「時代遅れ」「どう喝」 財務省対応に広がる批判
2018年4月18日 (水)配信共同通信社
財務事務次官のセクハラ疑惑を巡って、報道各社の女性記者に調査への協力を要請した同省の対応に厳しい意見が相次いでいる。調査方法を見直すよう求める署名活動も始まり、批判の声は収まりそうにない。
「一言で言うと時代遅れ」と指摘するのはマーケティングライターの牛窪恵(うしくぼ・めぐみ)さんだ。1990年代、セクハラに対する基準が厳しい諸外国に進出した日本企業では、どういった言動が問題になるのか認識が十分でなかったため、日本人社員による現地スタッフへのセクハラが横行した。訴訟も相次ぎ、当時のレートで50億円近い補償金で和解したケースもあった。
「いったんセクハラが起きれば組織としてどれほどのリスクを負うかという認識が、民間には浸透している」と牛窪さん。「今や大半の一般企業でセクハラを許す土壌はない。財務省は真相を究明し、セクハラが事実なら本人、組織が責任をとると表明するべきだ」と訴える。
ジェンダー論が専門の牟田和恵(むた・かずえ)・大阪大大学院教授は被害を訴えた記者に名乗り出るよう求めた財務省のやり方を「どう喝に等しい」と批判。さらに、記者が名乗り出ない限りセクハラの事実認定ができないとした麻生太郎財務相の発言には「匿名だから調べようがないでは何も先に進めない。まず省内でセクハラ行為を見聞きした職員がいないか、弁護士ら第三者に依頼して調査するのが先だ」と指摘する。
インターネットの署名サイト「change.org」で財務省に調査方法を見直すよう求める署名活動も始まった。呼び掛け人の一人、早田由布子(はやた・ゆふこ)弁護士は「被害者に名乗り出ろというのは女性への二次被害になる」と強調。中立性のある外部機関が調査を担い、匿名性を確保することなどを求めている。