大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

酉の市の彼女は

2018-02-18 | 日記
≪お酉さまで熊手を売っていた渡辺です。札幌のイベントに参加
するので時間があればぜひ見に来てください≫
というメールをもらって驚いた。熊手の売り子さんは芸術家だった。
ここ5~6年毎年11月の浅草酉の市に出掛け、熊手を買う。
初めて行ったとき、あまりにも沢山の店が並び、どこでどう選ぶのか
見当つかずにいた時に熊手にカブの飾りのついた店を見つけた。
感じの良い若い売り子さんに惹かれて1000円位のものを買った。
それから毎年必ずその店でカブの飾りのついた熊手を買う。
1年に一度元気な彼女の顔見たさに通っていたが、ここ数年姿が見えなかった。
彼女の姿がないその店は不思議と火が消えたように感じ行く気が失せ、去年は夫が一人で行った。
夫がそこで再び売り子の彼女に会い、イギリスにデザインの勉強に行っていたことを知る。
せっかくなので赤レンガ前で行われていた”さっぽろユキテラス2018”の会場に昼間夫と行ってみる。
白い大きな風船が何個も空中にぶら下がっていて、それが作品のようだが彼女には会えず。
それは夜になると月のように明るくともる照明のアートだった。昼間なら白い風船にしか見えず残念。
本州に帰るという日に、夫と二人で空港に見送りに行く。
はっぴ姿ではない彼女に初めて会う。「よく大きなかぶ思い出してくれたねーーー!」と感動の再会。
長い髪の知的で物静かで、酉の市で熊手を売る勢いのある雰囲気とは対照的な彼女。
酉の市に魅せられ、高校生の頃から毎年アルバイトで売り子をして10年以上経つという。
搭乗までのわずかな時間に作品に込める想いやこれからの夢などをたくさん聞いた。
自分のやりたい事をおもいきりやっている人に出会うと、「米と野菜は任せておいて」
という気持ちが自分の中からむくむく湧き上がるのを感じる。
10年前なら、自分のたべるもの自分でつくる気のない人のことが理解できない自分だったのに。。
いまなら、”将棋に賭けるひとは将棋””スケートに賭ける人はスケート””音楽家は音楽”
そして、自分は畑で草取り三昧。各々好きなことして死ぬまで生きる。
互いの生き方が互いを刺激し、必要とし、調和し保ちあい、喜びと感謝の連鎖につながっている
そんな当たり前のことに今頃気づかされる。