100歳超の人、ゲノムも元気…本来の年齢より10歳以上若く保たれている傾向
100歳を超えるような長寿の人は、ゲノム(遺伝情報)の老化が、本来の年齢よりも10歳以上若く保たれている傾向があるとする研究成果を、岩手医科大などの研究チームが発表した。特に、がんや認知機能にかかわる遺伝子の周辺部分で若く保たれていたという。同チームは、たばこや肥満などとゲノムの老化との関連を調べ、長寿を目指すために効果的な生活習慣を解明したいとしている。
個々人のゲノムは、生活習慣や加齢などによって、「メチル化」と呼ばれる変化が進んでいくことが知られている。このため、その変化具合を調べれば、実際の年齢を推定できる。
同チームは、住民の健康データを集積している「東北メディカル・メガバンク計画」に参加する20~70歳代の421人と、慶応大などの研究に参加する100歳以上の94人のゲノムの状態を解析。それぞれの年齢を推定した。
その結果、20~70歳代ではゲノムから推定した年齢と実際の年齢がよく合致していたのに対し、100歳以上の人は、ゲノム状態が若く保たれ、中には実際よりも20歳近く若い状態の人もいた。特に、がんや認知症にかかわる遺伝子近くで若い状態が保たれ、その一方で炎症を引き起こす免疫関連の遺伝子近くでは本来の年齢よりも老化が進んでおり、炎症が起こりにくい傾向がみられたという。
研究に携わった岩手医科大教授の清水厚志さんは「どんな生活習慣が、ゲノムの老化をどれだけ進めるのかを解析し、長寿を達成するための手がかりを見つけたい」としている。