裏口座の973万5千円だけなので、もし社会教育課での勤務が一年以上になったとしても、2億円の残高を確保してある特別口座から振り込めばよいのです。タゴは平成9年3月末までこれで安泰と考えていたに違いありません。

■平成9年3月末には返済期日の到来予定が16件(表No.1-23、24、25、26、No.2-C、D、E、F、2-4、5、6、7、8、9、10)合計約20億4千万円ありました。普通の神経の持ち主なら重圧でとても仕事が手に付かないでしょう。

ところがタゴは、公社事業は今後も区画整理や信越線中間駅構想、そして特養ホーム、郷土資料館や福祉センターなどの施設計画、さらに公社プロバー事業の新規分譲計画など、小川市政が続く限り、オイシイ状態が続くし、例え発覚しても「頼りになる」関係者が多いため何とかなると、全く心配していなかった様子がうかがえます。

それにしても、この表を見てつくづく考えさせられるのは、金融機関と行政の癒着の構図です。群銀安中支店にとっては、さながらMOF担(大蔵省の事前情報を取るため、大蔵接待が仕事だった銀行担当者のこと)ならぬ「タゴ担」だったようです。

■さて、本題のタゴの実利得の話に戻しましょう。警察の捜査結果によると、まず昭和57年から60年にかけて、タゴは約6100万円を業務横領。

次に、昭和60年3月30日から平成2年4月15日の期間に、タゴが不正取得した全は、正規口座で群銀から不正借入した11億3千万円と、公社の帳簿改ざん等により横領したのが8756万8901円の、合わせて12億1756万8901円になります。

さらに平成2年4月15日のウラ口座開設以降、事件の発覚する平成7年5月17日までに群銀から不正借入で36億3千万円。業務上横領が1億9633万2468円。これに期間中の受取利息759万8217円を加えると、タゴが手にした金は38億3393万715円。以上合計51億3395万7901円が、タゴが手にした総額になるとされています。

この莫大なカネのうち、タゴが、犯行を隠す為に群銀への利息と返済に充てたのが特別口座開設以前に7億8435万479円。残り4億3321万8422円が自己消費だとしています。自己消費した分を加えると、タゴの自己消費総額は前述のよう27億3756万8313円になるといいます。ホントにそうでしょうか。

■再び別表に目を通してください。多胡は発覚を防ぐため、綱渡りのように借り換えを繰り返していたのは確かです。司直はタゴが『自転車操業』で昔の不正借入は借り換えてチャラにしているので、不起訴としたかもしれませんが、『自転車操業』の合間をぬって、タゴはしっかり財布を膨らませていったのです。

表の一番下には、半年ごとの不正借入総額から借り換えのための充当に回した金額を引いた「差額」について示してあります。タゴの「手取り分」です。合計すると36億2千万円になります。これには、多胡が勝手にチョコチョコと公社の借人証をつくって、群銀からゼニをせしめていた案件(表No.2-A、B、C、D、E、F、G)は含んでいません。

これらの殆どは公社の残高がゼロだったり、金利条件が違っていたり(表No.2-G)するため、実質的にタゴが着服したものと見なしました(実際に公社ぐるみの犯行なので、タゴにしてみれば不満かも)。No.2-Gを除く合計は、9580万1千円で、公社の帳簿残金は1325万1千円。即ち8235万円がタゴの実利得となります。

さらに公社のズサンな帳簿によると、正規口座に振分けられた公社の「まっとうな」借入金の残高も1億5200万6000円不足しています。これもタゴの自己消費に回ったと考えられます。

■他方で、タゴは使い込みがバレないように『自転車操業』を続けるために、不正借入分の利息を支払っていました。これが幾らになるかがポイントで、タゴ自身の供述では「100億円くらい群銀に利息を払ったと思う」などとデマカセを言っています。

別表の右欄に、これまでタゴが支払ったと恵われる利息額を示しました。一部金利条件が不明なものもあり、正確な数字ではないことをまずもってご了承願いたいのですが、一応の目安にはなるでしょう。試算の結果、利息合計は約7億6千万円強になります。勿論これには、公社の「まっとうな」借入金に対する利息も含まれています。水増し分に限って言えば、6億円程度でしょう。

以上のことから、タゴの実利得を計算してみます。水増し総額36.2億円から金利分を差し引いた30.6億円に、上記の帳簿改ざんによる横領分3.2億円を加え、合計33.8億円。この他にも、公社の長年にわたる粉飾決算書により、少なく見積もっても数億円の利得があるものと推定される。勿論群銀に支払った水増し借入金に対する金利は、公社すなわち安中市の損失なのだから、それも考え合わせると、莫大な金額になることが分かります。

■このように市民の試算では、タゴの実利得額は、どうしても警察の捜査結果のような27億円台の数字にはなりません。警察も、不正取得額と費消額のツジツマ合わせがどうしてもできず、最後まで苦労させられたと聞きます。

司直は、タゴの弁護士がタゴの骨董コレクションや預金、金券を換金して群銀に返済したとされる6億円余りの金を、タゴの実利得から割り引いて計算したのかもしれない。いずれにせよ、使途不明金は14億円以上にのぼります。市民が注目するのは当然です。

当会では、タゴが不正に得た所得に対して、国や県・市はきちんと把握して課税していたのかどうか、改めて確認しておきたいと考えています。51億円事件が公になった直後、安中市民は、小川是国税庁長官(当時)宛に告発状を出しました。

国税は、その後の調査でタゴの金の流れをかなり掴んだと見られます。その結果、タゴの代理人に、修正申告書を書かせた可能性があります。しかしその金額が幾らなのか、国税に何度聞いても教えてもらえません。もちろん県や市もノーコメントです。

真相解明には、タゴの実利得の解明が基本です。行政の自浄作用が遅々として進まない現状では、市民の粘り強い真相解明の努力こそが、再発の抑止力となるからです。

【ひらく会情報部】


【表の見方】多胡邦夫は平成2年4月16日に公社特別会計口座(ウラロ座)を開設。開設前をNo.1、開設後をNo.2と分類してあります。
この表は、群銀が民事訴訟で提起している内容を基に、刑事記録の捜査資料から「多胡邦夫が水増した」案件をリストアップしてあります。従ってこれ以外にも、公社と群銀との間で多数の金銭貸借案件があります。右欄の公社残高は、民事裁判で公社が多胡邦夫の残した帳簿をもとに群銀に反論している内容を示します。また表中に、ブロック体の文字で示してあるのは、公社が主張している内容です。
多胡邦夫の実利得は、いわゆる「自転車操業」で不正借入と返済(支払利息含む)を繰り返しているため、半年ごとに手元に残った金をまず計算しました。この群銀からの不正実利得額が36億2千万円(不正借人分に対する支払利約5億円を含む)。他にも、公社帳簿を改ざんして横領した分として、群銀残高と公社残高との差額2億8787万7千円および公社帳簿の不明金1億2753万3千円。
さらに特別会計口座の預金残高に対する利息分(公社なので全て非課税)ン千万円などが、多胡邦夫の実利得として考えられます。さらに、この表に現れない昭和57~60年の横領額約6100万円及び公社業務を通じて様々な手口でせしめた利得も加算対象です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酒気帯び運転の安中市職員、ひき逃げで起訴されても休職扱い

2008-11-25 00:30:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政
■10月4日の報道によると、安中市職員が同日未明、長野県警軽井沢署に、酒気帯び運転容疑で現行犯逮捕されたことが報じられました。
公務員の酒気帯び運転で思い起こされるのは、2006年8月25日に福岡市で発生した同市職員飲酒運転事故で子供3人が死亡した事故です。これを契機に、安中市をはじめ全国の各自治体で、飲酒運転の撲滅のため徹底した指導が為されてきたはずでした。

その後、この職員は、ひき逃げしていたことを自供しました。10月6日のFM軽井沢は次のように報じました。

**********
酒気帯び運転で逮捕の安中市職員、ひき逃げについても自供
 一昨日の未明、軽井沢町の町道で酒気帯び運転による道路交通法違反の疑いで逮捕された、群馬県安中市教育委員会職員は、逮捕される直前に別の車に追突する事故を起こして、そのまま現場をたち去っていたことが分かり、軽井沢警察署では引き続き職員の身柄を拘留して、ひき逃げの疑いで捜査を続けています。
 逮捕されたのは、群馬県安中市の市教育委員会職員で、公民館館長補佐の白石功一容疑者、55歳で、白石容疑者は、一昨日の午前0時過ぎ、軽井沢町追分の町道、通称浅間サンラインを酒を飲んで運転していたところを、目撃者の通報を受けた軽井沢警察署員に逮捕されたものです。
 その後の調べで白石容疑者は逮捕の直前、町道の信号で停車していた、御代田町の男性27歳が運転する普通乗用車に追突、この男性と同乗していた27歳の女性の2人に首を強く打つけがを負わせたまま、現場から逃走していたことを認めており、軽井沢警察署では道路交通法違反の疑いに加えて、ひき逃げの容疑についても追及しています。
 さらにこれまでの調べで事故のあった一昨日、白石容疑者は安中市から酒を飲むために御代田町に来ていたと話をしており、当初から酒を飲んで車を運転し、帰宅するつもりだったということで、警察ではさらに飲酒をした経緯など詳しいことを調べています。
**********

■そこで当会は、51億円事件でも誰も責任を取らない無責任体質の安中市役所が、こうした飲酒運転事故を起こした職員にどのような対応をするのか調査すべく、11月6日に情報開示請求を行いました。その結果、他の自治体と比べて、職員の酒気帯び運転に対して寛大な措置であることが判明しました。

10月4日(土)午後2時44分に酒気帯びで逮捕された安中市職員は、その後、長野地検佐久支部に送検され、ひき逃げでも追送検され、10月24日に地検から長野地裁佐久支部に起訴されましたが、その直後に保釈されました。

保釈を受け、安中市は、地方公務員法第28条第2項第2号の規定により、「刑事休職」処分としました。安中市が適用した地方公務員法第28条第2項第2号とは、次の規定です。
**********
(降任、免職、休職等)
第28条 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
1.勤務実績が良くない場合
2.心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
3.前2号に規定する場合の外、その職に必要な適格性を欠く場合
4.職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
2 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反してこれを休職することができる。
1.心身の故障のため、長期の休養を要する場合
2.刑事事件に関し起訴された場合
**********

■さらに、安中市は、11月1日付で当該職員を教育委員会から総務部職員課に異動させ、市民の目から遠ざける配慮をしました。そして、これらの処分について、11月18日(火)午前10時から、安中市職員懲戒等審査委員会を開催しました。結果の内容は開示情報に含まれていませんが、おそらく市役所の処分をそのまま追認したものと思われます。

いくら岡田市長が、ご自身がいくら酒気帯び運転しても警察に捕まらないからといって、酒気帯びでひき逃げした職員を、市民の目の届かぬ部署に異動させ、刑事事件の判決が出るまで、条件は不明なるも無給ではなく有給で休職させるという配慮は、民間の常識からすると極めて異常な処分ではないかと思われます。

貼付資料5に他の自治体における酒気帯び運転等懲戒処分の事例が載っていますが、酒気帯び運転で捕まっただけでも停職になり、まして物損事故を起こしたり、報告義務を怠ったりすると、即、懲戒免職とされています。例外は隣の富岡市で、今年の9月に酒気帯びで信号無視をしてパトカーに捕まって停職3ヶ月の処分でした。

