沖縄県中城村 「 安里ティラ 」
昔、中城村屋宜の百姓が漁をしようと舟を出したところ、
急に風が強くなり航行できないので、安里の浜に舟を停めておいた。
しばらく浜辺で仮寝をしていると、夢を見た。
地中から霊石が三個出て来て、 「 我は権現 ( 仏が仮に神に姿を変えて現れる意 ) である。
崇信すればそちの持病は治り、願い事も叶えられる 」 という声がして、目が覚めた。
あたりを見ると、霊石のような石があった。
それでユタ家に行って占いをさせたところ 「 大吉 」 と出たので、この三石を祀り、
名付けて、ひとつは笑イキヨ、ふたつは押明ケガナシ、三つはイベヅカサとした。
その後、海中から石が浮かんで来た。
これに寄りキヨラと名付け、前の三石とともに小宮を建てて祀った。
この人の持病は治り、家は富み、子孫は繁栄した。
村人も安里権現として崇めた。
この霊石はビジュルと呼ばれ、白衣を着せてある。
子孫や安産の祈願者が多い。