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腐っていた木造5階建ての「お城」、建築物に該当せず法規制の穴…

2022年08月28日 15時18分30秒 | 事故事件訴訟

腐っていた木造5階建ての「お城」、建築物に該当せず法規制の穴…床板落ち重傷事故

転落事故 6人けが

 遊園地などにある「立体迷路」の事故を防ぐため、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)が実態調査に乗り出した。全国に約40か所あり、子供も大人も気軽に探検気分を味わえる施設だが、昨秋には兵庫県の遊園地で利用客6人が重軽傷を負う転落事故が発生。法規制がないため、管理が事業者任せになっている側面もあり、専門家は安全対策を強化する必要があると指摘している。(柏原諒輪、石井恭平)

背中の骨折る

 「一瞬の出来事で、何が起きたのか分からなかった」

事故の起きた立体迷路。外観は城のようだが、建築基準法上の建築物にはあたらない(昨年10月10日、兵庫県加東市で)=読売ヘリから
事故の起きた立体迷路。外観は城のようだが、建築基準法上の建築物にはあたらない(昨年10月10日、兵庫県加東市で)=読売ヘリから

 家族で訪れた兵庫県加東市の遊園地「東条湖おもちゃ王国」で事故に遭った大阪府東大阪市の大工の男性(28)は、当時の状況をそう振り返る。

 事故が起きたのは、昨年10月10日の午後2時頃。「カラクリ迷宮のお城」と名付けられた立体迷路の3階部分から、約1メートル四方の床板が2枚抜け落ち、男性を含む男女7人が2・4メートル下の2階に転落した。男性を含む4人は軽傷ですんだが、妻(28)ら2人は背中の骨を折るなどの重傷を負った。

 男性によると、妻とともに子供3人の後を追っていたところ、「ガタン」と大きな音がし、気付くと2階に落ちていた。激痛に耐えながら起き上がると、そばには頭から血を流して倒れている妻の姿が。薄暗い周囲からは「痛い」「動かれへん」といったうめき声や泣き声が上がっていた。

 先を進んでいた子供3人は無事だったものの、妻は約1か月入院。今も完全には回復しておらず、2歳になった一番下の娘を抱き上げることができない。同じ姿勢で長時間座れなかったり、自転車に乗れなかったりし、生活に支障が出ているという。男性は「子供も利用する施設なので、しっかり安全管理をしてほしい」と訴える。

国が実態調査

 

 この立体迷路が同園に設置されたのは2013年4月。木造5階建ての外観は名称の通り城のようだが、屋根がないことなどから建築基準法上の「建築物」にはあたらない。同法の規制対象なら、定期検査に基づく自治体への報告が義務付けられるが、立体迷路は行政の目が届かず、兵庫県建築指導課は「チェックする法的権限がなく、園に管理を任せていた」と説明する。

 事故調によると、この立体迷路は雨ざらしで床板を支える はり が腐っていた。事故調は今後、防腐処理や点検が適切に行われていたかなどを詳しく調べていく。

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