■なんでもありの安中市ですから、岡田市長の根回しで、寛大な措置が取られるのではないかという予想は、あながち的外れではないかもしれません。安中市に奉職する公務員は、今回の事故を教訓に、「これぐらいの事故をやらかしても、クビになることはない」などと考えないように…。再発防止の観点からも、我々市民としては願わずにはいられません。

なお、岡田市長が就任後、飲酒運転撲滅に関する規律、規範等について、市職員にどのような指導をしたのか、を調べるために公文書の調査をしたところ、平成18年の年末に、当時の総務部長から「飲酒等の機会が多くなると思われますが、絶対に飲酒運転をしない」という通達が出ていました。

岡田市長からは、平成19年7月2日付で、「市職員皆様への訓示」として、「昼休み時間に窓口業務、その他必要な場所以外の照明器具は消灯」「昼休み時間にはパソコンの電源OFF」が出されていますが、飲酒運転については、まだ直接訓示がなされていないようです。絶対に飲酒運転をしないよう、ぜひとも、率先垂範をお願いしたいものです。

【ひらく会情報部】

以下、参考情報です。

【職員の分限処分に伴う辞令交付について起案文書(10月30日付)】
年 度   平成20年度
文書種類  内部
文書番号  第16111号
保存年限  永年
受付年月日 平成20年10月30日
起案年月日 平成20年10月30日
決裁年月日 平成20年10月30日
分類番号  大8 中1 小1 簿冊番号1 分冊番号1
完・未完別 完結
簿冊名称  一般職員
完結年月日 平成21年 5月31日
分冊名称  人事関係書類
施行区分  普通
公 開   1 非公開 時限秘( 年) 部分秘 全部秘 2 公開
起案者   教育部総務課庶務係 職名 課長補佐 氏名 田村武志 内線(2221)
決裁区分  市長・― 教育長・中沢 部長・本山 課長・木内 係長・田村 係・― 公印―
関係部課合議 職員課長・上原 職員課職員係長・真下 文化センター所長・内田
課内供覧   -
件名 職員の分限処分に伴う辞令交付について(伺い)
 原市公民館 館長補佐 白石功一は、平成20年10月4日(土)に酒気帯び運転の容疑で、長野県軽井沢警察署に現行犯逮捕され、平成20年10月24日長野県地方検察庁佐久支部から飲酒運転で事故を起こし、逃走したとして、自動車運転過失傷害及び道路交通法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)の疑いで長野県地方裁判所佐久支部に起訴されました。
 ■■■■■■■■■■■に保釈されましたが、起訴という犯罪事実の相当程度客観性のあるまま、市民と接する公民館で職務に従事させることは、職場における規律・秩序の維持に影響を与え、公務に対する市民と接する公民館で職務に従事されることは、職場における規律・秩序の維持に影響をあたえ、公務に対する市民の信頼を失する恐れがあります。また、公判準備や公判への出頭等により職務専念義務に支障を来たすことが予想されます。
 つきましては、原市公民館館長補佐の任を解き、市長部局に判断を委ねてよろしいか伺います。

【発令簿】
番号431 教育長・中沢 部長・本山 発令年月日20.10.31 発令事項「原市公民館館長補佐を解く」 職名・課長補佐(館長補佐) 氏名・白石功一

【職員の分限処分についての起案文書(10月31日付)】
年 度   平成20年度
文書種類  内部
文書番号  第16057号
保存年限  永年
受付年月日 平成20年10月30日
起案年月日 平成20年10月30日
決裁年月日 平成20年10月31日
分類番号  大1 中1 小5 簿冊番号1 分冊番号1
完・未完別 完結
簿冊名称  休復職書類
完結年月日 平成21年 5月31日
分冊名称  休復職
施行区分  普通
公 開   1 非公開 時限秘( 年) 部分秘 全部秘 2 公開
起案者   総務部職員課職員係 職名 主幹 氏名 真下幹夫 内線(000)
決裁区分  市長
決裁    市長・岡田 部長・秋山 課長・上原 係長・真下 係・- 公印―
関係部課合議 教育長・中沢   課内供覧 平石、伊丹、田中
件名 職員の分限処分について
 上記のことについて、次のように決定してよろしいか伺います(別紙 枚)
 教育委員会出向 課長補佐 白石功一 は、平成20年10月4日午前0時44分、長野県軽井沢警察署に酒気帯び運転の容疑で、現行犯逮捕され拘留されておりました。同月24日長野地方検察庁佐久支部から、飲酒運転で事故を起こし逃走したとして、自動車運転過失傷害と道路交通法違反(酒気帯び、ひき逃げ)の罪で長野地方裁判所佐久支部に起訴され、■■■■保釈されました。
 起訴という犯罪事実についての相当程度客観性のある公の嫌疑を受けたまま引き続き公務に従事させることは、職場における規律あるいは秩序の維特に影響を与え、ひいては公務に対する住民の信頼を夫わせるおそれがあります。また、公判準備や公判への出頭等により職務専念義務を果たせなくなるおそれがあるため、地方公務員法第28条第2項第2号の規定による、「休職(刑事休職)」処分が適切と考え、当該刑事事件が裁判所に係属する聞、休職■■■処分としたいがよろしいか伺います。
     記
該当職員教育委員会出向 課長補佐 白石功一
分限処分 休職 ■■■ 「当該刑事事件が裁判所に継続する間」・・・・・職員の分限に関する手続及び効果に関する条例第3条第2項
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
  ■■■■■
処分説明書 別紙のとおり
【辞令案】
   第   号
             安中市 課長補佐 白石 功一
 教育委員会に出向を解く
 総務部職員課付を命ずる
 地方公務員法第28条第2項第2号の規定により休職を命ずる
 休職の期間は当該刑事事件が裁判所に係属する間とする
      平成20年11月1日
            安中市

【本人宛送付の処分説明書】
交付年月日    平成20年11月1日
処分者職氏名   安中市長 岡田義弘 印
処分を受けた職員に関する事項 氏名・白石功一 職名・課長補佐 所属・総務部職員課付け
処分の内容に関する事項    分限処分 休職 当該刑事事件が裁判所に係属する間
処分年月日    平成20年11月1日
根拠法規     地方公務員法第28条第2項第2号及び職員の分限の手続及び効果に関する条例第1条の2並びに同条例第3条第3項
処分の理由
 平成20年10月24日に長野地方検察庁佐久支部から飲酒運転で事故を起こし逃走したとして、自動車運転過失傷害と道路交通法違反(酒気帯び、ひき逃げ)の罪で長野地方裁判所佐久支部に起訴されました。
 起訴という犯罪事実についての相当程度客観性のある公の嫌疑を受けたまま引き続き公務に従事させることは、職場における規律あるいは秩序の維持に影響を与え、ひいては公務に対する住民の信頼を失わせるおそれがあります。また、公判準備や公判への出頭等により職務専念義務を果たすことができなくなるおそれかおるため、地方公務員法第28条第2項第2号及び職員の分限の手続及び効果に閲する条例第1条の2並びに同条例第3条第3項の規定により、標記処分とするものである。
教示:この処分に不服のある者は、地方公務員法第49条の2の規定によ‰処分のあった日の翌日から起算して60日以内に安中市公平委員会に対して、不服申立てをすることができる。
 ただしこの期間内であっても処分のあった日の翌日から起算して1年を経過したときはすることができない。

【確認書及び起訴状】
(個人情報だとして非開示)

【安中市職員懲戒等審査会の開催についての起案文書(11月10日付)】
年度    平成20年度
文書種類  内部
文書番号  第16728号
保存年限  永年
受付年月日 平成20年11月10日
起案年月日 平成20年11月10日
決裁年月日 平成20年11月10日
分類番号  大1 中2 小7 簿冊番号1 分冊番号1
完・未完別 完結
簿冊名称  懲戒
完結年月日 平成21年 5月31日
分冊名称  安中市職員懲戒等審査委員会綴
施行区分  普通
公開    1 非公開 時限秘( 年) 部分秘 全部秘 2 公開
起案者  総務部職員課職員係 職名 主幹 氏名 真下幹夫 内線(000)
決裁区分  市長
決裁    市長・岡田 部長・秋山 課長・上原 係長・真下 係・- 公印―
関係部署合議 -    課内供覧 田中、伊丹、平石
件名 安中市職員懲戒等審査委員会の開催にいて
 上記のことについて、次のように決定してよろしいか伺います(別紙 枚)
 平成20年10月24日自動車運転過失傷害と道路交通法違反(酒気帯び、ひき逃げ)の罪で長野地方裁判所佐久文部に起訴された、総務部職員課付け課長補佐白石功一にたいし、安中市職員懲戒等審査委員会規則第21条(委犀会は、市長の諮問に応じ職員の懲戒処分に関する事項を審査する。)の規定基づく審議を行うため、委員会を開催したいがよろしいか伺います。
      記
 1.日時 平成20年11月18日(火)午前10時
 2.場所 本庁2諧203会議室
 3.議題 職長の懲戒処分に関する審査について


【安中市職員懲成等審査委員会】
会 議 次 第
日 時 平成20午11月18日午前10時から
場 所 第203会議室(本庁舎2階)
1.開 会
2.挨 拶
3.委員長互選
4.委員長挨拶
5.議  題
(1)職員の懲戒処分に関する事項の審査について
(2)その他
6.閉  会

【資料1】
(軽井沢警察署における本事件取調べに関する情報。個人情報だとして非開示)

【資料2】
職員の分限処分についての起案文書(10月31日付)。上記参照。

【資料3】
確認書(個人情報だとして非開示)

【資料4】
起訴状(個人情報だとして非開示)

