Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

目を覚ましながら

2006-06-09 | 文学・思想
「せめて今晩だけは、言葉を詰まられせないでいましょう。」、女流作家*インゲボルク・バッハマンが友人の詩人パウル・ツェランに送った電報である。

そのユダヤ系の詩人が、アウシュヴィッツ以後に、ドイツ語で書いた詩に盗作騒動が持ち上がり、その美学に疑問が投げかけられていた。それにも拘らずまたもや花に関する詩集「ヴォルフス・ボーネ」を十月二十一日に書いた、1959年の秋のことである。

写真のアーモンドは、青くなっている。何色のが咲いていたのか?ローズなのか、白なのか。

トーマス・マンの小説「ヴェニスに死す」の冒頭の朗読は、落ち着かない、堰を切ったような調子で、主人公の胸騒ぎを表現している。そしていつの間にか速度を落として、背景説明へと落ち着いて行く。文学CDの朗読が、部屋に流れている。

白く枝を垂らした開花の不連続な残像は、記憶に残るばかりである。硬い殻の中に、それをひっそりとしまいながら。

*PDF-FILE



参照:
水車小屋の娘の陽気な鱒 [ 生活 ] / 2005-03-18
アーモンドの咲くところ [ 生活 ] / 2006-04-19
活字文化の東方見聞録 [ 文学・思想 ] / 2006-05-12
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする