ベートーベンの毛髪でゲノム解読、飲酒で重度の肝臓病か…難聴の原因は特定できず
2023年3月28日 (火)配信読売新聞
【ワシントン=冨山優介】作曲家ベートーベン(1770~1827年)の髪の毛からゲノム(全遺伝情報)を解読したと、独マックス・プランク人類史科学研究所などの国際チームが発表した。肝臓病のリスクが高くなる遺伝子変異があり、B型肝炎に感染していた形跡があるという。これらが、死因とされる肝硬変につながったと推定した。論文が科学誌カレント・バイオロジーに掲載された。
ベートーベンは進行性の難聴のほか、腹痛や下痢にも悩まされ、晩年は大量に飲酒していたと伝えられている。
チームは、ベートーベン本人のものとして保管されていた毛髪のうち、本物と考えられる5本を選んで詳しく調べた。その結果、遺伝的要因や飲酒によって重度の肝臓病を患っていたと推定できることが判明したという。難聴の遺伝的原因は特定できなかった。
太田博樹・東京大教授(ゲノム人類学)の話
「本人の毛髪かどうかを様々な手法で確かめており、信頼度の高い研究だ。遺伝情報と、偉人の文献上の記述などとを突き合わせる研究手法が、世界的に広がるかもしれない」