【資料5】
酒気帯び運転等懲戒処分事例
(1)桐生市消防職員
平成19年7月5日・・・無免許運転(追捕)
平成19年7月25日・・・起訴
平成19年7月25日・・・・公文書偽造(逮捕)
平成19年7月27日・・・・刑事休職処分
平成工9年8月10日・・・起訴(公文書偽造)
平成19年8月23日・・・・懲戒免職
   上司・・・課長・・・・戒告  係長他・・・訓告
(2)秋田県横手市職員(教育委員会)
平成20年9月酒気帯び運転・・・・停職6ケ月
(3)青森県青森市、市営バス運転手
平成17年11月酒気帯び運転・・・・停職4ケ月
(4)宮城県職員
平成20年9月酒気帯び運転・・・・停職2ケ月
(5)青森県教育委員会
酒気帯び運転で人身事故(運転者や2名に軽傷を典わせた)・・・・懲戒免職
(6)青森県十和田市職員
平成20年9月酒気帯び運転で脱輪事故・・・・・停職5ケ月
(7)群馬県富岡市職員
平成20年9月酒気帯び運転(職員は、6目午後8時から同11時頃にかけて、前橋市内の飲食店で複数の友人と飲酒し、生ビール中ジョッキ1杯と焼酎360ミリリッドレほどを飲んだ。その後、近くに止めてあった自分の車のなかで、翌日午前4時過ぎまで仮眠後、富岡市内の自宅に戻る途中、高崎市内の国道17号交差点で、信号無視をしてパトカーに見つかった。)・・・・・・・・停職3ケ月
   部課長・・・訓告処分(厳重注意)
(8)青森県七戸市消防署職員
平成20年9月酒気帯び運転(職員は8月5日午後11時半頃、七戸町で缶ビール2本を飲んで運転し、警察官の取り締まりで呼気エリットルあたり0.25ミリ以上のアルコールが検出された。規定では、職務違反があった場合には1週間以内の報告を義務づけているが、この職員は22日まで飲酒運転を隠していた。)・・・・・懲戒免職(8月28日)
(9)鹿児島県出水市教育委員会職員
平成20年9月酒気帯び運転で自損事故・・・停職3ケ月
   教育長・・文書訓告、教育部長・担当課長・・口頭訓告処分
(10)福島県教育委員会職員
平成20年9月酒気帯び運転で自爆事故(8月8日午後1時頃から午後11時頃まで、1人で郡山市内の温泉施設で、焼酎の炭酸割りを中ジョッキで2杯飲んだ後、乗用車で帰宅途中、道路脇の水田に転落、駆けつけた郡山牝暑員に摘発された。)・・・懲戒免職
(11)鳥取県職員
平成20年10月酒気帯び運転で自損事故(職員は9月2日午後5時頃、酒を飲んだ後に車を運転し、倉吉市内の国道179号で中央分離帯に衝突する事故を起こした。この日は休暇を取っていた。職員は、11日道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑で書類送検された。・・・・・9月19日懲戒免職
(12)山梨県甲府市職員
平成20年9月酒気帯び運転で物損事故(職員は7日午後3時45分頃、甲府市の市道で乗用車を運転中、物損事故を起こした。駆けつけた警察官が調べたところ、基準を超えるアルコールが検出されたため、酒気帯び運転が発覚。甲府署が道路交通法違反容疑で現行犯逮捕した。・・・・・9月19日懲戒免職
   教育長・教育部長・校長・・・訓告処分

※懲戒処分は、刑事事件で起訴されたかどうかにはかかわるなく、任命権者において職員の非行行為を確認して行うことになります。


【資料6】
平成20年4月1日一部改正後 職職-68
平成12年3月31日
各省各庁事務次官 各外局の長 殿
    人事院事務総長
懲戒処分の指針について(通知)
 人事院では、この度、懲戒処分がより一層厳正に行われるよう、任命権者が懲戒処分に付すべきと判断した事業について、処分量定を決定するに当たっての参考に供することを目的として、別紙のとおり懲戒処分の指針を作成しました。
 職員の不祥事に対しては、かねて厳正な対応を求めてきたところですが、各省庁におかれては、本指針を踏まえて、更に服務義務違反に対する厳正な対処をお願いいたします。
 特に、組織的に行われていると見られる不祥事に対しては、管理監督者の責任を厳正に問う必要かおること、また、職務を怠った場合(国家公務員法第82条第1項第2号)も懲戒処分の対象となることについて、留意されるようお願いします。
 以上

<別紙>
懲戒処分の指針
第1 基本事項
 本指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。
 具体的な処分量定の決定に当たっては、
 ① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
 ② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
 ③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
 ④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
 ⑤ 過去に非違行為を行っているか
 等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。
 個別の本案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、
 ① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
 ② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
 ③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
 ④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき
 ⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき
 がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、
 ① 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
 ② 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると詰められるとき
 がある。
 なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標挙例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。

第2 標準例
1 一般服務関係 (略)

2 公金官物取扱い関係
(1)横領
  公金又は官物を横領した職員は、免職とする。
(2)窃取
  公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。
(3)詐取
  人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。
(4)紛失
  公金又は官物を紛失した職員は、戒告とする。
(5)盗難
  重大な過失により公金又は官物の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6)官物損壊
  故意に職場において官物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7)失火
  過失により職場において官物の出火を引き起こした職員は、戒告とする。
(8)諸給与の違法支払・不適正受給
  故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9)公金官物処理不適正
  自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。
(10)コンピュータの不適正使用職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

3 公務外非行関係
(1)放火
  放火をした職員は、免職とする。
(2)殺人
  人を殺した職員は、免職とする。
(3)傷害
  人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
(4)暴行・けんか
  暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(5)器物損壊
  故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(6)横領
  自己の占有する他人の物(公金及び官物を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。
(7)窃盗・強盗
 ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は休職とする。
 イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を佳辰した職員は、免職とする。
(8)詐欺・恐喝
  人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。
(9)賭博
 ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
 イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(10)麻薬・覚せい剤等の所持又は使用
  麻薬・覚せい剤等を所持又は使用した職員は、免職とする。
(11)酩酊による祖野な言動等
  酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(12)淫行
  18撒未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。
(13)痴漢行為
  公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。

4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
(1)飲酒運転
 ア 酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職とする。
 イ 酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。
 ウ 飲酒運転をした職員に対レ車両若しくは酒類を提供レ若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。
(2)飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)
 ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場今において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
 イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(3)飲酒運転以外の交通法規違反
  著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場今において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(注)処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。

5 監督責任関係
(1)指導監督不適正
  部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監優に適正を久いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2)非行の隠ぺい、黙認
  部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。

【資料7】
上記の標準例一覧(略)

【資料8】
○職員の懲戒の手続及び効果に関する条例 平成18年3月18日安中市条例第31号 (略)

【資料9】
○安中市職員懲戒等審査委員会規則 平成18年3月18日安中市規則第29号 (略)

【資料10】
○職員の分限に関する手続及び効果に関する条例 平成18年3月18日安中市条例第28号 (略)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

多胡運輸を取り巻くバリヤー…金融機関編

2008-11-24 15:57:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■平成20年8月3日に発生した首都高タンクローリー横転炎上事故で、脅威の突貫工事で全面復旧を果たした10月14日に、首都高速道路会社が行なった記者会見で、タンクローリーの所有会社の多胡運輸に最大45億円余りを請求する考えが示されました。

一方、年間売上げ2億円前後の片田舎の多胡運輸が、会社の存亡をかけて、首都高からの莫大な請求から何とか逃れるために、弁護士を起用して応訴するのかどうかは当事者でないとわかりませんが、常識的にみて、タンクローリー6台を含む46台のトラックしか持たない運送会社が、これほど膨大な賠償金を払えるとは到底思えません。ところが、多胡運輸は一見、何事もなかったように業務を行なっているのです。この背景の一つに、取引銀行によるバックアップが挙げられます。

なぜなら、通常であれば、首都高から45億円余もの損害賠償請求が行われる事態が予想される時点で、貸付金の回収に走るのが、通常の金融機関の対応だからです。或いは結果として、首都高が高額の賠償を求めないと決めたとしても、それまでに、この噂をもとに、多胡運輸の債権者が債権回収に走ったり、新規融資や支払猶予が無くなったりして、経営が行き詰まり倒産の危機に陥ることになるからです。となると、多胡運輸の取引銀行は、よほど多胡運輸の信用力を買っているようです。あるいは、やぶれかぶれで、多胡運輸を支えなければならない事情を抱えているのかもしれません。 

**********
【多胡運輸株式会社】
設立:平成4年11月
資本金:12,000(千円)
代表者:多胡茂美(タゴ シゲミ)(男)
生年月日:昭和30年6月9日
役員:(取)多胡ヨウ子
営業種目:一般貨物自動車運送(100%)
大株主:多胡茂美、多胡ヨウ子
取引銀行:しののめ信金(六郷)
仕入先:関東いすゞ自動車、赤尾商事
販売先:北部運送、赤尾商事
**********

このことから、多胡運輸の取引銀行は、しののめ信金であることがわかります。

■しののめ信用金庫は、2007年11月28日に、かんら信用金庫・多野信用金庫・ぐんま信用金庫が合併し、「しののめ信用金庫」としてスタートしたものです。その前身のかんら信用金庫は、その昔、甘楽郡信用金庫と呼ばれていました。しののめ信用金庫の概要は次のとおりです。

**********
【しののめ信用金庫】(平成20年3月末時点)
金融機関コード番号: 1211
電話番号: 0274-62-3146
郵便番号:370-2316
本店所在地: 群馬県富岡市富岡1123
理事長: 横山昇一
役職負数: 995
会員数: 68,431
店舗数: 66
ホームページアドレス: http://www.shinonome-shinkin.jp/
沿革:
 大正14年 6月 責任富岡信用組合設立
 昭和20年 4月 富岡信用組合に改組
 昭和26年10月 甘楽郡信用金庫に改組
 平成 6年 4月 かんら信用金庫に名称変更
 平成19年11月 多野信金、ぐんま信金と合併し、名称をしののめ信用金庫に変更
事業地区:
 群馬県: 富岡市、前橋市、高崎市、藤岡市、安中市、伊勢崎市、桐生市、太田市(旧新田郡尾島町を除く)、みどり市、渋川市(旧北群馬郡子持村・小野上村・勢多郡赤城村を除く)、甘楽郡、多野郡、北群馬郡、佐波郡、勢多郡
 長野県: 佐久市、北佐久郡軽井沢町
 埼玉県: 本庄市、熊谷市(旧大里郡妻沼町・大里町・江南町を除く)、深谷市(旧大里郡川本町・花園町を除く)、秩父市のうち旧秩父郡吉田町、児玉郡
備考: 平成19年11月26日かんら信金、多野信金、ぐんま信金が合併し、しののめ信金となる
主要勘定の状況:18年3月末/19年3月末/20年3月末
 有価証券 99,954/99,763/252,1548(百万円)
 貸出金 144,184/147,223/389,312(百万円)
 総資産 300,219/308,119/833,980(百万円)
 預金 275,769/282,485/806,541(百万円)
 純資産 21,061/22,520/19,494(百万円)
 出資金 627/629/10,005(百万円)
中小企業向け貸出:18年3月末/19年3月末/20年3月末
 貸出金残高 133,709/139,263/357,210(百万円)
 貸出先件数 12,656/12,386/36,401(件)
損益の状況: 業務純益/経常利益/当期純利益
 18年3月末 1,455/1,254/821(百万円)
 19年3月末 774/970/764(百万円)
 20年3月末 1,278/▲4,267/▲5,312(百万円)
諸比率(%): 預貸率/ROA/自己資本比率
 18年3月末 52.28/0.48/13.52
 19年3月末 52.11/0.25/16.12
 20年3月末 48.26/0.15/6.27
金融再生法開示債権及びその保全状況:不良債権合計(A)/破産構成債権及びこれらに準ずる債権+危険債権+要管理債権/正常債権(B)/合計(A+B)=(C)/(A)÷(C)
 18年3月末 6,759/2,054+3,653+1,052/138,064/144,824/4.67
  (保全額) (5,844)/(2,054)+(3,410)+(379)
 19年3月末 6,592/1,729+4,473+389/142,048/148,641/4.43
  (保全額) (6,077)/(1,729)+(4,178)+(170)
 20年3月末 38,797/13,026+21,393+4,377/354,267/393,065/9.87
  (保全額) (35,236)/(13,026)+(20,198)+(2,010)
出資金: 5,481百万円(平成20年9月末現在。以下同様)
会員数: 68.420人
預金量: 817,402百万円
融資量: 399,675百万円
役職員数: 993人
**********

こうしてみると、預金量5兆円以上、貸出金3兆6千億円の群馬銀行に比べると、合併後も規模的には7分の1~10分の1程度ですが、群馬県西南部の地元金融機関として、かんら信金(現・しののめ信金)も安中土地開発公社51億円に関与していたのです。ただし、群馬銀行と異なり、安中市の指定金融機関であっても、メーンバンクではありません。しかし、かんら信金は、特別な人脈を通じて、タゴ邦夫と密接な関係を持っていたことが、事件発覚後、2年ほど経過して判明したのです。今回は、事件発覚直後にローン返済を受けていた信用金庫とタゴとの不可解な関係について分析してみます。

