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昔の赤ちゃんはハチミツを食べても大丈夫だった?

2017年04月27日 16時45分47秒 | 医療情報
昔の赤ちゃんはハチミツを食べても大丈夫だった?
アピタル・酒井健司
2017年4月24日06時00分

 ハチミツにはボツリヌス芽胞が含まれていることがあり、1歳未満の乳児に与えてはいけません。日本では1987年に1歳未満の乳児にハチミツを与えないよう通達が出ています。それまではハチミツの危険性は知られておらず、保健師の指導によってハチミツを与えられていた乳児ボツリヌス症の事例も報告されています。
なぜ乳児にハチミツを与えてはいけないのか
ハチミツ食べて乳児死亡、乳児ボツリヌス症って?
内科医・酒井健司の医心電信
 ご年配の方の中には「昔は赤ちゃんにハチミツを与えていたけどなんともなかった。どうして今はだめなのか」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。赤ちゃんにハチミツを与えても大丈夫だったという育児体験は本当なのでしょう。でも、昔の赤ちゃんの抵抗力が強かったり、ハチミツの質が良かったりしたわけではありません。
 ハチミツを食べた赤ちゃんが必ず病気になるとは限りません。ハチミツにボツリヌス菌が入っていなかったり、入っていても菌が腸管に定着したりしなければ、乳児ボツリヌス症を発症しません。運の悪い赤ちゃんが病気になったり、亡くなったりするのです。数人の育児経験だけで「赤ちゃんにハチミツを与えても大丈夫」と考えるのは危ないです。
 「そうだとしても、昔は乳児ボツリヌス症なんて一人もいなかった」と思われるかもしれません。確かに、日本では1986年より以前には乳児ボツリヌス症の報告はありません。ただ、「報告がない」ということと「乳児ボツリヌス症の患児がいなかった」ということは違います。診断に至らなかっただけで、昔から乳児ボツリヌス症の発症例も死亡例も存在した、と私は思います。
 昔は乳児が亡くなることは珍しいことではありませんでした。肺炎や腸管感染症で何千人もの赤ちゃんが亡くなっていました。死亡に至らない重症例はもっとたくさんあったでしょう。普通の感染症にかかった、たくさんの病気の子どもの中に乳児ボツリヌス症が混じっていても、なかなかわかりません。医療や衛生状態が改善され、先天異常のない赤ちゃんが亡くなることがほとんどなくなったからこそ、乳児ボツリヌス症という病気があることに気づき、問題だと認識されるようになったのです。
 「昔は赤ちゃんにハチミツを与えても大丈夫だった」というのは不正確です。「昔は他の理由で赤ちゃんがたくさん亡くなっていたからハチミツの危険性がわからなかった」というのが正確なところでしょう。


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