Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

TOB期間を引き続き延長

2006-06-04 | 生活
会社吸収のためのTAKEOVER OFFERをシェーリング社が四月十九日の株主総会で了承した。バイエル社からこの申し出を受けた直後の金曜日、市場で株価は一挙に€89まで跳ね上がったが、その後はオファー価格の€86前後で売買された。TOB第一期の終わる五月末で全株式数の四分の一が集まり、四分の三の買い付けを目指して、更に二週間の延長が決められた。

総会の翌日を以って一株あたり€1,20の配当が支払われたので、また売り買いが盛んになった。機関投資家やキャピタルゲインを求める投資家にとっては、一刻も早く資金を回収して、再投資する事が必要があるから当然の動きであったのだろう。

世界市場、特に米市場でホルモン剤の販売を好調に伸ばし、避妊薬などでも業績好調なベルリンの会社はこうしてアスピリン錠で有名なレファークーゼンの大手化学会社に吸収合併される。その前の三月には、メルク社によって一株辺り€77のオファーが出たがこれを受けず、その強気の対応から市場では€66へと株価は約十五パーセント跳ね上がった。更に翌週の初めには二十パーセント増しの€82へと躍進。このときに米国系の会社でダルムシュタットのファミリー会社の親族が、この時期シャーリング株を売り抜けている。この事からインサイダー取引として調査命令が出されている。結局、この価格を不足としてシャーリング社は、正式にメルク社の申し出を断った。同時にバイエル社は、全ての株主から€86の現金でシャーリング株を100%買い付けるとオファーを出して、今回の吸収合併への道筋が決まった。五月二十四日には、EUの合併への許可も下りた。

実は、ここ二年ほどはドイツ銀行などが売りの指示を出しており、客筋にも売りを勧めていた。その結果、ここ一二年は一株あたり€50を割っていたのだが、今回の買収への動きで六割以上株価が上昇した。分割後上昇中の数年前からしても三割以上上昇している。€89で売り抜けた投資家は、配当を捨てて、手数料の掛からないバイエルからの€86のオファーも受け取らずに次の投資へと、こうしてこのイナゴの大群は去っていく。資産株としてシェーリング株を保持していた一般投資家は、一年以上株を保持していることでキャピタルゲイン税も掛からないので、一応満足ではないだろうか。

そのバイエル社へと資金援助する小さな一角にドイツ銀行も見え隠れすることを考えれば、如何に大銀行といえどもその商いは自らのファンドDWS同様にヤクザな業界というのが良く分かる。勿論の事そのファンドに入っている一般投資家にはそうした甘い汁は吸わせない。二年ほど前にドイツ銀行などが売りに出たのは事実であろうが、今回の吸収合併までの伏線であったのかどうかは分からない。少なくとも、一般投資家の財産を上手く動かして、この件では損切りまでさせて株価を操作するのが機関投資家の腕の見せ所なのであろう。今回、大株主であったドレスナー銀行を抱えるアリアンツグループの株価が上昇しているのも見逃せない。

こうした現実を見ると、株式市場を主とした資本主義経済の構造よりも、それをつかさどる金融や証券、株式市場の構造が実感できる。商業活動の自由化は当然のこととしても、投資活動のあり方が十分に監視されるようなシステムが強化されるべきであろう。金融の自由化は、そのまま魅力ある金融商品の増加に繋がるとは限らない。
コメント (2)
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