■当会の11月10日のブログで、群馬銀行がタゴのゴルフ会員権(ベルエア・カントリークラブ)1300万円の購入資金として500万円を8年ローンで融資し、公社事件発覚により265万円を取りはぐれていることについて報告しました。群銀はこの他に、タゴの配偶者に喫茶店(チャリンコ)経営資金として95万円を貸し出していましたがこのカネも返済されたのかどうかは定かでありません。

タゴは、その使い道に迷うほど巨額のカネを手に入れていたのに、なぜこんな少額(?)のローンにこだわったのでしょうか。それは金融機関側からの勧誘サービスばかりでなく、ローンで税務署の目をくらますためとも考えられます。そして何よりも金融機関に対し、公社の仕事を通じて顔を売った上に、個人客として預金及び借入を通じて関係を持ち、金融機関を万全にコントロールしようとしたと考えられます。

**********
【タゴと親族の預貯金一覧表】(平成7年6月当時)
No./金融機関名/名義/預金種別/口座番号/開設日/解約(予定)日/残高
1/群馬銀行安中支店/タゴ本人/普通/0082573/-/-/1,718,466円
2/群馬銀行安中支店/タゴ本人/定期/0372806/H3-06-12/-/8,654,115円
3/群馬銀行安中支店/タゴ本人/定期/0368522/-/-/39,945,895円
4/群馬銀行安中支店/配偶者/普通/0450335/-/-/641,989円
5/群馬銀行安中支店/配偶者/普通/0522654/H3-03-27/-/2,342,919円
6/群馬銀行安中支店/配偶者/定期/0372197/H3-03-18/-/1,887,247円
7/群馬銀行安中支店/配偶者/定期/0376396/H5-11-17/-/506,800円
8/群馬銀行安中支店/長男/普通/0287671/-/-/308,128円
9/群馬銀行安中支店/長男/定期/0376077/H5-07-26/-/7,095,652円
10/群馬銀行安中支店/次男/普通/0397795/-/-/267,658円
11/群馬銀行安中支店/次男/定期/0376078/H5-07-26/-/5,476,004円
  (以上、群馬銀行合計 6884万4873円)
12/東和銀行安中支店/タゴ本人/定期/1243593/H3-07-26/-/120,000円
13/東和銀行安中支店/配偶者/当座/1214658/S59-02-24/-/25,195円
14/東和銀行安中支店/子/普通/276556-00/H2-01-22/-/448,251円
  (以上、東和銀行合計 66万2319円)
15/かんら信金安中支店/タゴ本人/普通/0044411/-/-/614,654円
16/かんら信金安中支店/タゴ本人/定期/S0366485/H3-12-11/H9-12-11/1,367,272円
17/かんら信金安中支店/タゴ本人/定積/0274703/H6-05-24/H7-05-24/242,640円
18/かんら信金安中支店/タゴ本人/定積/290585/H7-05-19/H8-05-19/20,000円
19/かんら信金安中支店/子/定積/0149798/H5-09-02/-/70,177円
20/かんら信金安中支店/タゴ本人/定積/1338304/H6-06-21/H7-05-31/2,026,488円
21/かんら信金安中支店/配偶者/定積/0642001/(継続)H6-05-26/H8-05-26/7,923,275円
  (以上、かんら信金合計 1226万4506円)
※なお、この他に、タゴは共済組合に485万3417円、郵便局に2561万9789円を預貯金していました。以上を総合計すると預貯金合計金額は1億1224万4961円となります。
**********

ご覧のとおり、上記の一覧表には、なぜかタゴの母親と実弟の預貯金情報が含まれていません。このことについて、のちほど解説します。

■タゴの配偶者は、東和銀行にローンがありました。喫茶店チャリンコの建設資金の名目で借入れたものです。配偶者の供述によれば、この借入についてはすべて夫のタゴが全部手続から金の支払いまでやってくれたということです。

配偶者名義で、昭和62年12月18日に711平米の土地を宅地(喫茶店予定地)として、市内A氏から購入し、同12月4日の登記と同時に、極度額2500万円の根抵当権を大生相互銀行(現在の東和銀行)が設定したものです。翌年の昭和63年6月26日に木造、銅板葺き平屋建ての喫茶店が新築完成し、同7月27日に登記したため、これも極度額2500万円の追加担保として根抵当権を設定しています。

配偶者が、東和銀行に実際にいくら借りて、既に返済したかどうかは確認できていません。法務局で当時の土地登記簿をチェックする必要があります。事件発覚当時は、まだ根抵当権は抹消されていませんでした。

配偶者は東和銀行に当座預金口座を特っていました。喫茶店の売り上げなどは定期的に東和銀行の行員が回収に来ていたので、日ごろから取引関係がありました。

■タゴは、かんら信用金庫にもローンがありました。金銭消費貸借契約証書により、平成2年7月30日に木・鉄骨造り瓦葺き2階建ての居宅物置(1階42.50平米、2階46.36平米)の新築資金として800万円を借入れたものです。貸付期限は8年後の平成10年11月22日。毎月8万円ずつ100回に分けての返済です。

タゴはこの800万円を、かんら信金の自分の口座から、馴染みの篠原工務店の口座宛てに平成2年8月2日に振込手続をしました。3ケ月後の同11月2日に家が新築されると、同11月6日にかんら信金は担保価値の調査をしました。その結果、新築価格を475万3000円と評価し、安全率70パーセントとして、1032万7000円を担保価値と査定。さっそく同日、抵当権設定の登記が行われました。

かんら信金への返済計画は次のとおりでした。

平成2年8月~12月  8万円×5ケ月=40万円
平成3年1月~12月  8万円×12ケ月=96万円
平成4年1月~12月  8万円×12ケ月=96万円
平成5年1月~12月  8万円×12ケ月=96万円
平成6年1月~12月  8万円×12ケ月=96万円
平成7年1月~12月  8万円×12ケ月=96万円
平成8年1月~12月  8万円×12ケ月=96万円
平成9年1月~12月  8万円×12ケ月=96万円
平成10年1月~11月  8万円×11ケ月=88万円

■毎月1千万円を遥かに超える横領をしていたタゴは、8万円ずつきちんと信金に返済していました。そして、運命の平成7年5月18日。タゴは事件の発覚を知らされると、早速手持ちの巨額のカネを動かすことを考えたに違いありません。

しかし、事件に直接関係する金融機関として群馬銀行の名前が浮上することは確実であったことから、群馬銀行に自分や親族名義で預けてある預貯金を動かすのはまずいと考えたのでしよう。あるいは誰かに忠告されたのかもしれません。

事件発覚当時タゴは、かんら信金の800万円の他に、群銀にゴルフ会員権購入のための借入資金として500万円を借りていました(別途報告済み)。この他、前述のように配偶者名義でも借入金があります。

タゴは平成7年5月23日に、毎月8万円の内入分と1万3854円の利息分の返済を行いました。これは事件発覚後ですが、毎月返済分ですから自動的に口座から引き落とされたものです。

■問題はこのあとです。タゴは同年5月31日にかんら信金のローンの残金336万円全額を一括返済しているのです。

なぜこの様なことが可能だったのでしょうか?群馬銀行と比べるとかんら信金の債権回収能力が優れていたようです。迅速にしかも強力に債権回収措置がとられた背景には何か訳があるに違いありません。

平成7年5月31日。その日、タゴは定期預金190万円を解約しています。同時に定期積立預金201万3638円も解約しています。合計すると391万3638万円。これらは、かんら信金の自分の普通預金口座にそれぞれ190万1849円と201万4648円の合計391万6533円として入金されました。そして驚くべきことに、かんら信金のローン残高336万円と利息3608円がそっくりその日のうちに信金に返済されたのです。

■こうした一連の手続はすべて平成7年5月31日に行われていました。この日付は、タゴが小川勝寿市長(当時)から懲戒免職を言い渡された日です。懲戒免職の言渡しは同日の午後3時半以降でしたから、タゴは当然その直前に、市役所前にあるかんら信金を訪れて前記の手続をしていたとしか考えられません。

公社事件発覚により、気が動転して自殺を図ったり、軽井沢方面に逃避行したりしていたはずのタゴにしては、ずいぶん沈着冷静な行動をとったものです。こんなことが、本当に有りうるのでしょうか。

一方、かんら信金も、突然タゴが「残高を返済したい」と申し出てきて、驚いたに違いありません。タゴも供述しているように、通常、金融機関は一旦ローンを組んだら、なかなか変更に応じません。「繰上げ返済したい」などと言うものなら、あれこれ理由をつけて、「当初の返済計画を守っていただきたい」などと時間稼ぎをして客の気が変わるのを待ちます。ところが、かんら信金は、なぜか突然のタゴの申出をすぐに承諾したのでした。

あるいは見方を変えると、外出するのもはばかられたタゴに対して、かんら信金の方から担当者が出向き、上記のような手続を出張サービスでやった、ということも考えられます。そんな事実が、ひょっとして有ったとしたら重大です。

■先にも触れましたが、群馬銀行が500万円のローンのうち元金265万円を取りはぐれたのに対し、かんら信金は800万円のローン残高336万円をきちんと回収しています。繰り返しますが、この日はタゴが懲戒免職になる直前の劇的な瞬間です。タゴはなぜかんら信金に対して「超」優先的に債務履行を果たそうとしたのでしょうか。そして、かんら信金は、なぜタゴの突然の残金一括返済の申入れを不思議に思わず、結果的に債権回収を果たせたのでしょうか。

事件発覚からまもなく、かんら信金は捜査当局からタゴとの取引き実態についての報告を求められました。かんら信金が当局に提出した報告書には最後にわざわざ「尚、貸付金取引きについてはありません」と付け加えられています。確かに、その時点では既に返済されていたのですから、この記述内容にウソはありません。しかし、貸付金取引きの経緯は実際にあったのです。捜査当局は当然、タゴとかんら信金との関係も調べたに違いありません。しかし、結局、起訴されたのはタゴただひとりに終わりました。

■土壇場のローン返済により、かんら信金によるタゴの居宅の800万円の抵当権は平成8年2月に抹消されました。かんら信金は、タゴ事件の被害から免れた格好になりました。平成7年5月18日に安中市土地開発公社内部で事件が発覚した後、市民が前代未聞の事件発生を知るところとなった6月3日までの16日間に、タゴやその関係者がいかに冷静に行動し得たか…、これはほんの一例です。

市民の間で、タゴ事件の使途不明金や隠しカネについて、根強く真相解明の欲求が存在し続けるのは、こうした金融機関の不透明な経緯に疑問があるからです。安中市役所の平職員のタゴが、かくも自由自在に金融機関からローンを引き出し、なぜ返済も容易に行ない得たのでしょうか。しかも税務署から捕捉もされずに・・・。

ローンを背負い、日々を四苦八苦して送っている庶民にとっては、なんとも夢のようなうらやましい話です。しかも事実上、タゴのローンのツケ払いは、現在庶民である安中市民が肩代わりさせられているのです。それも103年にわたって…。この理不尽を黙って見過ごしていたら、後世の笑い者にされかねません。徹底した事件の調査、分析が欠かせない理由はここにあるのです。

