心の病気:深刻化する前に! 高校生へ治療呼びかけ 県、自殺予防対策 /宮崎
毎日新聞 11月11日(金)16時5分配信
◇若年層に拡大
県精神保健福祉センターが、高校生に心の病気の早期治療を呼びかけるキャンペーンに乗り出した。自殺予防対策の一環で、対象を中高年から若年層に拡大した全国でも珍しい試み。センターによると、成人の精神疾患患者の75%は10代になんらかの症状を発しているが、県内では病院で治療を受けるまでに全国平均の倍の34カ月かかっているという。「深刻化する前に気づいてほしい」と話している。【百武信幸】
県内の昨年の自殺者数は307人。前年より30人減少したものの10万人あたりの自殺者数を示す自殺率は27・1で全国で6番目、九州では最も高かった。10代は4人と少ないが、20代22人▽30代26人▽40代48人▽50代57人と年代が上がるほど増加した。
同センターによると、心の病気を抱える人の多くは10代後半までに発症しているが、誤解や知識不足、相談のしづらさから放置し、病気が深刻化するまで病院にかからない傾向が高いという。特に宮崎は顕著で、実態を踏まえて県内の高校生への働きかけを決めた。自殺の要因となる心の病気の早期発見▽長期的な自殺予防▽自殺率の高い親世代の不調のサインに気づく--など直接・間接的な効果を期待する。
まず今月中旬から12月にかけ、県立高校5校へ地元のラジオDJが訪問。心の病気について生徒や教師と対談し、それを校内放送で流す。また、テレビや映画館のCMを通じて啓発し、当事者が気軽に相談できる雰囲気や周囲への心配りなど1人で悩まない環境作りを目指す。
同センターの渡路子所長は「精神疾患も体と同じで、早く治療すれば治るというメッセージを伝えたい」と話す。NPO法人県自殺防止センター、工藤智徳所長は「セーフティーネットは多い方がいい。啓発と同時に相談を受ける受け皿作りも大切」と期待する。
11月11日朝刊