流域全体で水害対策 協議会発足
全国各地で記録的な豪雨が相次ぐなか、島根県西部を流れる江の川流域の自治体や国が協議会を発足させ、流域全体で水害対策を行う「流域治水」の取り組みを進めることになりました。
新たに発足したのは、江の川を管理する国土交通省や流域に当たる島根県や広島県の7つの自治体などでつくる「江の川水系流域治水協議会」です。
5日、広島県三次市で開かれた初会合では、国の担当者が、水害対策として従来のような堤防の整備だけでは限界があり、流域全体で対策を行う「流域治水」が必要であると説明しました。
そのうえで、田んぼやため池を部分的に改修し、雨水をためられる量を増やすことで、河川に流れ込む水の量を減らす方法や、比較的短い工事で済む、集落そのものを囲むような堤防の建設など、全国で行われている事例を紹介しました。
また、集団移転についても、5戸以上であれば、国から移転の際に費用の補助があるため、検討を進めて欲しいと話していました。
協議会は、今後も会合を重ねて、来年3月をめどに「流域治水」の計画を公表する予定です。
江津市の山下修市長は「従来のような堤防建設では、10年、20年と長い時間がかかることは明らかで、住民の命を守るためには、住宅の移転も方法の一つとして考える必要がある。国にはスピード感と柔軟性を持って自治体を支援してほしい」と話していました。
川本町の野坂一弥町長は「江の川流域では、歴史の中で何度も被災してきた人たちがいるので、その思いを受け止め、全体の計画に反映できるよう努めていくとともに、一刻も早く治水対策が進むよう取り組んでいきたい」と話していました。
また、美郷町の嘉戸隆町長は「今までは上流と下流で別々に活動していたのが、流域全体で総合的に取り組むというのは、水害リスクを減らす意味でも意義深い。私自身、メンバーの1人として全力を尽くしたい」と話していました。
浜田河川国道事務所の大元誠治副所長は「これまでは、河川は河川で治水事業を行ってきましたが、自治体を含めて流域全体で、さまざまな案を出しながら取り組めることに意義があります。事務局として音頭を取りながら、スピード感のある対策がとれるよう尽力していきたい」と話していました。
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