■こうして、タゴ一族のローンでは、なぜかかんら信金だけが特別扱いされた経緯があるため、当会は、かんら信金とタゴとの間に特別な関係があったのではないか、と考えてきました。今回、タゴ一族のうち、タゴの母親と実弟が経営している多胡運輸の取引金融機関がしののめ信金(旧・かんら信金)であることを知り、当会は腑に落ちました。同信金とタゴ一族との間に、依然として特別な関係が存在していることを確信した次第です。

タゴ一族のうち、タゴ本人と配偶者、それに子供二人名義の預金状況は、遅ればせながら警察が捜査しました。しかし不思議なことに、多胡運輸の取締役である実母や社長である実弟の預金状況については、警察の捜査記録には見当たりません。

■今回、首都高で炎上事故を起こし、巨額の損害賠償を請求されようとしているにもかかわらず、多胡運輸は、普段と変わりなく業務を継続しているように見えます。通常であれば、取引銀行が資金の回収に走るはずですが、その気配もありません。かんら信金は、1年前の昨年11月26日に、他2信金と合併して「しののめ」と改称しましたが、不良債権額が急激に増大してます。預貸率、ROA、自己資本比率も軒並み急落しています。本当にこのような厳しい財務諸表と、経済状況下で多胡運輸を支え続けていくというのは、まことに不可思議です。常識的にはありえません。

しかし、多胡運輸の取引銀行が、しののめ信金だからこそ、多胡運輸の事情がどうあれ、しののめ信金の懐具合がどうあれ、多胡一族を支え続けなければならない理由があるのでしょう。

タゴ一族とかんら信金(現・しののめ信金)との特別な関係について、さらに検討を加えます。

【ひらく会情報部・特別調査班】


写真上:富岡市にあるしののめ信金本社。


写真上:メーンバンクのしののめ信金に支えられ、一見何事もなかったかのような多胡運輸駐車場

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自民党安中市支部、岡田市長・岩井県議の政治資金に異変?

2008-11-23 18:27:00 | 政治とカネ
■群馬県選挙管理員会では、毎年10月に前年の政治資金報告をまとめています。当会は平成7年から毎年、県庁の選挙管理委員会を訪れて、地元選出政治家の政治団体の政治資金収支報告書を閲覧しており、先日、平成19年の収支報告を閲覧したので報告します。

なお、平成18年以前の岡田市長の政治団体の収支報告は当会の今年1月28日のブログ記事「カテゴリー:政治関係者」「政治はカネなり…岡田市長の錬金術の光と影」を参照下さい。

■岡田市長の政治団体の平成19年収支報告は次のとおりです。この年は岡田市長の2期目の年でした。<>内は前年度の数字です。

**********
【自民党群馬県安中市第一支部】
政治団体の名称:自由民主党群馬県安中市第一支部
政治団体の区分:政党の支部
代表者の氏名:岡田義弘
会計責任者の氏名:岡田伸子
主たる事務所の所在地:安中市安中4272 電話;027(382)2061
設立年:平成12年

収入総額 37,059,200 <42,652,430>
 前年からの繰越額 1.059.200 <852,430>
 本年の収入額 36,000,000 <41,800,000>
支出総額 31,962,760 <41,593,230>
翌年への繰越額 5,096,440 <1,059,200>

<収入項目別金額の内訳>
 個人の負担する党費又は会費 0 <0>
 個人からの寄附 6,000,000 <10,300,000>
  大橋稔(会社役員) 1,500,000 <1,500,000>
  大橋龍太(会社役員) 1,500,000 <1,500,000>
  真下正美(医師) 1,500,000 <1,500,000>
  兼松正子(横浜市) 1,500,000 <1,500,000>
(※なお、前年度の寄付者、樋口聡(会社役員)150万円、木村正巳(千代田区)150万円、岡田強(農業)100万円、須藤宮子(会社役員)10万円、倉沢登志夫(会社役員)10万円、高村育也(会社役員)10万円はいずれも5万円以上の寄付者にはリストアップされていない)
 法人その他の団体からの寄附 30,000,000 <31,500,000>
  関東新聞販売㈱ 7,500,000 <7,500,000>
  北関東新聞販売㈱ 7,500,000 <7,500,000>
  関東折込㈱ 7,500,000 <7,500,000>
  ㈱昭和農芸 7,500,000 <7,500,000>
(※なお、前年度の寄附法人、東京新聞安中専売所100万円、群西商事㈱10万円、済恵会須藤病院10万円、東邦亜鉛㈱30万円はいずれも5万円以上の寄附法人にはリストアップされていない)
 政治団体からの寄附0 <0>
収入額合計 36,000,000 <41,800,000>

<支出項目別金額の内訳>
 人件費 0 <0>
 光熱水費 391,010 <370,210>
 備品・消耗品費 642,700 <715,750>
 事務所費 719,050 <906,270>
 政治活動費(交際費) 30,210,000 <39,601,000>
  1件当たり5万円超え(領収書添付必要) 0 <0>
  1件当たり5万円以下(項目記載領収書添付不要) 30,210,000 <39,601,000>
 選挙関係費 0 <0>
 機関誌の発行その他の事業費 0 <0>
 調査研究費 0 <0>
 寄附・交付金 0 <0>
 その他の経費 0 <0>
支出額合計 31,962,760 <41,593,230>

************
【岡田義弘後援会】
政治団体の名称:岡田義弘後援会
政治団体の区分:その他の政治団体(資金管理団体指定)
代表者の氏名:岡田義弘
会計責任者の氏名:岡田伸子
主たる事務所の所在地:安中市安中4272 電話;027(382)2061
設立年:不詳

収入総額 2,089,179 <3,187,345>
 前年からの繰越額 2,089,179 <268,345>
 本年の収入額 0 <2,919,000>
支出総額 787,925 <1,098,156>
翌年への繰越額 1,301,254 <2,089,179>

<収入項目別金額の内訳>
 個人の負担する党費又は会費 0 <0>
 個人からの寄附 0 <2,869,000>
(※なお、市長選が行なわれた前年度の寄付者、萩原きよ子(軽井沢町)50万円、萩原三七夫(上尾市)50万円、相原松義(横浜市)50万円、千木良由雄(榛東村)500,000万円、萩原妙子(軽井沢町)50万円、堀越幸子(藤岡市)30万円、岡田弘(足立区)3万円、岡田光司(那覇市)3万円、柄沢政夫(榛名町)3千円、柄沢晴雄(榛名町)3千円、加藤美佐子(榛名町)3,000千円はいずれも5万円以上の寄付者にはリストアップされていない。)
 法人その他の団体からの寄附 0 <0>
 政治団体からの寄附 0 <50,000>
収入額合計 787,925 <2,919,000>

<支出項目別金額の内訳>
 人件費 0 <0>
 光熱水費 0 <0>
 備品・消耗品費 0 <0>
 事務所費 0 <0>
 政治活動費(交際費・行事費) 210,000 <210.000>
  新年互礼会(富士屋菓子) 210,000 <210,000>
  交際費(全て1件5万円以下) 0 <0>
 選挙関係費 0 <0>
 機関誌の発行その他の事業費 577,925 <888,166>
  印刷費(若葉印刷)H19.1.11 344,925 <H18.1.11 156,292
           H19.7.23 233,000 <H18.4.2 327,000>
 調査研究費 0 <0>
 寄附・交付金 0 <0>
 その他の経費 0 <0>
支出額合計 787,925 <1,098,166>
************

以上のように、岡田義弘氏が代表を務める2つの政治団体「自由民主党群馬県安中市第一支部」と「岡田義弘後援会」を足し合わせた合計額の変動をみてみると
平成12年3970万円
平成13年4710万円
平成14年4776万円
平成15年5085.3万円
平成16年4750万円
平成17年4750円
平成18年4471.9万円
平成19年3600万円
となり、相変わらず県知事や高崎、前橋の市長はおろか代議士先生らも顔負けの集金力を見せつけていますが、前年度から800万円以上減らしました。

■この理由は、個人の寄附のうち、常連の関東新聞ファミリー、真下医院長、昭和農芸社長以外の寄付者が除外されたことです。常連だった東京新聞販売店主は、記者として記事を書いてきましたが、岡田市長の記事を書くと公平性に問題があるとして、東京新聞本社から寄附をやめるように言われた可能性があります。

また、法人の寄附も、常連の関東新聞グループ会社、昭和農芸以外の寄附法人が除外されています。常連或いはシンパの東京新聞安中専売所、須藤病院、東邦亜鉛等の法人の名前が見当たりません。(東京新聞は前記の理由と思われます。須藤病院は、同病院長が平成18年9月18日から自由民主党安中支部の代表者になったため、利害関係者として寄附が出来なくなったものとみられます)

■これまで選挙のプロとして、ハイレベルの政治資金収集力を誇った岡田義弘氏は、今や市長として市役所を掌握し、やりたい放題ですが、そのカネ集めの手腕に陰りが出てきたのでしょうか。

いや、そうではありません。市長に就任後、交際費が毎月60万円まで使えるため、得意の法要に際して支出する香典や、市民の諸団体への会合出席への祝い金などを、どうどうと市長交際費で賄えるようになったため、余り過大な政治資金を集めても、使い方に困るようになったからです。

■自由民主党安中市第二支部の代表者である岩井県議の収支報告をみると、こうした政治情勢の変化により、カネの動きに影響が現れていることが分かります。

岩井県議の政治団体の平成19年収支報告は次のとおりです。この年は4月に県議選がありました。<  >内は前年度の数字です。

**********
【自民党群馬県安中市第二支部】
政治団体の名称:自由民主党群馬県安中市第一支部
政治団体の区分:政党の支部
代表者の氏名:岩井 均
会計責任者の氏名:田中 清
主たる事務所の所在地:安中市松井田町高梨子864-1 電話:027(393)2338
設立年:平成18年

収入総額 2,233,640 <298,1400>
 前年からの繰越額 298,140 <109,840>
 本年の収入額 1,935,500 <188,500>
支出総額 363,769 <0>
翌年への繰越額 1,869,871 <298,140>

<収入項目別金額の内訳>
 個人の負担する党費又は会費 0 <0>
 個人からの寄附 <0> <0>
 法人その他の団体からの寄附 700,000 <0>
  太陽コンクリート工業㈱(代表者・富沢好隆、高さ意思下豊岡町519-2)200,000
  ㈱金沢化成(代表者・金沢末信、松井田町二軒在家1007-5)200,000
  東邦亜鉛㈱安中製錬所(代表者・武田松夫、安中市中宿1443)300,000
 政治団体からの寄附450,000 <0>
  碓氷安中医師連盟(代表・茂木正毅、安中市安中1-1-20) 50,000
  群馬県医師連盟(代表・鶴谷嘉武、前橋市元総社町1-7-4)200,000
  碓氷安中市市連盟(代表・茂木正毅、安中市安中1-1-20) 100,000
  群馬県興農政治連盟(代表・奥木功男、前橋市亀里町1310) 100,000
 本部・支部から供与された交付金785,500 <188,500>
  自由民主党群馬県支部連合会100,000
  自由民主党群馬県支部連合会300,000
  自由民主党碓氷支部185,500 <188,500>
  自由民主党群馬県支部連合会100,000
  自由民主党群馬県参議院選挙区第三支部100,000
収入額合計 1,935,500 <188,500>

<支出項目別金額の内訳>
 人件費 0 <0>
 光熱水費 0 <0>
 備品・消耗品費 0 <0>
 事務所費 0 <0>
 政治活動費(交際費) 0 <0>
 選挙関係費(選挙対策費、1件当たり5万円未満の支出) 30,000 <0>
 機関誌の発行その他の事業費 233,769 <0>
  機関紙誌の発行事業費(印刷費、朝日印刷工業㈱、前橋市元総社町67)153,769 <0>
  宣伝事業費(遊説費、1件当たり5万円未満の支出)80,000 <0>
 調査研究費 0 <0>
 寄附・交付金(自由民主党安中支部、安中市安中3-25-13) 100,000 <0>
 その他の経費 0 <0>
支出額合計 353,769 <188,500>

************
【岩井均後援会】
政治団体の名称:岩井均後援会
政治団体の区分:その他の政治団体(資金管理団体指定)
代表者の氏名:岩井均
会計責任者の氏名:藤巻軍司
主たる事務所の所在地:安中市松井田町高梨子866 電話:027(393)2338
設立年:不詳

収入総額 97,950 <580,800>
 前年からの繰越額 37,950 <50,800>
 本年の収入額 60,000 <530,0000>
支出総額 787,925 <542,850>
翌年への繰越額 97,950 <37,950>

<収入項目別金額の内訳>
 個人の負担する党費又は会費 0 <0>
 個人からの寄附(1件当たり5万円以下の寄附) 60,000 <530,000 内訳:岩井均350,000、1件当たり5万円以下の寄附180,000>
 法人その他の団体からの寄附 0 <0>
 政治団体からの寄附 0 <50,000>
収入額合計60,000 <530,000>

<支出項目別金額の内訳>
 人件費 0 <0>
 光熱水費 0 <0>
 備品・消耗品費 0 <0>
 事務所費 0 <0>
 政治活動費(交際費・行事費) 0 <0>
 選挙関係費 0 <0>
 機関誌の発行その他の事業費 577,925 <542,850、印刷費:碓氷印刷278,250+264,600>
 調査研究費 0 <0>
 寄附・交付金 0 <0>
 その他の経費 0 <0>
支出額合計 0 <642,850>

************
【青松会】
政治団体の名称:青松(せいしょう)会
政治団体の区分:その他の政治団体(資金管理団体を含む)
代表者の氏名:岩井均
会計責任者の氏名:中島厚志
主たる事務所の所在地:安中市松井田町高梨子866 電話:027(393)2338
設立年:不詳

収入総額 0 <0>
 前年からの繰越額 0 <0>
 本年の収入額 0 <0>
支出総額 0 <0>
翌年への繰越額 0 <0>
***********

以上のように、岩井均氏が代表を務める3つの政治団体「自由民主党群馬県安中市第二支部」(平成17年までは自由民主党群馬県碓氷第一支部)と「岩井均後援会」と「松青会」(平成14年以降収支皆無)を足し合わせた合計額の変動をみてみると
平成14年110万円
平成15年45万円
平成16年53万円
平成17年56円
平成18年72万円
平成19年 200万円

■昨年は県議選があったため、政治団体からの寄附が、岩井県議が代表者を勤める安中第二支部にありました。平成15年4月の県議選のときは、群馬県興農政治連盟(農協が毎年夏になると組合員から500円ずつ集める農政カンパと称するカネが政治資金の原資)10万円、群馬県医師連盟20万円、碓氷安中医師会連盟10万円、合計40万円が、岡田市長(当時県議)が代表者の安中第一支部に寄附されましたが、今度は、安中第二支部に寄附された形になっています。東邦亜鉛安中精錬所が県議選前の3月28日に30万円を寄附していますが、金額からして本来はこれは、「お世話になっている岡田センセイへのお礼」ということでしょうが、潤沢な収入を誇る岡田市長は、県議選でいろいろ出費が嵩む岩井県議に回したものと思われます。

■岩井県議は、岡田市長と同じく中曽根系の政治家ですが、政治資金の獲得力とその方法には、雲泥の差があります。これまで、自民党碓氷第一支部の代表者だった岩井県議は、平成14年10月12日に支援者をバスで県庁視察に連れて行き13万6千円ほど支出して以降、平成18年末まで政党支部の立場では殆ど支出をせず、もっぱら自身の後援会に対して、自腹で毎年30万円から90万円を寄附して、活動資金にしてきました。

■昨年の県議選で、岡田市長の後継者となるはずの、やはり中曽根系の早川正雄候補が、新人の女性候補に敗れて、自民党の2名独占体制が崩れたため、岩井県議が代表を務める安中市第二支部には、選挙のない年でも今後は岡田市長の金脈から資金があらたに補充されてゆくのかどうか、現在は岡田市長の僅か数十分の一に過ぎない岩井県議の政治資金ですが今後岡田市長のレベルにどのくらい迫れるのかどうか、いろいろな面で注目されます。

【ひらく会情報部】


写真上:代議士でもこんな立派な事務所は持てないと言われる岡田義弘後援会所有の「牧草小屋」(1994年ごろ竣工)。こうすれば農地(水田)に選挙事務所を建てられるという手本例。「牧草小屋」として建築確認申請したが、中には空調、電気、ガス、水道が完備している。しかも土地登記簿には未登記。県議時代は久しく資産公開台帳に登録していなかったが、市長になってから突然記載したいわく付の建物。土地は実兄(故人)の息子名義だが、岡田市長のパトロンの一つの土建会社の大手組が、野殿ヒヤ坂の市道拡張工事で、大量に出た高濃度のカドミウムを含む工事残土を「タバコ銭程度」で搬入、埋土、転圧して造成したため、隣接の田んぼでは玄米中のカドミウム濃度が0.7PPMもあり稲の作付が出来ない状態だが、安中市も群馬県も岡田市長に遠慮して、知らんぷり。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

法廷で演説をぶちたがる岡田市長の習性と51億円事件の控訴裁判

2008-11-18 01:59:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■岡田市長が、平成20年11月13日に、未来塾が提起した平成20年(ワ)第492号損害賠償等請求事件の第1回口頭弁論に安中市の代表者として、弁護士や市職員らをひとりも連れずに法廷に乗り込んで自説をぶちあげ、傍聴した市民はもとより、裁判官まで唖然とさせられたことは報告済みです。

でも、これは今回は初めてではありません。当会では、岡田市長が、安中市議会議員時代に、安中市土地開発公社の役員を2期に亘って就任した期間に、既に元職員の多胡邦夫が横領をしていたにもかかわらず、それを見抜けなかったばかりか、むしろ多胡邦夫と非常に深い関係を築いていたことは、刑事事件の資料から知ることが出来ました。しかし、岡田市長は、51億円事件のことについて全く語ろうとしないばかりか、「二度とこのような不祥事は起こしません」と反省をした公社の他の役員や職員らを尻目に、あろうことか、住民訴訟を提起した当会に対して、敗訴判決を出すように裁判所に圧力を掛けました。

前橋地方裁判所の裁判官も、岡田市長(当時群馬県議)の政治的圧力に屈し、当会はもとより、当会が起用していた弁護士も知らないうちに、突然、住民敗訴判決を出しました。

当会はさっそく岡田義弘氏(当時群馬県議)を相手取り、東京高裁に控訴しました。そして、平成11年9月10日に第1回口頭弁論の日を迎えたのです。その時の裁判の様子を報告します。

■巨額公金流失追及住民訴訟事件(前橋地裁平成11年(行ウ)第2号)は、群馬銀行と安中市が歴史的な「百年ローン」で和解を締結してから58日目の平成11年2月5日に、住民監査請求を安中市監査委員に提出して、同年2月16日に「不受理」とされたため、同年3月12日に提訴した事件です。初公判は同年5月19日に開かれました。

第2回公判は同年7月14日に行なわれ、以降、第3回公判が9月1日、第4回公判が10月20日、第5回公判は同年12月8日に、第6回公判は2000年2月9日に聞かれました。

第7回公判は同年3月17日に開催予定でしたが、5月31日に延期になり、その後、7月19日に再度延期となりましたが、裁判所から取下げの話が原告被告双方に持ち掛けられ、公社側も、再発防止に全力を尽すから、ということで、取下げの方向で手続が進められてきました。その結果、2001年5月7日に取下げ手続が原告と公社との間で行なわれましたが、公社元役員の岡田義弘氏が、ただひとり取下げに応じない事が判りました。

そのため、再度、立証活動からスタートするのかと思っていたところ、2001年6月20日に突然、前橋地裁が判決を下しました。判決は、原告住民の訴え棄却、即ち原告敗訴。原告住民に判決日なども聞かされておらず、全く寝耳に水の判決でした。

そこで、急速、岡田義弘氏を相手取り、東京高裁に控訴することになり、2001年7月4日に控訴状を前橋地裁経由で提出。その後、控訴理由書を8月14日に送達し、9月10日の第1回口頭弁論を迎えたのです。控訴理由書は本項の最後に掲載してあります。

■巨額公金流出追及住民訴訟控訴審(平成13年(行コ)第161号)の開催された2001年9月10日。台風15号が東海沖に接近というニュースを聞きながら、ひらく会のメンバーで構成される住民原告団4名(1名は都合で不参加)は、風雨の中、安中市民センターの駐車場に朝8時半に集合し、乗り合わせて、高崎駅に向かいました。9時出発のアーバン号で上野に向かい、それから山手線に乗り換え、11時半頃有楽町で下車しました。

昼食後、地下鉄有楽町線に乗り換え、一駅目の桜田門で下車。東京高等裁判所は、そこから歩いて5分ほどで到着しました。8階の822号法廷の向かい側にある一般待合室には、12時半に到着。1時半の開廷を待ちました。

12時50分頃、被控訴人岡田義弘氏が緊張した面持ちで待合室に現れました。ベンチに座るとしきりに、メモを見ていました。おそらく、事前に弁護士が書いたコメントに目を通して復唱しているに違いありません。一通りメモに目を通すと、せわしなくあたりに視線を走らせていました。

■午後1時になったので、822号法廷に移動しました。午後1時から1件、午後1時15分から3件、そして私たちの裁判は午後1時半からです。

法廷の中に入り、原告団4名の氏名を出席確認票に記入。少し遅れて岡田義弘氏も法廷に入ってきました。他の裁判の関係者も含めて、10人ほどが傍聴席に座りました。午後1時10分、書記官や筆記管が現れ、まもなく裁判官3名が入廷してきました。中央に江見弘武裁判長、右に小島浩裁判官、左に岩田真裁判官が着席。篠山裕一裁判所書記官が前に座りました。

私たちの裁判に先立つ4件の裁判は、1件が当事者の出頭がないためキヤンセルとなり、他の3件はいずれも訴訟代理人同士のやり取りの為、裁判官を含め非常に和気藹々で、スムースに進められました。

私たちの直前の案件は、アケボノゴルフと宇都宮金庫との間の訴訟で、そのやり取りの最中に、岡田義弘氏が傍聴席の右側最前列におずおずと歩み出て、裁判所の女性秘書に、なにやら書類を渡していました。「上申書云々」といっていたので、今回の裁判の答弁書や上申書をこの日に持参して、高裁に渡そうとしているようです。秘書に、「控訴人の分もありますか」と聞かれた岡田氏は「はい、二部用意してきました」と見せましたが、秘書に「被控訴人は5人居ますので人数分が必要です」と言われ、「えっ、そんなに作っていません」と岡田義弘氏。秘書は困った顔をしながらも、しょうがないという感じで岡田氏から書類を預かり、法廷の中に居る書記官の机のところに持っていきました。書記官は裁判中の案件に掛かりきりで、岡田氏の書類は机の端に置かれたまま
でした。

栃木県の事件の裁判は結審したらしく、10月17日に判決が出ることになりました。裁判官らが1、2分ほど自分の書類の整理をした後、いよいよ当会の番になりました。時間は1時40分近くになりました。

■控訴人と被控訴人が席につくと、裁判長は傍聴席に座っていたその他の原告団メンバーにも声をかけ、控訴人の席につくよう促しました。イスは三つしかなかったため、裁判所で急濾一つ追加のイスを持ってきました。

裁判長は書類を見ながら、当事者両者に対して、自分自身につぶやく感じで、「一審では双方とも代理人を使っていたんだ’ね」と言いました。

そして、原告である控訴人に向かって「この件は、損害について、弁護士報酬は市から出ていない、という公社の弁護士から書類が出ており、このことは知っているね」と確認を求めてきました。

当会は、裁判長が何のことを言っているのか分からず、「いいえ、知りません」といったところ、裁判長は「ここに来て見て欲しい」と促すので、裁判長の席の前に行くと、前橋地裁から送られてきた厚いファイルの中のページを見せられました。そこには、公社の田邊・菰田弁護士の二名が「安中市からは弁護士報酬を一切もらったことはない」という書類がファイルしてあり、昨年9月頃、見た覚えのある書類がありました。

「見た覚えはあります」と控訴人が答えると、裁判長は、そのはずだ、と言った感じで満足げに頷き、「これは弁護士が自分で言っていることだが、一応弁護士だから、ウソを言っているとも思えないので、証拠として、このように提出されているわけだ。もっとも、弁護士は公社からタンマリもらっているのだろうが…」と語ると、傍聴席から笑いが漏れました。

■これを受けて、控訴人から、次のような説明を行ないました。

「(彼ら弁護士は)ガッポリ1億円ほどもらっています。それまでオフィスを一階分しか持っていなかったのを、二階分に広げたくらいですから。しかし、この金は公社から出たもので、安中市は一切支払っていない、というのは、確かに金には番号はついているが、その金の出所を特定することはできない。しかし、公社は自力でそのような金を工面することはできない。公拡法で定められているように営利団体ではなく、安中市の債務保証、つまり連帯保証無くしては事業が出来ない仕組みになっている。銀行との民事和解で背負った百年ローンという異常な返済が既に始まっているが、これも安中市が公社に債務保証を出しているから、銀行は公社から103年もの長期間の返済に同意したわけで、その原資も、安中市が公社に事務費という形で、毎年5%を負担しているためだ。従って、弁護士に支払ったとされる1億円にしても、公社が払ったから市には損害がない、ということにはならない」。

■控訴人はさらに、「第一審では、1500万円という損害に絞ったが、それは私たちが証拠を集めようとしても一般市民なので限界があるから、その他の損害について証拠を示すことが出来ないと判断した結果、やむを得ないと判断して1500万円とした。裁判長は弁護士費用を取上げているが、その他にも、民事裁判を維持する為に必要な人件費や通信費、事務費などはあきらかに追加コストとして、その分正常な業務が妨げられたわけだから、安中市としては損失と考えられる。その点も主張したが、裁判長はどう考えるのか」と述べました。

裁判長は「その点については、争点として取上げるのは困難だと思う。日常業務と特別業務をどう仕分けるのか、困難だからだ」と言いました。

■控訴人は、「この件は、総額51億円にものぼり、警察が捜査した結果でも14億円以上が使途不明金として行方がわからないとされる異常な事件だ。本来は、銀行と市・公社との間の民事裁判の裁判費用がどうこういった問題ではない。実際に銀行との民事裁判の結果、100年以上にわたり総額24億5000万円を支払うことになり、すでに2億5000万円と毎年2000万円ずつ昨年末時点で3回、合計3億1000万円支払っている。私たちは、このような巨額な公金が外に流れたことから、住民監査請求では、これらの流失した金の損害を対象に、監査委員に調査を依頼した。それが、提訴後、一審で争ううちに、前述のような証拠入手の壁に突き当たり、損害を絞った。しかし、事件の本質はこのように矯小化されたものではない」と裁判長に説明しました。

裁判長は、「裁判官は当事者から出された証拠を基に判断する。本件は、警察が調べても14億円あまりも使途が分からなかったくらいだから、証拠がなおさら必要だ。皆さんが調べたものを我々の前に示し、事実はこうなのだか、このように、それによって、私たちは法律に基いて判断する。今回は、一審で、弁護士費用について、当の弁護士から、報酬は市からもらっていない、また、市からは損害がない、と言ってきており、それ以上、争点を拡大することは控訴審ではできない仕組みになっている」と述べました。

■裁判長は、「もし控訴人が、裁判の争点を拡張するのであれば、もう一度住民監査請求からやり直すことを勧める。これだけの大きな事件だから、住民として怒りの気持ちは理解できる。だが、裁判は一定のルールの基で行なっているのだから、その範囲でしか、我々も審議することが出来ない。そこのところを分かって欲しい」と、市民の気持ちを汲みながら、噛んで含めるように、話しました。

控訴人から、「証拠を入手して提示せよと言われたが、私たちはこれまでも、事件の真相を解明する為にあらゆる努力を払ってきた。それにもかかわらず、情報公開で行政からこの事件に関する資料を入手しようと手続をすると、ことごとく壁につき当たった。控訴に当たって、既に証拠書類として、文書取寄せの申出書を提出してある。そこに証拠は全部ある。だが、私たち市民の立場では、それらの証拠は入手できない。裁判官の皆さんの持っている権限によりそれらの証拠を入手していただけば、証拠は自ずから提示できる。ぜひ、皆さんのもっている権限を行使してこれらの資料を法廷に提出してもらいたい」と再度、お願いしました。

■これに対して、裁判長は、「我々にそのような権限はない。当事者である市民の皆さんが資料を入手して証拠として提示することになっている。情報公開が進んできたとはいえ、そうした行政情報を皆さんのような一般市民が入手するに際して、大変な困難が付きまとうことは、あちこちで聞いて知っている。しかし、そこのところを、打破するよう努力をしてもらいたい」と、一般論を述べました。

さらに、裁判長は、「このような公金流出で市民が怒り、みなさんのように立ち上がる気持ちはよく分かる。昨今の世相でも、金銭を巡る役所や金融機関での不祥事は日常茶飯事になった。さっきの裁判でも、信用金庫の金を理事長が持ち逃げした件だし…。市民の皆さんの止むに止まれぬ気持ちは当然のことだ」と、控訴人に吐露しました。このあたりの話の進め方は、前橋地裁には見られないもので、高裁の裁判官の高等テクニックを感じました。

■控訴人は、「これまでやれるだけのことはやった。今回、一審では弁護士を起用した。裁判所が起用するよう勧めたからだ。そして、裁判所の勧めで取下げに応じた。ところが、突然敗訴になった。これほどまで努力をして、なぜ、このような状況になるのか分からない。日本は法治国家だと思っていたが、それなら、そのようにきちんと裁判が機能するように、ならなければならない」と訴えました。

裁判長は「一審で争った以外のことを二審で拡張して争うことは出来ない。一審で、証拠として提出されたものを審議した結果について、二審ではそれを再度審議するが、控訴人は、それ以外の者も拡張して争うつもりなのか?そうするのか?」と、控訴人の私たちに判断を求めてきました。

■控訴人から裁判長に、「二審ではあなた方は、矯小化されたままの争点でしか、判断しないと言うことですね?」と確認を求めました。裁判長は「その通りだ」と答えました。

また、控訴人から裁判長に「裁判で追加コストとなった安中市の人件費も、あなた方は、損害として認めないのですね?」と念押しをしました。裁判長は「その通りだ」と答えました。

裁判長は「このような理由と状況なので、我々が争点を一新から拡大して審理することが出来ない理由がお分かりいただけたと思う。たぶん、控訴人の皆さんにはお分かりいただけないかもしれないが、理由は今まで話したとおり。ということで、審理はこの場で終了し、10月10日に判決を出すが、それでよいか」と畳みかけてきました。

■即答を求められた控訴人は、迷いました。いままでのこうしたやり取りを通じて、裁判所は一審で争った以外のことは、二審では争えない、という裁判の基本ルールを盾に、門前払いをしようとする意志が極めて強いことを感じました。そのため、いたずらに審議を重ねても、時間と費用の無駄と考えざるを得ませんでした。

それでも、控訴人は、この事件の特殊性をさらに強調し、証拠入手については今後も努力したいこと、行政に対して、事件関連の資料の提出を市民の立場で今後もプッシュして行くが、それにはものすごいエネルギーを費やさなければならないこと、などを若干恨み言めいて、説明しました。

そうこうしているうちに、時間がどんどん経過して、2時10分を回りました。裁判長はしきりに時計を気にしだし、「次の公判も入っているので、この辺で、控訴人として、どうするのか、はっきり答えて欲しい。このまま争点を広げて争うつもりなら、それは裁判のルールで出来ない。次回公判で判決を出すが、それでよいか?」と詰め寄りました。

■いろいろな思いが頭を一瞬よぎりましたが、司直がこれ以上審理を認めないと言う以上、判決を先送りにしても意味が無いと判断。控訴人は「やむなし!」と回答せざるを得ませんでした。

裁判長の、ややほっとした声で「それでは判決は10月10日午前10時55分から、場所はここで。それから次回は判決を読上げるだけだから、皆さんはここに来る必要は強いて無い」という発言の後、一同一礼して、法廷を後にしました。時刻は2時15分を回っていました。

私たちの裁判スケジュールは当初から、午後1時半から2時まで時間が取られていました。裁判所のほうも、市民に説明するには30分くらい時間がかかると予め予想していたようです。こうして、期待を込めて、出廷した高裁での控訴審第一回口頭弁論でしたが、あっけなく門前払いに終りました。
■ところで、40分近い口頭弁論の過程で、被控訴人の岡田義弘氏も何度か発言しました。同氏の発言内容の趣旨を列挙すると、
①裁判長様に申し上げたい。原告は憶測に基いて訴訟を起こしている。順次具体的に発言させていただきたい。
②最初、原告は、(公社関係者)25名を提訴したわけだが、その後の原告の姿勢を見ていると、めた後ずさりをしている。
③そして地裁をして、和解を提起させた。23名と和解をしているがなぜ和解をするのか。
④裁判長様、本件では原告からは、憶測以外の証拠は何も提出されていないのは真に残念だ。
⑤前橋地裁で和解を賜ったが和解をするなら、私にもその証拠は弁護士を通じて原告から提示されなければならないが、証拠の提示は無かった。というわけで、和解には同意しかねる。
⑥(一審の)提訴の中で、1億3230万円が元の金額。これを一審の中で原告は後ずさりしている。原告は、もっと証拠を出して、市民や役員の者であっても証拠を出していただき、これについてもっと事実を明らかにしていただきたい。
⑦公社の利子補給については、事務費という形で、安中市は公社に支払える。
⑧原告は、控訴理由書の中で、元職員の長期配置について、私が役員の時に長期配置を改善しなかったと言っているが、どんな証拠があるのか。憶測でしか、ものをいえない原告の勝手な判断だ。

■岡田義弘氏はこのような趣旨のことを三度に分けて発言しました。裁判長は、個別の事項をしつこく質すように言う岡田氏の真意を諮りかね、「ああ、あなたは、当時市にいた方ね。まず前段として、争点について、一審を超えた範囲では審議できない、と控訴人に対して言っているのであり、あなたが言っているそうしたことは、その後の話になる。あなたは、一審の判決に満足しているのではないのか?控訴人の請求を裁判所が却下するのを望んでいるのではないのか?」とたずねると、岡田氏は事情がよく分からない風情ながらも「うん…」と頷いていました。

岡田氏はしきりに「裁判長サマ」を連発して、事前に弁護士あるいは法律に詳しい相談者からのアドバイスどおりに、前記のような内容について発言しました。しかし、裁判長ら裁判官は、くわしく二審のルールについて説明している内容とは無関係に発言しようとする岡田氏を失笑をこらえながら見ていました。

■それを見て感じたのは、岡田義弘氏が安中市土地開発公社の理事でありながら、なぜ、私たち市民から証拠が出ないという背景に思いをめぐらせることなく、証拠も無いのに憶測だと、公社弁護士が一審の裁判中繰り返してきた言葉しか、法廷で言えないのか、不思議に思ったことです。私たちの証拠不足を指摘するより、公社役員として、タゴとの関係についてきちんと説明し、巨額詐欺横領事件の内部でどのようなことがあったのか、公職者として市民に対して、なぜ関係証拠を積極的に開示させるよう公社側に働きかけようとしなかったのか、ということです。タゴとの関係が深すぎて、「めた」後ずさりしたのでしょうか。

今回の公判で、岡田氏が、弁護士を起用するかどうかは、一つの関心事でした。結果的には、岡田氏も本人訴訟で挑んできましたが、東京高裁は、二審の審議のルールを盾に、控訴人の訴えそのものを事実上門前払いしたため、私たちが申し立てていた関係証拠の取寄せには、手が付けられませんでした。このことは、やはり、この刑事記録の法廷での開示が、関係者にとって都合が悪いと言うことを端的に示す結果と言えます。

■私たち原告そして控訴人である住民は、控訴状や控訴理由書を作成するに当たり、控訴審の審理を考えて、少なくとも控訴審の第一回口頭弁論期日までに、①原判決のどんな点に不服が存在するのか、②新たに控訴審において主張する事実はどのようなものがあるのか、を明確に主張するよう配慮しました。この点については、新たな主張であることが明確になるように記載する必要があり、控訴審の構成によっては、準備書面については、新たな主張がない限りは口頭弁論で陳述させないという取り扱いをされる懸念があったからです。

控訴審でいかなる審理をすべきか、はっきりさせないと、第一回口頭弁論期日で終結するという事になりかねませんので、それを避けるためにも、住民側としては、できる限り、第一回口頭弁論期日までに証拠の申請についても準備したいと考えました。そのため、裁判所に逸早く必要な証拠の入手を申し立てていました。
 ところが、前期のように、東京高裁は、それらをことごとく考慮せず、ただ単に、二審の審議は一審での範囲を踏み出すことはできない、という理由で、完全に門前払いとしたのです。一審で途絶えた立証活動に注力し、各方面に証拠申請を出して、できるかぎり詳細な証拠を揃えたいと期待した市民は、ガッカリして、東京高裁をあとにしたのでした。

こうして、裁判の立証活動を通じて、事件の真相と責任を、解明し明確化しようとする安中市民の執念と努力は、舞台を東京高裁に移して、引き続き展開されるかと期待されましたが、実際には二審では初めから門前払いとなり、一審で迂閥にも裁判所と弁護士から取下げの勧めに安易に応じてしまったツケが、重くのしかかったのでした。

【ひらく会事務局】

<参考資料:原告住民・控訴理由書>

平成13年(行コ)第161号
巨額公金流出追及住民訴訟請求控訴事件
控訴人
 群馬県安中市野殿980 小川 賢(他4名)
被控訴人
 群馬県安中市野殿969 岡田義弘
原判決取消の理由書
平成13年8月14日
東京高等裁判所第1民事部御中
 控訴人は、民事訴訟規則第182条に基づき原判決の取消を求める理由書を提出する。
  理由
 原判決のうち争点(2)において、被告に監督義務違反があるか否か、監督義務違反がある場合の安中市に生じた損害額について、「安中市が訴訟準備の為、1500万円の出損を余儀なくされた事を認めるに足りる証拠はないから、その余について判断するまでもなく原告らの主張は失当である」との判断について次の理由で取消を求める。
1.被控訴人に監督義務違反があるか否かについて
(1)被控訴人は、安中市土地開発公社(以後「公社」という)において、平成3年12月11日から平成5年12月16日まで、公社の理事として、公社の人事、事業計画及び実施決定に深く関与していた。
(2)被控訴人が公社理事に就任中の同期間において、平成8年4月8日に前橋地方裁判所平成7年(わ)第333号事件(以降「公社事件」という)の判決を受け現在も服役中と見られる公社元職員の多胡邦夫(以降[多胡邦夫」という)は平成4年3月11日に4億円、同月31日に2億円、同年9月30日に2億円、平成5年2月5日に3億円、同年3月31日に1億8000万円、同年9月30日に3億円を詐欺横領した。
(3)被控訴人が公社理事に就任中の同期間において、多胡邦夫は、平成4年2月15日に公社の受取利息99万9331円を着服、同年5月21日に、安中市が公社に振り込んだ1億140万5000円を横領、同日同じく64万541円を横領、平成4年8月15日に公社の受取利息121万8434円を着服、平成5年2月13日に公社の受取利息64万346円を着服、同年8月14日に公社の受取利息39万7998円を着服した。
(4)被控訴人が理事に就任中の同期間を含め、多胡邦夫は、安中市の公務員を含む相当数の人物らに対して、彼らの依頼に基づき、公社の特別口座から相当額を引き出し、現金もしくは骨とう品など品物を以って、彼らに便宜供与を行なった事実がある。
(5)同期間において、多胡邦夫の長期配置を解消しようと多胡邦夫の異動について提案が出されたにもかかわらず、被控訴人は多胡邦夫の継続配置に加担した。その結果、公社事件の発覚が遅れ、犯罪額を31億3000万円増大させ、安中市と公社の損害を大幅に悪化させた。
(6)被控訴人は、公社において、昭和56年12月26日から昭和58年12月20日まで、同公社の監事として、公社の決算監査に関与していた。その間、昭和58年3月31日時点の昭和57年度公社決算監査で前年度までの利益積立金が115万7360円あったにもかかわらず、剰余積立金として計上しなかったことについて、昭和58年5月27日付の監査報告書に何もコメントを付加せず、安中市と同公社に損害を与えた。
(7)以上のように、多胡邦夫と長年にわたり関係のあった被控訴人には監督義務違反がある。
2.被控訴人の監督義務違反により、安中市に生じた損害額について
(1)公社は、公有地の拡大の推進に関する法律(以後「公拡法」という)により設立され、その資本金にあたる基本金として500万円を安中市が出資して設立されたものであり、その役員、職員は全員安中市の公務員もしくは公務員OBであった。公社の事業に対して安中市は、公拡法により連帯責任者として債務保証契約をしている。そのため、安中市と公社は、行政政策・施策的、人事的、税務的、財務的及び経理的に連結関係にあり、公社の損害は、安中市の損害に等しい。
(2)公社には、設立者である安中市が資金その他の財産を出資している。平成10年12月9日の安中市・公社と群馬銀行との前橋地方裁判所所平成7年(ワ)第599号民事事件の和解条項締結で、安中市と公社は24億5000万円の債務を抱えるに至った。よって公社は債務超過状態に陥り、公拡法で設立された公社が、長期無利子とはいえ103年間も返済し続けるには、安中市の債務保証が不可欠であり、事実、群馬銀行との和解条項の締結では、公社に対して、安中市は公拡法第25条による支払保証をしている。安中市の連帯保証なくしては、公社の運営は事実上不可能であり、公社が債務不履行に陥れば、安中市がその債務を負うことになる。
(3)公社事件により公社の被った損害額は、歴然としており、公社が単独で債務を返済できない状況は明らかである。「安中市に損害があったというのは控訴人の憶測に基づくものである」とする被控訴人の主張は失当である。
(4)最近、全国各地の自治体が運営している土地開発公社のかかえる塩漬け土地問題など、時勢に合わなくなったため、公社の在任意義に疑問符が付けられている状況下では、近い将来解散も想定される。その場合には、既に大幅な債務超過に陥っている安中市土地開発公社の債務を安中市が負担することになる。
(4)安中市土地開発公社は、公拡法に明記された設立目的により、その事業内容から、著しい利益を上げることは困難である。また、同公社は公拡法第18条で毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋めるとされているが、同公社の繰越欠損金は、現段階で20億1000万円であると思量される。安中市土地開発公社が、その事業規模である年間数億円のうち、安中市が同公社に対して事務費等の名目で補填をしなければ、恒常的に利益、即ち返済金の原資を生み出すことは不可能である。現在、安中市は同公社に対して、事業費の5%程度を事務費として補填しており、これは公社事件にかかる債権を繰越欠損金として継続させる限り、損失補填することに等しい。債務超過状態にある同公社の運営を継続すること自体、民間の常識では考えられないことである。
(5)安中市は、公社事件発覚当時、公社事件は多胡邦夫が群馬銀行を騙した単独犯行であり、安中市及び同公社には損害が無いなどと広報により住民に説明していたが、群馬銀行から民事事件を提訴されると、弁護士を起用し、裁判に必要な諸準備のために、安中市と同公社は訴訟準備の為の提出証拠等謄写代、準備打合せの為の会議費など準備関係費用(総需要費として物品購入や食料費など、法務担当専属職員に関して出費した人件費など経費をも含む)として様々な形で費用を支出したことは、原告が第一審で主張したとおりである。控訴人は、証拠入手不足の為、一審ではやむをえず群馬銀行と、安中市・公社との間の民事事件において、その訴訟準備に必要な費用合計1500万円を損害額として提起した。公社事件に関する十分な証拠調べを経ることができれば、控訴人は安中市が被る損害額を更に詳しく特定することができる。
(7)公社事件では、公社の平職員である多胡邦夫の犯行金額は、警察の捜査の結果、最終的に51億3395万7901円に上った。一方で、捜査の結果、14億円余りが未だに使途不明金とされている極めて異常な犯罪である。この事件は、多胡邦夫の単独犯行ではなく、同公社の上司や同僚など関係者、および債務保証をした安中市の関係者、さらに多胡邦夫の血縁者、知人、公社の関係業者、金融機関等が直接あるいは間接的に犯行を幇助した結果であり、安中市が受けた被害を特定するには、これらに関する公社事件の刑事記録、および公社の理事会の議事録等を閲覧する必要がある。
3.上記にかかる証拠方法として、控訴人は、別途、必要文書の送付嘱託申立により、証拠資料の入手を行なう。
4.よって、被控訴人の主張は、まったく理由がないものであるから、これを認容した原判決は取り消されるべきものである
以上



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする